チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

9月24日の防衛省交渉の質問書全文を掲載 /// 19日(土)は県庁前広場で意見書提出を呼びかける街宣活動

2020年09月20日 | 沖縄日記・辺野古

 9月19日(土)は、オール沖縄会議が辺野古・設計変更申請への意見書提出を呼びかける街頭宣伝活動に参加した。

 県庁前広場でマイクで訴えるとともに、テーブルを出して意見書を書いてもらうコーナーを設けた。連休が始まったが、まだまだ人通りは少ない。それでも50人ほどの人たちが呼びかけに応じ、意見書を書いてくれた。

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 以下、9月24日の防衛省交渉(主催:日本自然保護協会)の質問書を全文掲載する。

◆日 時 
2020年9月24日(木)10:00~12:00(防衛省交渉)
              13:30~15:30(勉強会)
◆場 所  参議院議員会館 講堂

            

              辺野古・変更申請書に対する防衛省への質問

 1 海洋生物について(ジュゴン、サンゴ類)

 1-1 ジュゴンの危機的状況について

 辺野古新基地建設工事が辺野古・大浦湾や嘉陽からジュゴンを追い出し、沖縄のジュゴンの個体群にすでに多大な影響を与えている。昨年12月の国際自然保護連合(IUCN)によるレッドリストでの「南西諸島ジュゴン個体群」の「近絶滅」の評価がこの危機的状況を示している。これは、ジュゴンに「影響なし」とした予測評価した防衛局の環境アセス(2012年)と相反するものであり、環境アセスの不備を如実に反映している。

 一方、今回の申請書添付の「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」(環境保全図書)では、地盤改良のための杭打や工事船舶の水中騒音の最大値を算出し、以前の環境アセスで予測された最大値よりも小さいので「影響なし」と結論づけている。アセスの不備を無視した乱暴な論理だと考える。

 沖縄防衛局が沖縄県に提出した環境保全図書においては、なぜ工事開始後のジュゴンの危機的状況や、国際自然保護連合の評価が記載・検証されていないのか。なぜ環境アセスの問題が検証されていないのか。

 

 1-2 環境への累積的影響について

  計画変更では、国際的に問題となっている外的要因(ストレス等)の生物への累積的影響の検証が欠落している。杭打ち工事の最大値の水中騒音のみがジュゴンなどの生物に影響を与えるのではなく、騒音が長期間続くことや、また騒音が工事船の航行等の要因と関係することで累積的影響は生まれる(P2-14-30など)。

 また工期が延びて濁りの発生が長期化すると、サンゴ類が被る懸濁物質の総量も増加する。その結果、濁り自体は低濃度であってもサンゴ類の生存に影響が及ぶ可能性も考えられる。今回の計画変更では懸濁物質の総量増加やサンゴ類や海草などの生物に及ぼす影響に関して触れられていない。

 なぜ累積的影響の検証が欠落しているのか。外的要因が長期化しても生物への影響はない、という知見があれば示していただきたい。

 

1-3 ジュゴンの鳴音について

 ジュゴンの鳴音らしき音が大浦湾・工事施工区域内K4地点での記録に続き、6月には同じく施工海域内のK5地点でも記録された。K4のみの記録では風向きと人工物が出す音との誤認の可能性も検討されている。風向きも人工物の詳細も異なるK-5地点でも記録があったということはジュゴンの鳴音である可能性が高いのではないか。これについてどのように考えるか。また音源を公開し、世界の専門家が検証できるようにしていただきたい。

  環境監視等委員会資料でK-4に関する詳細(設置されている全ての機材等の内容、風の影響を受けての動きの変化等)は公開されているが、K-5についての詳細も説明いただきたい。

 

1-4.水の濁り(SS)の予測と対策について 

 今回の変更申請書では、最も濁りが発生すると推定されている5年次7ヶ月目において、2mg/Lを越える濁りが大浦湾湾口部のサンゴ類が比較的高被度(25%以上)で分布する地域に及ぶ可能性があることから(図-2.12.6)、その対策として、濁りの発生源となるケーソン式護岸の未閉合区間の汚濁防止膜を海底まで追加展張して対応するとしている(図-2.12.7)。

 しかし、3年次6ヶ月の予測結果において(図-2.12.2)、2mg/Lを越える濁りは比較的高被度地域の直近に達している。また、1~2mg/Lの濁りはさらに大きく拡がることが予測されている。想定を越える気象現象が頻発する現状を鑑みれば、予防的に早期から(最低でも3年次6ヶ月より前)汚濁防止膜を追加展張しておくことが必要ではないか。

 

1-5. 変更申請前後での水の濁り(SS)の予測結果 

  変更申請前、最も濁りが発生すると推定された4年次4ヶ月目の予測結果(図-2.12.22)では、汚濁防止膜を追加展張しても、平成30年度の調査で比較的高被度とされた地域に2mg/Lを越える濁りが達している。一方、今回の変更申請では、最も濁りが発生すると推定されている5年次7ヶ月目においても、汚濁防止膜の追加展張によって比較的(サンゴ類の)高被度地域に達する濁りは半分の1mg/Lまでに減少できるという結果が示されている(図-2.12.7)。この違いは濁りの発生場所や発生量が変わったことによるものか。

 

1-6. 工事実施区域のサンゴ礁の現状の把握について 

  申請書では、平成20年度(2008年)と平成30年度(2018年)に行ったサンゴ礁調査の結果のみを用いている。同海域では1998年のサンゴ類の大規模白化現象の影響から回復過程にあり、2016年まで再度の白化は起こっていない。したがって2015年頃がサンゴ礁の健康度がもっとも高かった良好な時期となる。劣化したサンゴ礁ではなく、最も健康な状態のサンゴ礁を基準として工事がどのような影響を及ぼすのかを検討すべきではないか。工事がサンゴ礁に及ぼす影響はないと結論づけているが、前提条件が間違っていると考える。ご見解を伺いたい。

 

2.埋立土砂・海砂の調達について

 2-1. 変更計画書の「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)では、県内で4,476万㎥もの岩ズリの調達が可能とされている。本事業に必要な岩ズリ量は1,690万㎥であるから、県内だけで必要量の3倍近い調達可能量があることとなる。そのため防衛局は、「設計概要説明書」や「環境保全図書」でも「県内で調達可能」とした。

 当初計画では、埋立土砂は「沖縄島、九州、瀬戸内周辺から購入」とされていたが、変更計画の「土砂に関する図書」では、「沖縄県内又は九州地方」となった(「設計概要説明書」P178)、「土砂に関する図書」P2)。当初計画の「、」ではなく、変更計画では「又は」が使われているが、これは沖縄県内か九州地方のどちらかという意味ではないのか?あるいは両方から購入する場合も含んでいるのか、説明されたい。

 2-2. 当初計画では、沖縄県内での埋立土砂の搬出地は本部・国頭からだけだったが、今回の変更計画では、他にも、宮城島(うるま市)、糸満・八重瀬、さらに南大東島、宮古島、石垣島等、県内全域から埋立土砂を調達するとされている。沖縄の島々が持つ自然環境の多くに影響を与えることになるが、土砂調達先の環境調査は実施したか?あるいは今後行う予定はあるのか?

2-3. 南西諸島の島々は島ごとに異なる自然環境を有する。例えば沖縄島と奄美大島では生物の種類も自然環境も全く異なり、また沖縄県内でも沖縄島と石垣島では異なる。また土の性質や生物の生息範囲などから見ても沖縄島の北部と南部、サンゴ類の遺伝子解析などでは東海岸と西海岸でさえ異なることが明らかにされている。2016年にIUCNから日本政府あてに出された勧告「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」では、明確な生物地理学的な区域を越えた外来種の導入は、国境内であっても外来生物の侵入のリスクとなることを認識するとあり、土砂に混入して運ばれる外来種の早期発見の体制の確立などが求められている。外来生物の侵入リスクが複数に(例:島嶼間、県境を超えて)存在することになるが、これに対するお考えと、対策の準備状況についてお聞きしたい。

2-4. 県内の広い範囲から土砂を調達するのであれば、土砂採取地が沖縄全域に拡大するため、ダンプ公害・粉じん公害等が県内全域に拡大する。「環境保全図書」では、資機材等運搬車両の走行による大気汚染物質、振動、騒音等を評価しているが、各鉱山(採石場)から搬出港、埋立現場への陸上搬送のダンプトラックの台数をどのように想定しているのか、各ルート毎に説明されたい。

2-5.  「土砂に関する図書」では、土砂の海上搬送のために、国頭の奥港や那覇新港と思われる港を使用するとされている。奥港では、2017年当時、石材の搬出が行われたが、区民らの強い抗議で、当時の翁長知事が海上搬送中止を求めたこともあり、防衛局は1日だけでその後の使用を中止せざるを得なくなった。奥港の使用は諦めるべきではないか?

 また、糸満・八重瀬から那覇新港に土砂を搬送するには那覇市内をダンプトラックが走り回ることとなる。市街地でのダンプトラック走行は人々の生活に深刻な影響を与える。控えるべきではないか?見解を示されたい。

2-6. 本事業では、地盤改良工・ケーソン護岸の中詰材等に386万㎥の海砂が必要とされている。防衛局は県内の年間海砂調達可能量は564万㎥だとして、「県内において必要量は確保できる」(「環境保全図書」1-203)としている。しかし、その一方で山口県の海砂調達可能量の調査を行っている。

 県内で海砂調達が可能としながら、県外の海砂調達可能量の調査結果を公表しているのは何故か?

 2-7.  約386万㎥もの海砂採取量は、沖縄の年間採取量の2~3倍にもなる膨大な量である。この点について防衛省は、8月21日、「今回の事業の年当り海砂必要量は那覇空港第2滑走路埋立事業における使用実績を下回っており、十分対応できます。那覇空港第2滑走路埋立事業の海砂採取で、特段、環境への影響が生じたとは承知していません」と回答した。

 しかし、本事業で予定されている海砂使用総量は、那覇空港第2滑走路埋立事業の海砂使用総量よりも多いのではないか? 

 さらに、「那覇空港第2滑走路埋立事業の海砂採取により環境への影響が生じたとは承知していない」というが、いかなる根拠によるのか明らかにされたい。

2-8. 当初の埋立承認願書では「埋立に用いる土砂等の種類」として「海砂、岩ズリ、山土」をあげていたが、今回の「設計概要変更承認申請書」では、海砂が外され(P11)、「設計概要説明書」でも、「変更前の埋立承認で埋立土砂等として用いることとしていた海砂は、---埋立材としては用いない」とされている(P1)。また「土砂に関する図書」からも海砂の記載は全て削除された。

 埋立承認願書では、海砂はケーソン護岸・A護岸の中詰材として使用するとされていたが、それは今回の変更計画でも変わらない。それにもかかわらず、海砂を「埋立に用いる土砂」から外したのは何故か?説明されたい

 

3.軟弱地盤の実態と地盤改良工事について

 3-1.  今回の変更申請書には、何故、地盤改良が必要になったのかを示す地質調査結果についての説明がほとんどなく、さらに、地盤改良工事の各工法(SCP工法、SD工法、PD工法)の具体的な内容もない。これらを記載しなかった理由を説明されたい。

 地盤改良工事の各工法の具体的内容(施工面積、砂杭の長さ・本数・径・間隔等)を明らかにされたい。特に海面下70メートルまでのSCP工法の砂杭は何本か?

 3-2. 杭の本数などの詳細やこれまでの工事騒音の実測データもないまま、水中騒音によるジュゴンなどの海洋生物への影響の予測評価が行われている。基本情報を欠いた影響評価はあり得ない。

 なぜ、技術検討委員会に提出した資料で示した杭の数(7万1千本)等の基礎情報が設計変更申請書や環境保全図書では示されていないのか?基礎情報を欠き行われた影響評価による「影響なし」の結論の妥当性の根拠はなにか?

 3-3.  立石新潟大学名誉教授ら地質学の専門家グループ(沖縄辺野古調査団)は、「ケーソン護岸の壁体の安定計算はレベル1地震動に基づいて行われているが、ケーソンを支える地盤のすべり崩壊の安定計算では地震動による安定性照査を行っていない」として、「ケーソン護岸は震度1以上の地震で崩壊する」と指摘している。

 この点について防衛省は、8月21日、「『港湾の施設の技術上の基準・同解説』(以下、「港湾基準・同解説」)に基づき設計を行うことによって、必要な耐震性能を含む所要の安定性が確保されることを技術検討会にお示しし、確認いただきました」と説明した。

 しかし我々の質問は、「ケーソンを支える地盤のすべり崩壊の安定計算で地震動による安定性照査を行っているのか」ということである。この点について回答されたい。

3-4. また、沖縄辺野古調査団は、陸上部の楚久断層、辺野古断層が大浦湾の埋立予定地付近まで続いており、これらの断層は活断層の疑いがきわめて強いと指摘している。この活断層の疑いについて、技術検討会に諮ったか? 技術検討会は活断層の疑いはないと結論を出したのか?そもそも技術検討会には活断層の専門家はいるのか?

3-5. 防衛局もケーソン護岸部分でかなりの地盤沈下があることから、護岸の天端高の上げ越しが必要であると認めている。しかし、大浦湾海底部は傾斜した複雑な地形であり、地盤は均等には沈下せず不同沈下が発生する。ケーソン護岸の安定計算ではこうした地盤の不同沈下を考慮しているか?

 

4.「先行盛土」について

 4-1. 防衛省は8月21日、先行盛土の深さは海面下7mまでか、あるいは20mまでなのかについて答えることができなかったが、9月14日になって、「先行埋立に関する水深については、その大部分を水深約20mまで実施する計画ですが、一部は水深約7mまで実施する計画です」と文書回答した。

 防衛省は本年4月20日、近藤昭一議員に対して、「先行埋立に関する水深等について、今後精査していくことになりますが、2-1-1工区のケーソン直下では水深約7mまで先行埋立を実施します」と文書回答している。水深20mまで実施する箇所、水深7mまで実施する箇所は何処か、具体的に説明されたい。

4-2. 先行盛土施工箇所の面積、土量を明らかにされたい。

4-3. 防衛省は8月21日、「ケーソン護岸部の未閉合部分に追加展張する汚濁防止膜は、海面から海底まで展張する」と説明した。今回の「環境保全図書」でも、「汚濁防止膜は海底まで追加展張する」(2-6-10、2-12-2)、「汚濁防止膜の延長は240m」(2-6-10)としている。

 しかし、工程表を見ると、先行盛土着手時は、C2護岸は基礎工にもまだ着手しておらず、C3護岸は基礎工がやっと終了した段階でケーソンはまだ設置されていない。開口部は731m以上であり、延長240mの汚濁防止膜では不十分ではないか? そもそも240mとはどういう根拠に基づくものか、説明されたい。

 また、海底まで汚濁防止膜を展張するというが、C2護岸の基礎工底面、C3護岸の基礎工天端部の水深は7.5m~14.5mほどになる。 設置する汚濁防止膜のカーテン長は何mか?

 4-4. 防衛局は、技術検討会では「先行盛土」と称してきたが、今回の「環境保全図書」や、従来の環境監視等委員会では、「薄層盛土」と説明してきた。用語が混乱しているのは何故か? 

 4-5. 「環境保全図書」(1-222)では、「非閉鎖水域で埋立を行う土量は、変更前に比べて約9割減少しています」としているが、その計算根拠を説明されたい。

4-6. 我々は、「海中で施工される先行盛土は締固めができず、その上部にケーソン護岸を設置することはできない」と指摘してきた。この点について防衛省は、8月21日、「ケーソン護岸の下方の埋立については「港湾基準・同解説」の置換工法の考え方を踏まえ、岩ズリで埋立を行うこととしています。この点については、技術検討会の委員からも特段の異論は示されていません」と説明した。

 しかし置換工法は、『港湾基準・同解説』では、「軟弱層を良質の土を置き変える工法で、---置き換えた砂地盤が緩い場合、大型構造物に対して支持力不足となることや、液状化の可能性が残る」と指摘されている(P756)。今回のような海中の盛土は締固めることができず、上部にケーソンを設置することは不可能である。『港湾基準・同解説』の置換工法を引用することはできないのではないか? 説明されたい。

 

5.A護岸、係船機能付護岸について

5-1. A護岸の工期は、当初計画では9ケ月間にすぎなかったが、今回の変更計画では、最も打設速度が速い工法に変更されたにもかかわらず、3年10ケ月と5倍にも延びている。

 この点について防衛省は、8月21日、「当初には想定されていなかった地盤改良工事を追加しつつ、より合理的な施工計画を検討した結果、A護岸の施工期間は3年10ケ月となりました」と答えた。しかしA護岸下部では、昨年に発表された計画からも変更され、一部で中詰土の地盤改良が行われるだけである。そもそも、「合理的な施工計画」で、工期が5倍にも延びるというのは説明とならない。

 当初計画のどの工程が、変更計画ではどのように延びたのか? その理由は何故か等について具体的に説明されたい。 

 5-2. A護岸の鋼管矢板打設は、当初計画では「油圧ハンマー」で行うとされていた(「設計概要説明書」2-74)。そして、防衛局が2014年度に発注した「シュワブ(H26)二重締切護岸新設工事」の特記仕様書でも、A護岸の鋼管矢板の打設は「打設工法(油圧ハンマー)」で行うとされていた。

 しかし、今回の変更計画では、「ウォータージェット併用バイブロハンマー工法」が採用されている(第3回技術検討会資料 P19)。この工法は高圧水を土中に噴射しながら打設するために、防衛局が比較検討した3種の工法の中でも最も濁りが発生する工法だが、工期短縮のために採用されたものである。それにもかかわらず工期が5倍にもなったのは理解できないが、環境面への影響を無視したことは不適切ではないか? 説明されたい。

5-3. 今回の変更計画では、係船機能付護岸が当初計画の271.8mから241.6mと30mも短くなっている。埋立承認願書の「埋立必要理由書」(P53)では、係船機能付護岸の利用船舶の長さ183.5mで、護岸長が271.8mとする利用計画図が示されていた。しかし今回の変更計画ではこのような利用計画図はない。護岸長241.6mに対する利用計画図を示すべきではないか?

 またどのような船舶がこの係船機能付護岸を使用するのか、利用船舶の長さは何mと想定しているのか等を説明されたい。

5-4. また変更計画では、斜路の向き等が「米軍の要望」で変更されたが、変更の理由が説明されていない。そもそも斜路はどのように使用されるのか? 高速揚陸艇(LCAC)、水陸両用装甲車が利用するのか? 説明されたい。

 

6.作業船の調達問題について

6-1. 「環境保全図書」の「海上工事に係る船舶・建設機械稼働計画」では、各工事について年次毎の各船舶のピーク時の日隻数が示されている(1-195~1-199)。それによれば、たとえば3年次の前半では、地盤改良工(SCP)、A護岸工、浚渫工、埋立工、海上ヤード工等で100隻以上の船舶が大浦湾に集中することとなる。他にも警備船やその他の作業船も多く出ているはずである。

 大浦湾には汚濁防止膜が張り巡らされており、航路も制約されている。100隻以上の船舶が集中して作業することはできないのではないか? 説明されたい。

6-2.  5-1とも関連するが、100隻以上の船が海域を航行する場合に、ジュゴンなどの海洋生物への影響はどのように予測したのか?

6-3. 今回の変更計画により、日本でも少ない各種の特殊作業船が必要となる。

 SCP工法による地盤改良工事は、C1護岸下部付近では工期を短縮するために同時に3船団で実施するとされている(第3回技術検討会資料 P29)。そのため、打込深度70mのサンドコンパクション船が3隻必要であるが(同資料 P54)、防衛局が引用している「現有作業船一覧」によれば、現在、最大打込深度70mの作業船は全国に1隻しかない。2隻は現在、打込深度が55m、50mにとどまり、「改造により70m打込深度可能」というにすぎない(同資料 P84)。

 民間の作業船がこのような改造をするかは分からないのではないか?また、なんとか3隻になったとしても、その全てを長期間、辺野古の工事に張り付けることが可能なのか? 説明されたい。

 6-4. 敷砂や先行盛土で水深40mに対応できるトレミー船は全国に1隻しかないが、それを長期間、辺野古に張り付けることが可能なのか? さらにリクレーマ船は全国に7隻しかないが、そのうち5隻を長期間、辺野古に張り付けることが可能なのか(同資料 P54)? 説明されたい。

 

7.環境に及ぼす影響は「変更前と同程度かそれ以下」などあり得ない

7-1. 防衛局は、今回の変更計画が環境に及ぼす影響について、「変更計画の環境への影響は当初計画と同程度か、それ以下」と強調している(「環境保全図書」5-2)。しかしその根拠については、たとえば「土砂による水の濁り(海域)」の検討では、日当り・月当りのSS発生負荷量を試算し、変更後のピーク値が変更前のピーク値を下回っているというにすぎない。

 この問題について我々は、「変更計画では工期が大幅に延びたため、1日当りの負荷量が減ったのではないか」と質問してきた。防衛省は8月21日、「今回の変更計画では、--地盤改良工事が追加になったものの、当初の計画に比べて環境への影響が少ない施工方法の採用や、工事の施工時期が分散したこと等により、計画変更後の環境影響の予測評価については、当初の予測結果と同程度若しくはそれ以下になるとの結果が得られた」からと説明した。

「当初の計画に比べて環境への影響が少ない施工方法の採用」とは具体的に何か?

 また、「工事の施工時期が分散した」というのは、工期が延びたことにより1日当りの負荷量が減ったことを認めていることとなるが間違いはないか? 説明されたい。

 7-2. 去年1月の「地盤に係る設計・施工の検討結果報告書」では、変更計画でのSS発生量の総負荷量は、当初計画に比べて113%増えると説明されていた(P164)。しかし、今回の変更計画には総負荷量の記載はない。SS発生量の総負荷量を明らかにされたい。

 総負荷量が増えるのであれば、「同程度か、それ以下」とは言えないのではないか? 説明されたい。

 7-3 質問1-2に記した環境に及ぼす外的要因の累積的影響、土砂採取に伴う土砂調達先の環境破壊、埋め立て土砂移動に伴う外来種問題が起こるリスク、申請前より増える資材や機材(船、重機など)の搬入、伴って発生する騒音上記質問7-1と7-2を総合的に考えると、環境への影響が「申請前と同程度かそれ以下」になることはないと考えられる。ご見解を伺いたい。

 

 

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