防衛局が、沖縄県に提出した設計変更申請の審査中にもかかわらず、地盤改良工事・護岸工事の実施設計委託業務を発注したことに疑問の声が沸き上がっている。
防衛局は8月18日、「シュワブ(R2)土木基本設計業務」を、日本工営・日本港湾コンサルタント・中電技術コンサルタント・大日本コンサルタント・中央開発共同企業体と8億5千万円で契約した。
実施設計とは、変更申請が承認された後に、工事着手前に具体的な工事内容をまとめ、県と協議するものだ。今の時期に発注できるような業務ではない。
しかもこの委託契約の履行期間は来年3月31日までとなっている。県はすでに変更申請の審査が年末から来年までかかると防衛局に通知している。期限内に契約を完了することができないことが明かであるにもかかわらず、このような契約を締結することは許されない。
また、今回の業務の特記仕様書には、サンドコンパクションパイル工法、バーチカルドレーン工法等の地盤改良工事の面積が、それぞれ約7ha、約59haと記載している。しかし、県に提出した変更申請書には、こうした地盤改良工事の面積は記載されていない。
さらに、県に提出した変更申請書には地盤沈下についての記載が全くないのだが、今回の業務では、不同沈下の検討のために、6ケースのシュミレーションを行うよう指示している。そもそも、不同沈下の検討は、変更申請書に記載しなければならないものである。現在の変更申請書はいったん取り下げ、不同沈下の検討結果が出てから再度、提出すべきであろう。
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下の表は、今までの実施設計業務の契約内容一覧である。
統括管理業務を含めると10件の業務契約(総額 56.9億円)が締結されているが、その全てを日本工営と日本港湾コンサルタントが受注していることに驚く(3件は共同企業体)。しかも、2件以外は請負率(予定価格に対する受注額の割合)が、99.8%~99.99%となっている。官製談合が行われた疑いがきわめて強い。
そもそも業務内容は全て「実施設計」というだけの同じような業務であるから、同じ成果品が使いまわされている可能性はないのか。毎年の業務に重複があるのかどうか、厳密に検証する必要があるだろう。
また、今回の業務は、変更申請が不承認となれば全く無駄になってしまうが(それどころか受注業者に違約金支払義務が生じる)、その責任は誰がとるのか。この時期の実施設計など論外である。