乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

ゲノム検査で生活習慣は改善されるか

2011年05月12日 | 患者の気持ち
最近ずっと、自分の大腸内視鏡の体験談を書いてきました。検便で潜血反応が出ただけなら、花粉症で鼻血でまくりの私は、実はそんなに気にしなかったと思います。
んが、腫瘍マーカーの1つであるCEAが術後から順調に上昇していた。これが頭にぺったりと張り付いていて、不安の元になっていました。

他のマーカーに上昇はないから、と主治医に言われても、んじゃ、なぜCEAだけが???となっちゃうんです。結局、他の病院の医師にも同様のことを言われたのですが、それだけでは満足しなかったでしょう。

「老化」でもCEA値は上昇する。

この言葉で安心できたのです。“老化検査”なんてしなくとも、自覚症状が大アリというだけですけど。んじゃ「あなたは老化の検査をするか?」と聞かれたら、しないと思います(^^;)。
だって、自覚症状が大アリなんだもん。。。
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【ゲノム検査で疾患リスクを知っても生活習慣は不変】
     海外論文ピックアップ NEJM誌より

 米国では数年前から、ゲノム配列に基づいて様々な疾患の生涯リスクを予測する検査が消費者向けに市販されている。これらの検査を受けた人は、結果に基づいて生活習慣を変えるのだろうか。また、リスク予測を見て苦悩することはないのだろうか。そうした疑問を持った米Scripps Research InstituteのCinnamon S. Bloss氏らは、実際に検査を受けた米国人を追跡し、検査結果が与える影響を調べた。その結果、受験者の日常生活にはほとんど影響が及んでいないことが明らかになった。論文は、NEJM誌電子版に2011年1月12日に掲載された。

 米国では、複数の遺伝子が発症にかかわると見なされている20~40種類の一般的な疾患について、個々の発症リスクを推定する全ゲノムプロファイリング検査が、一般消費者向けに、400ドルから2000ドル程度の価格で直接提供(direct-to-consumer;DTC)されている。こうした検査については様々な議論があるが、現時点では、検査を受ける人に対するカウンセリングは必須とされていない。

 著者らは、この種のゲノム検査は、結果によっては利用者を不安にし、本来不要な、または有効性が明らかではない高価な検査やスクリーニングの利用を増やし、健康な状態にあるのに予防的な介入を望む人を増やすのではないかと考えた。そこで、臨床的な有用性が不明なDTC検査の1つである「Navigenics Health Compass」が、受検者の心理面、行動面、臨床面に及ぼす影響を調べることにした。

 分析対象に選んだのは、割引価格でこの検査を利用した医療技術関連会社の社員だ。したがって、一般の人々よりこの検査について理解していると考えられた。

 この研究では、検査前と検査後平均5.6カ月の時点の、不安(Spielberger State-Trait Anxiety Inventory;STAIを用いて評価)、脂肪の摂取(Block Dietary Fat Screenerを用いて評価)、運動(Godin Leisure-Time Exercise Questionnaireを用いて1週間に行う運動の強度と時間、頻度などを評価)のレベルに差があるかどうかを調べた。加えて、検査に起因する苦悩(Impact of Events Scale - Revisedを用いて評価)のレベルや、リスク予測がなされた疾患にかかわる13通りの検査やスクリーニング(眼科の検査、糖尿病の検査、心電図、結腸鏡検査、コレステロール検査、胸部X線検査、心臓の負荷試験、マンモグラフィー、PSA測定など。無症候者に対する臨床利益が明らかでないものも少なからず含まれている)を受けたかどうか、検査結果について検査会社が提供している無料の遺伝相談サービスを利用したか、かかりつけ医に結果を知らせたかなどについても調べた。

 「Navigenics Health Compass」がリスクを評価するのは、腹部大動脈瘤、アルツハイマー病、心房細動、黄斑変性、肥満、クローン病、セリアック病、結腸癌、びまん性胃癌、バセドウ病(グレーブズ病)、脳動脈瘤、肺癌、心筋梗塞、多発性硬化症、変形性関節症、乾癬、関節リウマチ、むずむず脚症候群、ループス、2型糖尿病、緑内障に、女性の場合は乳癌、男性の場合は前立腺癌を加えた計22疾患(その後、この検査が扱う疾患数はさらに増えている)。受検者には数種類の情報が与えられるが、今回は、(1)推定される生涯リスクをパーセンテージで示した表、(2)集団の平均的なリスクと比較し本人のリスクが平均より20%超高い病気と本人の生涯リスクが25%を超える病気を色分けし目立つように示した図―の2点が検査を受けた人々に及ぼした影響を調べた。

3639人を登録し、追跡を完了したのは2037人(56.0%)だった。それらの人々のベースラインと追跡完了時の不安スコア(P=0.80)、脂肪摂取スコア(P=0.89)、運動スコア(P=0.61)に有意な差はなかった。

 90.3%の人々において、検査に関連する苦悩は臨床的に意義のあるレベルではなかった。ただし、評価された疾患の生涯リスクの平均値と検査関連の苦悩のレベルには正の相関が認められた(相関係数βは0.117、P<0.001)。

 リスク予測がなされた疾患に関連する検査やスクリーニングの利用率は、ゲノム検査を受ける前に比べて有意に増加していなかった。だが、生涯リスクの平均値と、今後はより頻繁にスクリーニングを受けようと思っている検査の数の間には正の相関が見られた(相関係数rsは0.046、P=0.04)。

 カウンセラーによる無料相談を利用した患者は10.4%だった。相談したこと自体は、不安や苦悩、生活習慣に有意な影響を及ぼしていなかった。

 かかりつけ医に結果を話した患者は26.5%で、医師に結果を伝えることは不安や苦悩に影響を及ぼしていなかったが、脂肪の摂取量の低下(βは-0.040、P=0.009)、運動量の増加(βは0.049、P=0.003)と有意に関係していた。

 疾病リスクを予測する全ゲノムレベルのDTC検査は、生活習慣に短期的な影響を及ぼしてはいなかった。著者らは、「現時点ではこうしたゲノム検査は、提供会社が異なれば、また検査方法が異なれば、正反対の結果を与える可能性がある。今回対象となった人々は、この種の検査の臨床的な有用性が明確ではないことを知っていたために、結果を見ても不安にならず、生活習慣を変えなかった可能性はある」と分析した上で、医師に結果を報告した人が、専門カウンセラーに相談した人の2.5倍を超えていたことに注目。「こうした検査が広く利用されるようになると、かかりつけ医もゲノム学領域の十分な知識を持つ必要がでてくるだろう」と述べている。

 原題は「Effect of Direct-to-Consumer Genomewide Profiling to Assess Disease Risk」、概要は、NEJM誌のWebサイトで閲覧できる。
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私はとてもデリケートな性格なので(^^;)、検査結果が多少正常値をはみ出しただけでも、気になってしまいます。で、積極的に治療するか?と聞かれたら、う~~ん。
いやだなあとは思うけど、大幅にはみ出していなければ、しばらく見守りかな。

乳がんのリスクを上げる原因に、「飲酒」がありますね。
でも。。。

お酒、やめられませ~ん!

そりゃ、リスクを上げるようなもん、摂取しないほうがいいのは知っていますよ。でも、私は他の部分でかなりリスクを下げるよう、がんばっているつもり。というか、飲酒の分だけ、食生活はしっかり正しているし、運動もしてるんですぅ。

ということで、見かけ上は、上記の披検者らと同様、「リスクを知っても、生活習慣は変わらず」です。
ま、変えない人には、私のような心理が隠されている?


生活習慣を変えるのって、よっぽどのことがないとしないよねと思う人、
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更年期症状の治療開始

2011年05月10日 | 患者の気持ち
なんだか、やる気がわきおこらない。

昼間、忙しくしているうちはいいんだけど、お風呂からでてワインを一杯。ぽわわ~んとなって気分がよくなるはずが…、どーも気分がよくなりません。
というか、過呼吸がでちゃったり、動悸がしたり。体の冷えがひどくなってきているし、かすみ目もひどくなった。ひん尿になっちゃって、紅茶を飲むと30分後はトイレに。。。数か月こんな感じで、さすがに落ち込んでしまいました。

ということを、定期健康診断の問診の際、医師に話しました。すると、「更年期症状が出ていますね」と返ってきました。

私もとっても実感していたので、思い切って治療をすることにしました。婦人科で体質改善の漢方薬を処方してもらったんです。

漢方薬って、効く人と効かない人とが大きく分かれやすいんだそうです。
私は抗がん剤治療の際、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)を痛みどめとして処方してもらいました。それがよく効いて、苦しい抗がん剤治療を何とか乗り切ることができました。そのことを医師に話したら、「んじゃ、その薬をやってみましょうか」と。

私も一度、お世話になっているし、その時は本当に気分がよくなったので同意しました。

牛車腎気丸の効能はこんな感じです。
【手足が冷えやすく、疲れやすく、尿量減少、口の渇きをなどの症状がみられる場合の高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、むくみなどに用いられます。】

おおお、今の私の症状にぴったりじゃんね(はぁと)!
医師曰く、「抗がん剤治療の際に奏功したとしても、今の更年期症状にも同様の効果がでるかどうかは別の話し」。まあ、更年期症状は癌治療とは別モノってことなんでしょうね。

で、この漢方薬を飲んで4日経ちました。
抗がん剤治療で服用した際は、これを飲むと吐き気が治まり、気分がすっきりしたんですが、、、
今回は、どよよ~んとしたままです( ̄_ ̄ i)。

たった4日でも改善を感じるのが、体の冷えのおさまり。というか、暑くて今日は半そでです(・∀・)。この点では効き過ぎか('∀`)。また、ひん尿も改善のような気がします。

でも、一番効いてほしい「無気力」に変化はなし。(〃´o`)=3

で、思い出したんですが。
昨年の同窓会の際、クラスメイトたちが口ぐちに言っていたことに、「踏ん張りが利かなくなった」。
彼女らは私とは違い、癌治療を受けていない。なのに、私と同様、がんばる気力に衰えを感じているわけです。

ひょっとして、この無気力感ってのは、薬じゃ治らんものではないか???


それって「老化」じゃないの?と思った人、<ここをクリックよろしくね~ >

治療開始後4日で気づいてしまったような・・・(。-_-。)
無気力を治すには、目標を立てるとか、野心を持つとか、そういった精神面からのアプローチが必要な気がしてきました。

癌になって数年間、保身ばかりを考えて生活していたら、積極的に行動する機能が急速に衰えちゃったんじゃないかと。これも、治療を開始しなければ気がつかなかったことですけど。

なかのひと

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震災ストレス

2011年03月31日 | 患者の気持ち
乳がんになるまで、私は首都圏で暮らしていました。震度3ぐらいの地震が、時折ありました。
で、手術後、実家に戻ったのですが、、、ほっとんど地震がありません。それが怖いんですぅ。

震度3ぐらいで時々、エネルギーを放出してくれたほうが、全く揺れずにエネルギーをガッツリ溜め込み、いきなり放出するより被害が小さいような気がします。
しかし、今回の大地震では、首都圏でも揺れに対するストレスが高まったようですね。余震も大きいですから。

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【<東日本大震災>首都圏でも震災ストレス 余震、悲惨な映像で不安に--医師ネット調査】 毎日JP  2011年3月29日(火)18:00

 東日本大震災で、直接大きな被害を受けていない東京近郊でも、高血圧やうつ、不眠症などの持病を持つ患者の症状が悪化する傾向があることが、病院検索サイトを運営する「QLife」(東京都、山内善行社長)の調査で明らかになった。傾向は子供よりも成人の患者に多くみられ、成人では女性や高齢者に多いという特徴もあった。

 今月24~25日、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都5県で無作為に抽出した開業医と勤務医計252人を対象にインターネットで調査を実施した。「過去10日間で震災に関連すると思われる『心因的な病状悪化』が見られる患者」の有無を尋ねたところ、55%が「ある」と回答。このうち、症状が悪化した成人患者の性差に言及した医師(83件)の回答では、73%が「女性が多い」と指摘し、22%が「男女差なし」と答えた。年代別では高齢者ほど傾向が高かった。一方、小児患者に顕著な特徴はみられなかった。

 また、症例別では不眠32%▽めまい22%▽血圧上昇14%▽うつ症状の悪化7%――の順に多く、「定期受診している人全員が普段より血圧が20~30ほど高かった」(群馬・病院)、「阪神大震災の被災者で、今回の地震で当時のことを思い出しパニック発作を発症」(東京・病院)などの報告もあった。

 さらに、34%の医療機関で「強い不安の訴え」があり、向精神薬の処方が増えた。不安の原因として「余震」(19・8%)や「悲惨な映像が繰り返される」(13・5%)などが挙がった。

 東日本大震災を巡っては、人気ロックバンド「スピッツ」のボーカル、草野マサムネさんが、震災や原発事故報道などに起因した急性ストレス障害と診断され、ツアー公演の延期が公表されている。
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>東京近郊でも、高血圧やうつ、不眠症などの持病を持つ患者の症状が悪化する傾向がある子供よりも成人の患者に多くみられ、成人では女性や高齢者に多いという特徴もあった。

地震はいつ何時起こるかわからない。これじゃ、うつや不眠症の人ならず、普通の人だって不安です。
首都圏だけでなく、地震を経験した人、つまり日本人なら誰でもこんなリスクと裏合わせです。うまく精神コントロールをしなくちゃと思います。

という私も、余震でビクついています。

震災が起きた当初、TV画面から目が離せなかったです。日本で起きていることとは思えず、ぽかんとしてしまって。ただただ夜更けまで、その惨状を観ていました。
死者数が増えるたび、若者や働き盛りの方の痛ましい死が報道されるたびに、乳がんを患い、高額の治療費をかけた自分が生きていていいのか、、、という気持ちになってきました。

客観的に見れば、生きていてよいのですが、自分より若くて健康な方々の痛ましい死を大量に観ていると、次第にそんな気分になるのです。おそらく被災者の中でも、生き残ってしまった自分に後ろめいた気持ちを持った方は多いのかもしれません。

こういった状況で、自分がすることとは何か。

被害者への追悼だけでは、だめだと思います。

私にできることは、少額のお金集めです。

でも、義援金の呼び掛けで街頭に立ったってだめです。身元がしっかり判明した人じゃなくちゃ、私は募金箱にお金を入れないもの。
なので、あるマスコミ関連会社が募ったアルバイトに参加しました。“義援金の受け付け嬢”です。

時給850円で1週間、みっちり受け付しますた。
市民の方が万札を、子どもたちがおこずかいを貯金したものを、企業が数十、数百万単位で募金してくれました。寄付金は税金対策にもなるので、多くの方々が受領書を必要とするのです。

私はそうした方々の名前などを記載する仕事をしたのですが、、、中には、名を名乗らず99万円をそっと置いて帰っていったおじいちゃんもいました。
私の数え間違いかと焦り、1万円札が1枚足りなかったのかと妄想し、カウンターでちょっと焦っちゃいましたが、、、こんなことを言いたいんじゃなくて(^^;)>、、、質素ないでたち、細身で小さなお年寄りの大きなご好意に触れ、仕事を通じて自分も被災者に支援できる喜びを感じました。

あ、もちろんアルバイト料は全額、寄付です。私も税金対策のため、日本赤十字社宛にです(笑)。
私は街頭で市民のお金を集めるより、マスコミ自体に少しでも多くのお金を出させたかった。だから、マスコミでアルバイトしたんですぅ。あ~~、スッキリした!

で、後日談。
1週間、ほとんど座りっぱなしの作業だったので、腰を痛めますた。。。
ただいま、針とマッサージの治療です(T*T)。

腰の痛さに、それまで感じていた不安感は吹っ飛びました(^^;)。


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ほうれん草と乳がん

2011年03月23日 | 患者の気持ち
昨日スーパーに行ったら、ほうれん草が激安ですた。いつもの半値、一束98円! しかも夕方だというのに、大量にあるじゃないですかっ。

もちろん、三束購入です。
茹でて冷凍庫に保管。しめじとベーコンとでソテーしたり、グラタンにいれたり、、、と、これでしばらくほうれん草料理が楽しめます。

皆さん、大丈夫ですか? 安売りしたほうれん草は、長野産と静岡産ですよ。福島からは随分と離れているのではありませんか???

「なんだか具合が悪いのに、主治医はCTの一枚も撮る必要がないって言うのよね・・・」。
と、時々不満に思う私は、「人体に影響のないであろう」放射線レベルの食物は、食べてもいいんじゃないかと思います。それにはもちろん、正確な放射線量の情報が必要ですけど。あ、もちろん、乳幼児は別ですよ。

癌と疑われた時、何度もレントゲンやCTなどの検査したせいでしょうか。「レントゲン検査1回分」の放射線の被爆量に、私は人体への脅威を感じません。他の癌患者さんは、どー思っているんでしょうか。

基準値を少し超える程度の放射能を浴びるのを怖がり、一方でレントゲンやCTをせっせと撮っていたら、、、あまり意味がないような気がするのです。
というわけで、今日もスーパーへGo! 更にほうれん草を買い足すためでしたが・・・。

ほうれん草の陳列棚が消滅ですた(*_*;)。
長野と静岡のほうれん草は、どこへ行ったのでしょうか?
買占めなのか、それとも店が撤去したのか??


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格差保険

2011年02月17日 | 患者の気持ち
私は国民健康保険に加入しています。自己負担は3割です。
手術なんかしちゃうと、トンでもねー額の医療費になっちゃうんです。その後の抗がん剤治療でダブルパンチです。
厚生年金の人、いいなあと、じっと手を見る。。。

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【保険者間で4~5倍の差がある医療保険料】

“一元化”には多くのハードル


● 医療財源の柱となる保険料に大きな不平等が生じている。
● 少子高齢化で保険者間の年齢構成と所得水準の差が拡大。
● 若年者が高齢者の医療費を負担する仕組みが不公平感を増幅。


 「増え続ける医療費の財源をどう確保するか」──。長年議論されてきたが、結論は得られていない。最近では消費税増税が現実味を帯びてきたが、年金などにも投入される可能性が高く、医療財源を十分潤せるとは思えない。それでは、患者の自己負担増はどうか。医療経済専門の東大大学院経済学研究科教授の岩本康志氏は、「これまで段階的に上げてきたので限界にある」と話す。

 そこで残る財源が、保険料の引き上げだ。「社会保険は被保険者の保険料で賄う」という本来の趣旨からすれば引き上げには合理性もある。

 ただ、保険料は保険者間で大きな格差があるほか、国税で補てんされている保険もあり、今となっては保険負担と医療給付の関係が明確ではない。こうした状態に不公平感を抱く被保険者は多い。岩本氏は、「格差是正は保険料引き上げを実現する上で避けて通れない課題だ」と語る。

医療保険の乱立が一因に

 医療保険は現在、会社員や公務員を被保険者とする被用者保険と、自営業者や年金生活者などを被保険者とし各市町村が運営する国民健康保険(国保)に大別される。さらに被用者保険は、大企業などの被用者を対象とし企業・業種ごとに運営される組合管掌健康保険(組合健保)、中小企業の被用者を対象とし政府が運営する協会けんぽ、公務員を対象とし自治体ごとに運営される共済組合などに分かれる。こうした保険が計約3500あり、基本的に保険ごとに加入者の保険料で医療費を賄う仕組みになっている。

 ところが、保険の種類により保険料の課金ベースや算出法などが異なるだけでなく、被保険者の年齢構成や所得水準にも違いがある。一般的に企業を定年退職した人は被用者保険から国保に移るので、国保の年齢構成は高く、所得水準は低くなる。さらに、少子高齢化が急激に進んでいる上、保険者の乱立で小規模の医療保険が多いため、被保険者の年齢構成や所得水準の格差はますます顕著になるばかり。年齢構成が高く、所得水準が低いほど保険料率は高くなるので、国保は、国税が投入されているものの、他の保険種別より料率が高くなる傾向にある。

 加えて、地方人口の高齢化などで同種の保険者間でも格差は広がっている。例えば同じ国保でも、医療・介護の1人当たり平均年間保険料は最高と最低の市町村の間で約4.5倍もの差がある。一方、被用者保険間でも賃金差などから保険料率に約3倍もの差が見られる。

段階を追って保険を一元化か

 岩本氏は「現状改善のために、保険の一元化を真剣に考える必要があるだろう」と話す。日本医師会も昨年11月、2025年以降に保険を“全国一本化”し、国が運営する仕組みを提言。保険料をいったん1箇所に集め、年齢構成と所得水準に応じて再分配することで負担と給付の関係を明確にしようというわけだ。

 ただ、財政状態の良い保険者は負担が増すなど、一気に一元化するには障壁も多い。そこで、まずは被用者保険と国保(後期高齢者医療制度も含む)別に財政調整を図りながら都道府県単位で統合、その後、国保の保険料算定方法をベースに国保と被用者保険を一元化する構想を主張する有識者は多い。また岩本氏は、「各保険者が予防機能を充実させて医療費を抑えようとしても、どうしても医療が必要になってくる高齢者などの分については、完全に一元化できなくても、保険者間で財政調整する手もある」と提案する。つまり、年齢構成の違いによる格差は保険者間で分かち合うという考えだ。

 昨年12月に高齢者医療制度改革会議がまとめた最終報告では、国保の都道府県単位での統一が明記され、一元化に向けての行程が示された。

自分の医療費は自分でためる

 少子高齢化の進展で保険料負担が重くのしかかっている若年者が、不公平感を募らせているのも問題だ。後期高齢者医療制度では、医療給付費の4割を現役の支援金で賄っている。今後、現役の負担がさらに増すのは確実で、このままでは不公平感が増幅する可能性が高い。

 その対策としてお茶の水女子大大学院人間文化創成科学研究科准教授の大森正博氏は、保険料の積み立て方式の導入を提案する。若年者が自身の医療費のために、あらかじめ保険料を積み立てる仕組みだ。

 高齢者の分と合わせて二重の負担になるが、「積み立てた分は自分自身に利用できることに加え、国税を投入して緩和すれば、ある程度納得は得られるのではないか」と大森氏は言う。岩本氏も「国民皆保険を維持するには、現在の世代と後世の負担をできるだけ平準化することが大切になる」とし、積み立て方式の導入に賛成する。現時点ではまだ公の場で議論されていないが、いずれ検討の対象になるかもしれない。
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国保歴の長い私は、国保を使う高齢者のために多額の保険料を払ってしまいました。なので今後、

>年齢構成の違いによる格差は保険者間で分かち合うという考えだ。

って考えをこれから導入されても、それは困る! だって、もう多額を高齢者のために払っちゃったんだもん(怒)。そしてその対象になった高齢者は私の保険料を使いきってるでしょ。

払っちゃったのも、自分が保険を使う時がくるかもしれないからと、真面目に払ってきたのに、途中から制度が変りますって、それは賛成できませぬ。支払い金額が少なかった高齢者たちを、墓からたたき起こし、「あななたちが楽をしたおかげでこうなったんだから」って言って、払ってもらいたい気分です(苦笑)。

>地方人口の高齢化などで同種の保険者間でも格差は広がっている。例えば同じ国保でも、医療・介護の1人当たり平均年間保険料は最高と最低の市町村の間で約4.5倍もの差がある。

これ、私も実感しますた。
乳がんの手術は小さな町にいた時の国保を使用、術後化学療法は比較的大きな市に住民票を移した後の国保を使用。国保の「均等割り・個人割り」の値の差が大きく、今の市の法がいくらかマシな支払いに。
でも、、、年間の保険料はこっちの市の方が大きい(爆)。高齢者密集地帯と合併しちゃったからですぅ~(泣)。

高齢者を非難するつもりはありません。高齢者に偏重した制度を避難しているのです。自分が納めている分を、高齢になったら恩恵に与れることが定着した社会でないと納得できません。暴動を起こしちゃうぞっ。

>少子高齢化の進展で保険料負担が重くのしかかっている若年者が、不公平感を募らせているのも問題だ。
>少子高齢化の進展で保険料負担が重くのしかかっている若年者が、不公平感を募らせているのも問題だ。
>少子高齢化の進展で保険料負担が重くのしかかっている若年者が、不公平感を募らせているのも問題だ。


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正確な余命告知は必要か

2011年01月20日 | 患者の気持ち
新年早々、あまり考えたくないことですが、、、考えた方がいいことなのかもしれません。。。

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【正確な余命告知で残された時間を有意義に過ごせる可能性】


   第48回日本癌治療学会総会 2010年10月28日~30日 京都

 癌の再発や治療不能で余命が限られる患者に対する余命告知の予後の検証で、残された時間を有意義に過ごすためには、正確な余命告知が必要であることが示された。第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)のポスターセッションで高槻赤十字病院の熊谷広治氏が余命告知の妥当性について報告した。

 対象となったのは2006年6月から2010年4月までに終末期をむかえた婦人科癌患者で、再発時の年齢が36歳~85歳までの13人。子宮頸癌3人、子宮体癌2人、卵巣・卵管癌7人、原発不明癌1人で、癌の進行度は1期から4期までだった。

 癌の告知は全例に行われたが、余命告知は13人中9人だった。告知の内容としては「数年以内」が1人、「1年以内」が5人、「月単位」が3人で、死亡した6人に関しては、余命告知後4カ月目までに死亡した。また、余命告知後、緩和科への連携に至ったのは12人、精神科との連携が1人だった。

 対象期間における余命告知の比率は、期間の前半では43%、後半では100%と終末期の診療数が増えるに従って余命告知の頻度も上昇した。だが、余命告知の際には患者本人への遠慮から余命を長めに伝えがちだったことも指摘。残された時間を有意義に過ごすためには、正確な余命を伝える必要があると結論づけた。
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>余命告知の際には患者本人への遠慮から余命を長めに伝えがちだったことも指摘

医師も本人を目の前にすると、さすがに遠慮することがあるのは人情でしょうね。伝えられる本人も、精神的に大変辛いです。
我家の場合は、家族である私が聞き、本人は知らぬままにいました。本人の性格を考えると、それでよかったと思います。

癌で亡くなった知人のことです。医師から余命を伝えられた彼は、病気の痛みを薬でごまかし、最後の最後まで会社に出勤しました。家には養う両親がおり、仕事を辞めるわけにはいかないと。
ご両親は年金があるし、彼の稼ぎはよかったのです。私なら即、退職し、余生は親しい人への挨拶まわりとか、自分の好きなことをするのにと思ったものです。

彼の体調がかなり悪化した頃から、彼は出社することに全力を使い、私ならするであろう“身辺整理”みたいなことを全くしませんでした。それよりも、要介護のご両親を施設に入れなくてよいのか、、、親族のみならず、彼を知る人は心配したはずです。

彼は痛みに耐えかね、何度も病院へ飛び込みました。その度、医師にホスピスを勧められても、会社から辞職を勧められても、出社すると「すっかり良くなった」。体調とまるで逆のことを言うようになりました。医師に対して、「まるで僕が末期患者みたいじゃないか」と憤慨していました。
最初は強がっていたのかと思ったのですが、、、のちにそうではなかったことがわかりました。

彼は自分の死を考えないと決めたのではないか。

彼が亡くなる数日前、上司にあてた手紙には、自分は必ず癌と共存できると信じ、退院するのを待っていてくださいと書いてありました。
最後まで自分が死ぬことを考えずに、退院できると。だからこそ、大切にしていた両親の今後を、今、どうするかを考えなかったんじゃないか。

彼の場合、初発の時点で再発する確率の非常に高い病状でした。もし私が彼の立場なら、医師の説明を自分なりに調べた時点で、精神的に参っていたと思います。絶対再発すると思い、絶望的な気分で残りの日々を生活していたでしょう。

しかし彼は違う。ほとんど自分の病気について深く知ろうとしなかった。主治医を信じて任せていた。そして再発しても、自分が死ぬとは思わなかった。

彼の頭の中から「死」という文字が、いつ消えたのかはわかりません。しかし、本当に死を考えないようにできる人もいるのです。
残された親族は大変かもしれません。
しかし、それでいいじゃないですか。そのぐらいの自分を通すことは、迷惑なことでしょうか?

死を意識しないで生き切るのは、本当に難しいと思います。腫瘍マーカーに少しの上昇があってもビクつく私です。彼のように最後まで希望を持っていき抜けるものか、、、私は彼の生き方、精神力を本当に羨ましく思います。


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なかのひと

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ドラッグラグ

2011年01月16日 | 患者の気持ち
“ドラッグラグ”という言葉が、徐々に世間に浸透しつつあるように感じます。対象となる患者さんの声が大きくなってきたという背景はあるでしょう。同時に、医療訴訟の件数も増加しています。

権利と義務。当事者のみならず、周辺、そして一般の人たちまでも、両側面から考えなくては、この問題は簡単に解決しないでしょう。無責任なマスコミの手にかかると、単なるバルーン扱いとなり、釘を刺されて突然ぺしゃんこになってしまいます。

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【癌】ラグ解消進むも新たな課題浮上

   高額な薬剤費が患者の大きな負担に

 一部の抗癌剤のドラッグラグは解消されつつある。しかし近年、新たに承認された薬剤はすべて高額で患者が治療費を負担しきれないばかりか、医療保険財政にも影響を及ぼしつつある。一方、患者数が少ない小児がん領域ではドラッグラグ解消の兆しすら見えていない。
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 ドラッグラグの解消が待たれる薬剤の中で抗癌剤の占める割合は大きい。海外で使用されている未承認薬・適応外薬を国内でも使いたいという専門家や患者などからの要望が強いためだ。このような要望を受け、厚生労働省は約6年前から、ドラッグラグ問題に関する検討会を開き、要望の大きな抗癌剤の適応範囲の拡大や早期承認を進めてきた。

 2005年1月から厚労省に設置された「未承認薬使用問題検討会議」により、国内における開発が促進された抗癌剤は多い。表1に掲載した薬剤のうち、同会議の発足前に発売もしくは承認申請されていた薬剤以外は、すべて同会議の審議を経ている。例えば、悪性胸膜中皮腫治療薬ペメトレキセドは、この会議により承認のスピードが一気に速まった。05年1月の第1回検討会議の時点では治験開始前だったが、同会議で早期の治験開始が望ましいとされ、05年2月に第1相臨床試験、同年10月には第2相臨床試験が開始され、06年6月に承認申請となった。そして、約半年後の07年1月には販売承認に至っている。

 さらに今年2月に、同じく厚労省に設置された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で検討中の374件のうち抗癌剤領域の薬剤は80件を占める。11月10日の第6回会議までに、42件が医療上の必要性が高いと評価され、開発要請の対象となった。

承認後に医療経済的問題が浮上

 これらの厚労省の検討会が機能した結果、抗癌剤の承認は進んできているといえそうだ。その一方で、新たな課題として浮上してきたのが、経済的な問題だ。

 抗癌剤はほぼすべて高額であるため、ほとんどの癌患者は高額療養費制度の対象となる。しかし、この制度における自己負担額すら払えないという患者が増加している。加えて、国や保険者が高額な薬剤費を今後も負担し続けられるのかと危惧する声も多い。表1に示すように、薬価(規格単位)が数十万円以上する薬剤は、現在、決して珍しくない。

 薬価が100万円を超えるイブリツモマブは、放射性同位元素(RI)標識された抗体医薬で、再発もしくは難治性のB細胞性非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫を対象とする。一人の患者につき治療は1回のみで、特殊な施設を有する医療機関でなければ実施できない。とはいえ、1回の治療でβ線を放射するイットリウム(90Y)と、γ線を出すインジウム(111In)に加え、リツキシマブの3剤を用いる必要があるため、1回の薬剤費は約470万円と高額だ。

 患者数の多い大腸癌や肺癌、乳癌などを対象とする一般的なレジメン(抗癌剤に加え、併用薬や制吐薬、生理食塩水なども含む)においても、薬剤費は高額だ(表2)。治療を長期間継続する必要があるものも多い。進行大腸癌に対するmFOLFOX6とアバスチン併用療法は病気が進行するか重篤な副作用によって治療が継続できなくなるまで続けられる。また、再発もしくは転移性乳癌に対するドセタキセルとトラスツズマブの併用療法、再発もしくは転移性卵巣癌へのリポソーム化ドキソルビシン療法も同様だ。

静岡県立静岡がんセンター薬剤部資料(加藤敏明氏作成)より一部改変。患者を160cm 55kg、体表面積1.563m2と仮定して計算。投与回数に上限があるレジメンもあるが、再発や転移性の癌に対しては、効果があり、副作用が問題となるまで繰り返し投与される。(※2010年10月現在)

 国立がん研究センター中央病院副院長の藤原康弘氏は、「高額な薬剤による医療費の増加に対して、社会全体でどう対処していくべきかを議論すべき」と指摘する。

 また、東大医薬品評価学准教授の小野俊介氏は、「薬の費用対効果を検討するシステムがない国は、主要先進国の中で日本以外にはない」という。

 例えば英国には、医療経済的な評価から、新規薬剤を公的医療保険の対象とするか否かを評価するNICE(National Institute for health and Clinical Excellence)という公的機関が存在する。NICEは、薬剤の効果をQALY(完全な健康体で1年生活することに相当)に換算し、1QALY増加のために必要な薬剤費が3万ポンドを超える場合には公的医療保険の対象としていない。「英国ではNICEは、医療費高騰で国全体が倒れないようにするための“必要悪”と考えられている」と小野氏。日本でも、各薬剤の医療経済的な評価を始めるべきだろう。

取り残された小児がん

 患者数が少ないため、患者や専門家の声が届かず、ドラッグラグ解消の動きから取り残された領域もある。「日本では、ドラッグラグのために神経芽腫の小児の3人に1人が再発している」──。小児がんにおけるドラッグラグの問題に危機感を募らせているのは、国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長の牧本敦氏だ。

 牧本氏は、今年9月にNew England Journal of Medicine誌に掲載された米国からの臨床試験の結果に驚きを隠せない。この研究は、神経芽腫の小児の再発抑制を目的に、標準的に投与されているイソトレチノイン(13-cisレチノイン酸、日本では未承認)と、さらに3剤(抗GD抗体、GM-CSF、IL-2)を加えた併用療法を比較したもの(図1)。その結果、併用療法が有意に再発を抑制することが示された。

強化化学療法後に再発抑制目的で行う維持療法を比較。米国では適応外薬ながらイソトレチノイン投与が標準的な治療だ。加えて、新規薬剤を追加した併用療法により無再発生存率は約6割に上昇した。一方、日本ではイソトレチノインは未承認のため無再発生存率は約3割だ。
 実は、イソトレチノインは米国においても神経芽腫の適応はなく、薬事承認があるのはイタリアのみ。そのため、厚労省の未承認薬に関する会議で検討対象にすらならなかった。しかし、米国では「効果が認められているため、適応外ながらすべての患者に投与されている薬剤」(牧本氏)だ。

 さらに米国では、新規併用療法の上乗せにより神経芽腫は約6割が再発しない小児がんとなった。一方、日本では薬事承認にこだわるあまり、いまだイソトレチノインは使用できずに神経芽腫の7割が再発する(図1)。「再発した神経芽腫は治らない。大きな溝をあけられてしまった」と牧本氏は肩を落とす。

米国では政府が研究を支援

 日本における年間の新規小児がん患者数は約2000人。小児がんには様々な種類があり、各がん種の患者数は少ない。例えば、神経芽腫の新規患者数は年間約200人。牧本氏は、「患者数が限られる病気の治療薬を、営利活動を行っている企業に開発してもらおうと期待する方がおかしい」という考えだ。

 ほとんどの企業にとって、患者数が少なく投資を回収できる見込みのない領域の薬剤には手を出したくないのが本音。この状況は日本に限ったものではなく、海外でも同じだ。

 しかし、「米国では、企業が手を出さない部分を国が支えるという役割分担がはっきりしている」と牧本氏。米国では、連邦政府が巨額の予算を小児がんの治療法開発のために付けており、その予算を受けて、全米で新たな薬剤の臨床試験が行われている。

 米国で国からの予算を受け、臨床試験を実施しているのが小児がん支援団体のCureSearchだ(表3)。CureSearchは、臨床試験を支援するための財団NCCFと、臨床試験グループのCOGが共同設立した団体。COGの臨床試験には、全米の9割以上の小児がん患者が参加しているという。「9割の患者が受ける治療は、たとえ適応外薬や未承認薬を用いたものでも標準的といえるのではないか。(日本政府は)このようなドラッグラグにもっと敏感になってほしい」と牧本氏。

小児血液がんでは体制を確立
 一方、日本でも、小児血液がんの分野では、全国の医療機関のネットワーク化が進んでいる。ただし、研究予算が不十分なため満足な研究が進められない状態だ。

 「小児血液がんに関しては、全国で共同のプロトコルの下、臨床試験を行える枠組みを整えた」というのは、国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター長の堀部敬三氏。堀部氏らは、地域ことに活動していた4つの研究グループをまとめ、共同で研究できる体制として、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)を03年に設立した。同グループには、現在、166施設が参加し、全国で統一の臨床試験が可能という。さらに、国際共同試験を進めている国際BFM研究グループ(International BFM Study Group)のメンバーでもあり、国際共同の臨床試験に参加することもできる。

 ただし堀部氏は、「各研究を行うためには研究費が足りない」と打ち明ける。JPLSGは厚労省の科研費などから、年間6000万~7000万円の研究費を得ているものの、米国CureSearchの予算規模と比べると2桁少ない。JPLSGは、データ管理のために十数人のスタッフを置いたデータセンターを設けているが、それらの人件費の確保にも苦労している。

 「国の施策として、臨床試験を十分に行えるような予算配分を考えてほしい」と堀部氏は訴える。小児がんに対する臨床試験の枠組みの改革が必要だろう。
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>抗癌剤はほぼすべて高額であるため、ほとんどの癌患者は高額療養費制度の対象となる。しかし、この制度における自己負担額すら払えないという患者が増加している。

>加えて、国や保険者が高額な薬剤費を今後も負担し続けられるのかと危惧する声も多い

自己負担額を払える患者は、払えない患者に対して何を考えるのでしょうか。やはり、自分たちだって負担し続けるのを危惧する?
自己負担金を払えない患者を無料で治療する??

「何でもかんでも無料化」には、私は反対です。医療費とか授業料とか、無料にしてしまうと、お金のありがたみが激減するものだと私は信じています。難しいのは、本当に困っている人と制度に便乗しちゃう人とがごっちゃになっていることです。選別するには、大きな人手が必要です。

「薬の費用対効果を検討するシステム」は必要ですよね。“大変高価で奏効率は10%”と言われたら、悲しくなっちゃいます。


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医薬品副作用の救済制度

2011年01月13日 | 患者の気持ち
イレッサ訴訟で患者側が和解勧告を受け入れましたね。この受け入れは今後、がん患者にとってどのような発展をするのか、、、気になるところです。

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【<医薬品副作用>救済、抗がん剤の死者も 民主議員ら検討】 毎日新聞  1月9日(日)9時45分配信

 国の医薬品副作用被害救済制度に「抗がん剤」による死亡を含めるよう見直しを求める動きが出始めた。昨秋には民主党国会議員による勉強会も発足、制度改正の検討を開始した。抗がん剤は副作用がほぼ避けられず、現在は制度の対象外になっているが、東京、大阪両地裁が7日に和解を勧告した肺がん治療薬「イレッサ」訴訟の原告・弁護団も、死亡した場合は救済対象に含めるべきだと主張している。

 医薬品副作用被害救済制度は80年、整腸剤による副作用が問題化した薬害スモンを教訓に法制化された。薬を適正に使用したのに死亡や入院相当以上の健康被害が生じた場合、最高約2380万円の遺族年金や障害年金などが給付される。

 財源は、国内すべての製薬会社と薬局製造販売業者8340者が出荷数量などに応じて分担する拠出金で、09年度総額は約38億円。健康被害を受けた人からの申し立てを受け、厚生労働省の審議会が薬の使用状況などを審査し、09年度は1052件の請求に対し861件(総額約18億円)が給付対象になった。

 抗がん剤を対象から除外している理由について、厚労省は「重い副作用が起きる確率が高いうえ、代替の治療法がない患者が使用する場合も多く、副作用は受忍せざるを得ないという考えに基づいている」と説明する。

 最近は抗がん剤も進歩し、一部では副作用も軽減されてきているが、強い薬剤であることには変わりない。

 弁護団の水口(みなぐち)真寿美弁護士は「がん患者は残された命を大切にしたいという切実な思いで抗がん剤を使う。死亡被害まで受忍すべきだとする理由はない」と反論した。

 民主党議員の会は昨年10月、約50人で発足、抗がん剤の副作用にあった患者らからヒアリングを進めている。同会の事務局長を務める本多平直(ひらなお)衆院議員は「がん患者の立場に立った制度の在り方を検討したい」と話す。

 抗がん剤を販売する大手製薬会社の幹部は「延命目的で抗がん剤を使用する末期がん患者の場合、死亡原因が薬による副作用か、がんなのかを区別するのは難しいが、企業として被害者を見過ごすこともできない。拠出と給付のバランスが取れ、制度が維持できるならば実現も可能ではないか」と話している。【佐々木洋】

 ◇イレッサ問題も影響…抗がん剤救済検討

 民主党内で検討が始まるなど、医薬品副作用被害救済制度に、抗がん剤による死亡を含めようとする機運が高まっているのは、がんが国民の死因のトップ(09年で約34万人)を占め、3人に1人ががんで死亡する中、抗がん剤が幅広く治療に使われているためだ。

 進行がん患者に使われる抗がん剤の副作用は、問題が起きても「他に治療法がなく患者も覚悟していた」と片づけられがちだ。しかし、行政や製薬会社、医師から十分なリスクの説明がないまま効果だけが強調され、その結果、副作用で多数の死者を出した「イレッサ」の問題は、がん治療の在り方をも問いかけている。

 抗がん剤の副作用による死亡率は1~2%とされる。具体的な人数など正確なデータは不明だが、厚生労働省が抗がん剤を救済制度の対象に含めるのに慎重な理由の一つは、請求が殺到し製薬会社の負担が増え、制度が維持できなくなる懸念があるためだ。

 厚労省幹部は「医療者と患者が納得して治療する体制づくりが先ではないか」というが、イレッサ訴訟が投げかけた問題を真摯(しんし)に受け止め、救済制度の見直しに向けた検討も進めるべきだ。【佐々木洋】
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>弁護団の水口(みなぐち)真寿美弁護士は「がん患者は残された命を大切にしたいという切実な思いで抗がん剤を使う。死亡被害まで受忍すべきだとする理由はない」と反論した。

とありますが、

「がん患者は残された命を大切にしたいという切実な思いで抗がん剤を使う。死亡リスクと延命とを、秤にかけて決断する。」と、私は思っていました。
しかし、その心の奥底には、、、自分は副作用死をしないんじゃないかという、「自分だけは大丈夫」説を秘めていたのも確かです。

つまり、本当に命をかけて決断した、とは言えない。
副作用で強烈な苦しみに襲われたら、「ああ、しまったぁ、私が大当たりかぁ…」と悔しがりながら死んでいったかもしれません。それを傍らで見る家族は、何を思うのかな。
なかなか「覚悟」の選択って、できないような気がします。

この見直し案は、抗がん剤治療を行う上で、新薬について特に大きな問題を含んでいると思います。未知の副作用の多い新薬。医師だって副作用については初体験ばっかりです。患者が希望しても使うのをためらう場合が増えたらどうしましょう。

副作用死した場合、マスコミの取り上げ方によっては責任の所在が偏向します。責任をなすりつけられた人や機関は、どんな態度に出るのでしょうか。
「責任」も一方的に一人、一つの機関が、というわけでもなし。賠償金や保証金を取りやすいところから取るほどに、問題は複雑化するでしょう。

「余命短い癌患者が、死に際に抗がん剤治療を受けて死んでも、それは寿命だ」という声も聞こえてきそうです。
救済制度に申請する人が溢れ、結果として医療制度が傾くような救済金が払われたら、、、がん患者への差別が心配になります。
介護保険制度ができたばかりの頃、一気に申請者が増え、結果として保険の徴収額が上がったことを思い出します。

なんとなく、この見直し案を素直に受け取れない私でした。。。


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大規模癌遺族調査

2010年12月19日 | 患者の気持ち
年の瀬ですね。皆さま、いかがお過ごしですか。

大掃除、やってます?
我が家は、隣が住宅の建築中。大型重機の出入りで、振動が、誇りが、ガソリンの臭いが。。。
というわけで、今、大掃除をやっても、すぐにススだらけになるのがわかっているので、今年は見送ります。というか、、、今夏、4回も年末大掃除をやっちゃいましたよ(涙)。

あらかじめ自分の寿命がわかっていたら、体力と気力を使う大掃除を、今年はやるかやらないか決めることができるのですが…。
遺族としては、きれいにして亡くなってくれた方がいいんでしょうけど、患者本人としては、なるべく余計なエネルギーを使いたくないもんねー(笑)。

癌の告知を受けて考えたこと。それは、癌で終末期を迎えることになるのなら、痛かったり苦しかったりは、絶対いやだなあという強い気持ちです。数日寿命を延ばすより、その分を削っていいから痛みも苦痛もなく、快適に過ごしたいです。
クリスマスケーキをホール食いしたいほど、私はケーキを食べるのが好きなんですが、、、食欲が落ち、食べ物への情熱を失ったら、何を喜びに残りの日を過ごすことになるのかなあ。

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【国内初の大規模癌遺族調査、苦痛の緩和は水準に達しないことが判明】

   第15回日本緩和医療学会 2010年6月18日~19日 東京


 国内初の大規模癌遺族調査「OPTIM-SUTY」の研究結果が報告された。全体的な満足度や医師への信頼などの評価は高かったものの、苦痛の緩和に関しては十分な水準に達していないことが示された。6月18日、19日と東京都内で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野の宮下光令氏が発表した。

 終末期の癌患者ケアに対する質の評価は、遺族調査が世界の標準的な方法となっている。

 国内では、緩和ケア病棟、在宅ホスピス、がん診療連携拠点病院における全国的な調査は実施されているものの、地域をベースとした調査は行われていない。

 同研究は、地域の病院(一般病棟や緩和ケア病棟など)や診療所を対象に癌患者の遺族に対する緩和ケアの質の評価を行ったもので、2007年4月から2008年10月までに癌で死亡した患者の遺族に対して調査用紙を送付して実施された。

 調査地域は、鶴岡や柏、長崎などの25の病院と18の診療所で、病院はがん拠点病院の一般病棟とがん拠点病院以外の一般病棟、緩和ケア病棟などに分類された。調査項目の内容は「緩和ケアのプロセス(Care Evaluation Scale)」「アウトカム(Good Death Inventory)」「全般満足度」で、回収率は69%だった。

 死亡場所は、一般病棟が76%、緩和ケア病棟が18%、自宅が6%で、患者の年齢は各施設とも60~79歳までが最も多く、遺族の年齢は60歳代が多かった。

 調査項目中、アウトカムに対する回答では、「医師を信頼していた」が78%、「ひととして大切にされていた」が85%で、全般的な満足度は79%と高かったものの、「痛みが少なく過ごせた」は55%、「からだの苦痛が少なく過ごせた」は51%と、疼痛や苦痛の緩和に対しては十分な水準に達していないことが判明した。

 同研究における評価では、全体的に診療所が最もよく、続いて緩和ケア病棟、一般病院の一般病棟、拠点病院の一般病棟の順だった。

 発表にあたった宮下氏は、地域の緩和ケアの質を向上させるには、病院における癌患者の苦痛の緩和を図る必要があると訴えるとともに、看取りが可能な診療所が増えると緩和ケアの質が向上する可能性があると述べている。
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私はこれが意外でした。

>同研究における評価では、全体的に診療所が最もよく、続いて緩和ケア病棟、一般病院の一般病棟、拠点病院の一般病棟の順だった。

緩和ケア病棟は、一番評価が高いわけでもないのですね。小規模の診療所の方が、拠点病院みたいな大規模な施設より評価が高い。う~ん、そうなのか。。。

となると、自分が終末期となった場合に備えて、十分に下見や調べをしておいたほうがよさそうです。大規模なところほど、一応、医療スタッフの人数とか設備とか、私はそろっているんじゃなかと思っていました。小規模な施設だと、数が増えるし、利用者の評判を聞くのに

それにしても、

>「痛みが少なく過ごせた」は55%、「からだの苦痛が少なく過ごせた」は51%と、疼痛や苦痛の緩和に対しては十分な水準に達していないことが判明した。

疼痛や苦痛を緩和するのは、なかなかむずかしそうです。痛みにメチャ弱の私としては、この点が最大の関心事なんですけど。。。

知人の配偶者が末期癌で自宅療養をしています。近所の内科医が週1回診察に、緩和ケアサービスから看護師が一日置きに点滴を換えに、介護士が毎日来てくれるそうです。なので彼女がすることは、配偶者の体をふくことぐらいなんだとか。
徐々にですが、在宅介護のシステムが整いつつあるように思いました。


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患者の暴力

2010年10月24日 | 患者の気持ち
病院に入院するぐらいなんですから、体の調子が悪いはず…と、思ったら、そうでもない人がいたっ!?

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【医師の首絞め看護師殴る…患者の院内暴力深刻】 Yomiuri online 2010年10月22日(金)11:16

 茨城県内の医療機関で、患者から身体的・精神的暴力、セクハラ(性的暴力)などを受ける院内暴力が深刻な問題となっている。

 ◆現場の声 

 「医者を呼べ、お前らも殴られたいか!」。県内のある病院の夜間救急外来に、酒に酔った男性が来院した。名前を尋ねる女性看護師に「さっさとしろ。チャカ(拳銃)持ってるんだ!」とすごみ、頭をつかんで振り回した。けがはなかったが、この看護師はその後、不眠が2、3日続いた。

 筑波大大学院の三木明子准教授(看護科学専攻)が6月に出版した「看護職が体験する患者からの暴力―事例で読み解く」(日本看護協会出版会)で、全国の院内暴力の実態が明らかにされた。読売新聞の取材では、県内でも「急いでいるから薬だけ欲しい」と診療を拒否したり、「治療期間が長引いた分だけ生活補償しろ」と無謀な要求をしたりする患者や、女性看護師へのストーカー行為など実例は多岐にわたる。

 ◇茨城県内の院内暴力の事例

・看護師が殴る、けるの暴行を受け、 眼窩 (がんか)底骨折で手術、もう1人はあばら骨を折った
・つばを吐く、かみつく、ひっかく、暴言を吐くなどの行為を日常的に受けた
・作業療法士のリハビリ説明が気に入らず、なだめに入った医師が首を絞められた
・朝7時の体操の声かけに行くと、いきなり顔を殴られた。「眠かった」との理由だった
・介助のため、もう1人職員を呼びに行くと説明すると「不親切だ。お前なんて簡単に殺せる」と大声を出し、足げりされた
・ベッド横でカーテンを閉め、体をふいていると胸を触られた
・患者の家族から「体をよくふいていない」、「一番に父の処置をしろ」と召し使いのように扱われた。(2008年、三木准教授の調査より)

 ◆病院の半数被害

 全日本病院協会が2007~08年、全国の会員2248病院を対象に行った「院内暴力など院内リスク管理体制に関する医療機関実態調査」によると、患者やその家族らから職員が院内暴力を経験していた病院は52・1%に上った。1106病院から回答があり、有効回答率は49・2%。

 発生事例のうち、「警察への届け出」は5・8%、「弁護士への相談」は2・1%に過ぎず、多くは院内で対応していた。同協会は「院内暴力の対応に伴う病院負担が大きいことがうかがえる」としている。

 一方、職員の被害状況を院内で把握しようと、報告制度などを整備しているのは38・9%、対策マニュアルや指針を整備しているのは16・2%、院内暴力を回避するための研修を開催しているのは12・7%にとどまった。
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ひぇーーーーっ((((((゜Д゜|||))))))) !!!!
まぢっ、看護師が骨折するほど殴っちゃうのっ??????


こーゆー患者は、他の患者にも迷惑なんだよ、追い出せよと思った人、<ここをクリックよろしくね~ >


〉・作業療法士のリハビリ説明が気に入らず、なだめに入った医師が首を絞められた
〉・朝7時の体操の声かけに行くと、いきなり顔を殴られた。「眠かった」との理由だった

これらの理由には、“甘え”が患者の心理に隠されているような気がします。自分より立場の弱い(逆らってこないであろうことがわかっている)人に、彼らに関係のない自分のストレスをぶつけて、スッとする。
でも、彼らに甘えても、自分の問題は解決しないっ!

…。

おそらく、自分じゃ解決できない問題だと知っているから、他人に甘えるんでしょうね。

〉「警察への届け出」は5・8%、「弁護士への相談」は2・1%に過ぎず、多くは院内で対応していた。
〉職員の被害状況を院内で把握しようと、報告制度などを整備しているのは38・9%、対策マニュアルや指針を整備しているのは16・2%、院内暴力を回避するための研修を開催しているのは12・7%にとどまった。

なるべく院内で処理しようとしているように見えます。しかし、対策も立てない病院の割合が多いのはどうなんでしょうか。

こんなことを許していると、そのうち米国のように、契約した保険会社の指示による病院しか利用できず、結果的に貧乏人は先進医療を受けられなくなるという、制度の導入を検討する日が来るのかもしれません。私はそれを危惧します。

米国および世界各国から、我が国の保険制度は絶賛されているのに。こんなん許していると、「一抜けた」するのは、間違いなく医療関係者ですね。

なかのひと

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CT検査でがんになるか

2010年10月19日 | 患者の気持ち
CT検査でがんになる?


何かと話題になりやすい医師が、新たに注目記事を出したようです。

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【「CT検査でがんになる」 「放射線」専門家が衝撃レポート】


2010年10月14日(木)17時35分配信 J-CASTニュース 

「衝撃レポート CT検査でがんになる」。こんな見出しの文藝春秋(2010年11月号)記事が注目を集めている。筆者は慶応大学医学部の近藤誠講師だ。指摘が本当なら、CT検査は避けるべきなのか。

慶応大学のサイトによると、近藤氏は同大医学部で「放射線科学(治療)」を担当する専任講師だ。

「1回のCT撮影で被ばくする線量でも、発がん死亡の危険性生じる」

CT検査は、X線を360度方向からあて、検出結果をコンピュータ計算し、人体を輪切り映像として可視化する。CT検査による被ばく線量は、X線撮影より「200倍~300倍(多い)とする論文が多い」(近藤氏)。

近藤氏は記事で、「現在は、1回のCT撮影で被ばくする線量でも、発がん死亡の危険性が生じると考えられています」と述べている。「推定」として、45歳の1万人が全身CTを1回受けると「8人が発がん死亡」(0.08%)し、以降30年間毎年同検査を受けると、「190人」(1.9%)が「被ばくにより発がん死亡するとされます」。

こうした流れを受け、「欧米の専門家は、低線量被ばくに発がん性があることを前提に、患者保護のために活発に動いて」いるが、日本では「今日に至るまで、患者保護の動きは緩慢です」「低減努力は奏功せず、国民被ばく線量はかえって増えています」と指摘している。さらに、「まずCT」「何でもCT」という状態が「蔓延」していると懸念を示し、患者には「自身の防護主任となって、不要な検査を避けるしかない」と勧めている。

「CT検査蔓延」の背景として、外来が余りに混んでいるため医者が患者の話を聞く時間的余裕がなく、「先に検査を受けさせてデータ一式を揃えたい気持ちになってしまう」ことや、「CT検査をすればするほど、病医院が経済的に潤う医療構造」などを挙げている。

近藤氏はさらに、「発がんリスクという不利益」があるがん検診が正当化されるには、がん検診が寿命を延ばすことが証明されなくてはならないが、「どの臓器のがん検診も、この証明が不存在で、中には寿命短縮が証明された検診すらある」とも訴えている。

「リスクは極めて低い」と否定する声も

確かに近藤氏が指摘するように、「肺がん検診を受けると寿命が短くなる」というチェコスロバキア(当時)や米国での調査結果などがあるそうだ。週刊現代(10年7月17・24日合併号)で、新潟大学医学部教授(予防医療学)の岡田正彦氏が指摘している。調査対象となった検診での検査は、CTよりも被ばく線量が少ない胸部レントゲン撮影だ。

こうした認識は、近藤氏以外の国内の医師にも広がりつつあるようだ。東京都内のある60代の会社経営者は数年前、かかりつけの呼吸器専門医からこう言われたことがあるという。「肺に小さな影があります。継続的にCT検査をし続け、肺がんの早期発見につながる可能性と、検査による被ばくの影響でかえってがんになってしまう危険性とを比べると、CT検査を続けた方が良いのかどうか一概には言えません」。さらに、CT検査による被ばくの危険性については、「まだ表立って議論されていませんが、いずれ大きな問題になってくるでしょう」とも話したそうだ。

一方、独立行政法人「放射線医学総合研究所」の赤羽恵一・重粒子医科学センター医療放射線防護研究室長は、近藤氏の指摘をこう否定した。

「論争が多い論文を定説のように引用するなど、誤解を与える表現が多々ある」「極めて低いリスクをむやみに怖がるより、検査の必要性を判定した上で、必要なCT検査は受けた方がメリットが大きい」

赤羽氏の指摘の要点は次のようなものだ。(1)近藤氏指摘の「検査1回の線量」の10倍の線量を超えると発がんリスク上昇が確認されているが、下回る線量の場合、リスクがあるかないかはっきりしていない。それでも安全確保上「ある」と仮定して防護基準を決めており、リスクは「ゼロではない」という程度の低いものだ。(2)そもそも、放射線の影響を受けなくても30%以上の人ががんになり(生涯がん死亡リスク男性26%など)、食生活やタバコの影響が大きいとされている。こうした「リスク」と、CT検査などの「リスク」を比べる必要がある。(3)CT検査の「リスク」はゼロではないとしても、早期発見で治療を受けることができることや、異常がないと分かり安心できる、というメリットとを比較して判断すべだ。

もっとも、近藤氏が指摘するように、必要性が低い検査が安易に行われている実態も少なからずあり、「不必要な検査はしない、受けないという姿勢が大切だ、という点は賛同できる」とも話していた。
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こーゆー記事が発表されると、、、患者としては困っちゃうんですよね。CTを受けた方がいいか、やめた方がいいか。

 CT検査による被ばく線量は、X線撮影より「200倍~300倍(多い)とする論文が多い」

これを聞けば、CTの被曝量が随分大きく、むやみに検査してちょとはいえなくなりそうです。

 「CT検査蔓延」の背景として、外来が余りに混んでいるため医者が患者の話を聞く時間的余裕がなく、「先に検査を受けさせてデータ一式を揃えたい気持ちになってしまう」ことや、「CT検査をすればするほど、病医院が経済的に潤う医療構造」などを挙げている。

これもありそうですし、患者としても、せっかく病院まで来たのに診断がハッキリつかないのは不満を生みそうでもあります。

上記の「肺に影あり」のトピックのところで、私が思い出すのは家人のケースです。X線でぼんやりと肺に影。医師は「しばらく様子を見ましょう」だったのですが、なんか咳が続く家人が心配で、CTをどーしても撮ってほしいと強めにお願いしました。その場でCT検査したら、肺がんだったんです。

で、再発肺がんとなってから、担当医が様子見で3カ月に1度のCT検査を実施。いや~~、これには精神的に参りました。だって、再発だもん。悪くなることはあっても、よくなることはないのですから。3か月ごとに悪くなるのを確認するようなものじゃないですか。患者本人も付き添う私も、自律神経が失調しちゃいました。

こういう経験がある私としては、なんとも複雑です。


つまり、「不必要な検査はしない、受けないという姿勢が大切だ、という点は賛同できる」でいいよね、と思う人、<ここをクリックよろしくね~ >

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癌患者の怒り

2010年08月05日 | 患者の気持ち
病人は扱いにくいですね。
物事を悪いへと考えることをやめないし、わがままになるし、ひがみっぽくもなる、、、あ、これ、私のことです(^^;)。

だってさ、犯罪を犯すことなく、まーまー普通に過ごしてきて。で、癌の告知。
「なんで私なのよぉぉーっ」と、叫びたくなっちゃいますもん。グレたくもなりますわ。

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【心を支える――癌患者の怒りと否認の背後にあるものは何か】 2010. 6. 22

  第15回日本緩和医療学会2010年6月18日~19日 東京

医療従事者は、臨床で癌患者が怒りや否認を示す場面に、たびたび遭遇する。怒りに対しては患者の感情に惑わされずに奥にある本質を観察すること、否認については受け入れるべき否認と直面化を図るべき否認を判別し対応することが重要である。6月18日、19日と東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会のシンポジウム「こころを支える」で、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科の大西秀樹氏が解説した。

 緩和ケアを提供する医療者は、癌患者の怒りや否認に遭遇することも多く、対応に苦慮し、疲弊することも少なくない。

 同シンポジウムでは、激しい怒りを看護師に向ける再発癌患者と、病状について否認を繰り返す再発癌患者を事例に挙げ、医師、臨床心理士、看護師がそれぞれの立場から対応について議論を交わした。

○患者の怒りに振り回されない

 大西氏は、怒りを癌の診断などにともなう「適応のための感情」と説明した。治療が順調な時は発生しにくく、喪失や病気による負の結果、治療が順調にいかなくなった場合に生じることが多い。怒りの頻度は癌患者の訴えの9%に過ぎないことが報告されている。

 怒りには次の3種がある。「anger-in」、すなわち怒りを抑えている場合、ソーシャルサポートに負の影響を与える。「anger-control」、すなわち怒りを上手にコントロールしている場合、適応的でソーシャルサポートに良い影響を与える。「anger-out」、すなわち怒りを表現している場合、QOLの向上につながり、抑うつを減らす働きをする。

 怒りに対応するためには、怒りの感情に振り回されないことが重要だ。怒りという表出している現象の奥にある本質を観察するよう努める。患者が自分自身の辛さを他の人の責任に置き換えている可能性もある。論理的な対応は避けるべきである。患者が「あの看護師は良い」「あの看護師は悪い」と分け、スタッフを意図的に振り回す場合もあるが、スタッフ同士で対応を批判し合うことは、怒りの奥にある本質から目をそむけることになってしまう。怒りは個々で受けないようにし、スタッフ内の意見を統一しておくことが大切となる。

 患者の苦痛につながるコミュニケーションとして、共感的な態度を示すことが重要だ。その上で、不適応な行動は本人に良くないことを徐々に伝えていく。怒りと欲求不満を表現するよう促す精神療法も有効とされる。

 看護師が困惑し疲弊している状況を緩和するためには、現状を全員で共有し、怒りの背後に見えてくるものを整理する。短期に解決するものではないこと、スタッフのだれかが悪いのではないと確認することも重要だという。

 必要な鑑別診断として、人格障害、うつ病、統合失調症があり、また長年飲酒歴がある患者ではアルコールの影響、さらには否認も考慮する必要がある。

○受け入れるべき否認と直面化を考慮すべき否認を判別

 次に大西氏は、否認について「現実の脅威となる局面を否定すること」と説明した。否認の働きについて、最近の研究では「辛い感情、出来事から逃れるため、日常的に行われている自己防衛的な機能」と解釈されている。否認の頻度は5~50%と報告されている。

 否認はon-offの現象ではなく「プロセス」であり、程度は時間の経過とともに減弱することが多い。医療現場では診断の否認、衝撃の否認、感情の否認、回避行動などに分類される。ある時は有用、ある時は有害であるため、臨床ではどちらであるかを判断する必要がある。

 患者が自分の診断結果や今後の治療に質問をしなかった場合や、深刻な事態など何もないように話している場合は、否認に気がつくべきである。

 否認に対するケアの原則は、1)まず訴えを聴く、2)否認で本人が精神状態を保っている場合があるので強引な直面化は避ける、3)治療に重大な影響を及ぼす可能性がある場合、関係性を壊さないよう穏やかな直面化を図る、4)否認について家族に分かりやすく説明する、5)「あの患者は分かっていない」といった逆転移に注意する――とされる。

 否認はプロセスであることから、まず否認の状態を観察し、治療に悪影響がない場合はそのまま受け入れ、経過観察とする。今後の治療に影響するほど否認が強い状態が持続する場合、直面化を考慮する。

 必要な鑑別診断としては、意識障害、うつ病がある。

 癌患者の怒りと否認の背後にあるものは何か――。ここに着目することから、患者の心を支える医療が始まるのだ。
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再発癌患者だった私の母は、長らく一人暮らしをしており、診察の前日に私が帰省、病院に同行するという生活を続けました。で、医療スタッフには穏やかに対応するのに、身内の私には怒りの鉾先を向ける。俺、やってらんねー、というわけで、私は逃げるように都へトンボ帰り、、、というのもなあと、結局、数日は怒りを浴びて帰る、の繰り返しでした。

盆と正月にしか帰省しない妹に対しては、医療スタッフやご近所と同様、やっぱり怒りを向けることはしない。やっぱり、俺、やってらんねーですよ、わたし的には(苦笑)。

>怒りを癌の診断などにともなう「適応のための感情」と説明

これを知っていたらなあ。ひょっとしたら母は私が嫌いなのでは?と、心の奥底で思ったことがありましたから。

>患者が自分自身の辛さを他の人の責任に置き換えている可能性もある。論理的な対応は避けるべきである。
>怒りは個々で受けないようにし、スタッフ内の意見を統一しておくことが大切となる。
 患者の苦痛につながるコミュニケーションとして、共感的な態度を示すことが重要だ。その上で、不適応な行動は本人に良くないことを徐々に伝えていく。

これも失敗です。理論的な対応しちゃっていました(苦笑)。

否認は、「現実の脅威となる局面を否定すること」なんですね。
母の緩和ケア医が言ったことに、「長期生存者には、あなたのお母さんのように、病気のことは積極的に知ろうとせず、淡々と過ごす人が多い」が印象深かったです。

否認が現実を否定する行為ならば、それは再発がん患者にとって、なんとかうまくやり過ごす知恵でもあると思います。現実を直視し、困難を打破する…って、米国人ならばひょっとしたらよい方法なのかもしれません。でも、心身ともに弱っている人が、現状を打破するのって、どーなんでしょうか。大きな負荷がかかりそうです。

自分の母がのらりくらりと病気から逃げる態度を取っており、これもなかなかよい方法だと実感した次第です。
「死の受容」って、そんなに簡単にできるものではないような気がします。否認、これもアリだな。

実際に癌患者を看取った今、癌で死ぬのもそんなに悪くないなと私は思っています。


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眠れないとはどういうことか?

2010年07月04日 | 患者の気持ち
自分が速効で寝付けるタイプなので、なかなか寝付けないという人の気分がいまひとつわからずにいました。

で、これがどんなに苦しいものなのか、理解できたのは家人の看取りがきっかけです。
あの頃は毎日、一寸先も読めず、家人も私もどうなっていくのかと思うと、大きな不安の濁流に飲み込まれた気分でした。体は激疲れのはずが、病院からの呼び出しがあるかもしれないと、全く眠りにつけなくて。

一睡もできず、でも眠くもならず、、、これが数日続きました。初めての体験でしたので、とても怖かったです。で、何とかこの事態から逃れようと、市販の睡眠導入薬を飲んだのですが。。。

きっかり3時間寝れました。が、、、ぜんっぜん爽やかな寝起きとはならず(T▽T)。薬を飲む前の、頭は疲れ思考は回らず、神経は過敏になった状態のつづきが待っていただけでした。ものすごーくがっかりしました。

というわけで、この時、うつ病からくる不眠で苦しむ人の気持ちが、始めてわかったのでした。睡眠薬を飲んでも、症状は改善しないんだなあと、身をもって知りました。

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【「眠れない」とはどういうことか?――人は毎日生きて、毎日死ぬ】

  ――自分が本当は何がしたいのかわからない。


「なかなか寝つけない」「寝ても眠りが浅くて、疲れがとれない」「寝よう寝ようと思うと、よけい眠れなくなってしまう」

 このような不眠症状は、「うつ」状態においてはもちろんのこと、精神的なバランスが乱れた場合に生じてくる、かなりポピュラーなものです。

 通常の治療では、「うつ」などの原疾患に対する治療薬とともに、その不眠の性質に応じて睡眠導入剤が処方される対症療法が行なわれます。

 しかしながら、不眠がかなり深刻になってくると、強力な睡眠剤を複数組み合わせて用いても「眠れる時には眠れるけれど、やっぱり眠れない時には薬を飲んでも眠れない」という状態に陥るケースも珍しくありません。何が何でも眠れるようにとさらに薬を増強していくと、強い眠気や脱力が長時間持ち越されてしまい、翌日が使い物にならなくなってしまったりします。

 今回は、このように通常行なわれている薬物療法で見落とされがちなポイントについて、つまり、不眠という状態をどう捉えるべきなのか、不眠という症状からどんなメッセージが受け取れるのかといったことを考えてみたいと思います。
「眠れない」とは?
まずは、「眠れない」ということについて、よく吟味してみましょう。
「眠れない」とは、「眠りたいのに眠れない」「眠るべきなのに眠れない」ということを省略した言い方であろうと思われます。
「頭」は本来「~すべき」、つまりmustやshouldの系列の言葉を用いる場所です。一方の「心」は「~したい」、つまりwant toの系列の言葉を発します。

「心」と「身体」は矛盾なく一心同体につながっていますが、理性や意志の場である「頭」は、「心」(=「身体」)に対してコントロールをかけたがる性質があって、「心」との通路を閉ざして一方的な独裁体制を敷きがちです。それは「頭」が「心」との間の蓋を閉めてしまった状態で、人間は「頭」vs.「心」(=「身体」)と分断されてしまい、両者は対立の様相を呈することになります。

 さて、この仕組みから考えますと、「眠るべき(頭)なのに眠れない(身体)」は蓋が閉まっている状態として理解できますが、「眠りたい(心)のに眠れない(身体)」ということはあり得ないことになります。さてこれは、どういうことなのでしょうか。

眠りは「心」=「身体」のもの
―「頭」に命令されてたまるか!
これは、「頭」による偽装工作の結果だと考えると、簡単に説明がつきます。
 つまり、「眠るべき」を「頭」が「眠りたい」に偽装したということです。この種の偽装は「頭」がしばしば行なうもので、「学校に行くべき」を「学校に行きたい」にすり替えたり、「会社に行くべき」を「会社に行きたい」にすり替えたりするのです。

 偽装というのは大げさに響くかも知れませんが、別の表現で言うならば、「心」(=「身体」)の声を無視して「頭」の意志が一方的に作り出した「~したい」であったということです。

 少々回り道をしましたが、ここで整理しておきますと、「眠りたいのに眠れない」という言い方も、実はその正体は「眠るべきなのに眠れない」だったということなのです。

 つまり「眠れない」という状態は、「眠れ!」と高圧的に指令する「頭」と、「意地でも眠るものか!」と反発する「心」(=「身体」)の対立の構図で理解できるということです。

なぜ「心」(=「身体」)は、
「眠るまい」と反発するのか?
「眠るまい」と「心」(=「身体」)が反発するのには、いくつかの理由が考えられます。
1つは、そもそも眠りは「心」(=「身体」)の側が自然に行なうはずのものであって、「頭」によって指示される筋合いのものではないということです。

「頭」に相当する部分を持たず「心」(=「身体」)だけでできている自然界の動物においては、睡眠は自然な欲求であり、葛藤なく実現されています。ですから、「心」(=「身体」)にしてみれば、「頭」が睡眠に口を差し挟んでくることは越権行為であり、それに反発を覚えるのも当然のことでしょう。

 現代人の生活は、案外歴史の浅い、時計仕掛けの硬直化した時間によって毎日の生活が規制されています。

 季節が変わっても、天候がどうであれ、体調や気分がどんなでも、決まった時間に起床し出勤しなければなりません。そこから逆算して、睡眠を○○時間とるべきだから何時には寝るべきである、と「頭」が計算し、きちんと実行できることが「規則正しい」ことだとして奨励されています。

 日々刻々と変わる生き物としては、必要とする睡眠の長さが日によって違ったり、眠くなる時間が変動したりすることはごく自然なことなのですが、しかしこれも現代の常識からすれば、「不規則な睡眠」として異常視されてしまう状況なのです。また、「うつ」状態においてよく見られる昼夜逆転の状態も、その意味が熟慮されずに、はなから病的なものと捉えられてしまう残念な傾向もあります。

 フランスの啓蒙思想家ルソーは、代表作『エミール』の中で次のように述べています。

食事と睡眠の時間をあまり正確にきめておくと、一定の時間ののちにそれが必要になる。やがては欲求がもはや必要から生じないで、習慣から生じることになる。というより、自然の欲求のほかに習慣による新しい欲求が生じてくる。そんなことにならないようにしなければいけない。

子供につけさせてもいいただ一つの習慣は、どんな習慣にもなじまないということだ。(今野一雄訳、岩波文庫より)

1日を一生と捉えて毎日の死を迎える

「心」(=「身体」)が「眠るまい」とするもう1つの理由として、今日1日の幕を引く気になれないということが考えられます。
 メメント・モリ(memento mori「死を想え」「死を忘れるな」という意味)という古いラテン語の格言があります。これは、「死」というものを想うことによって、ともすれば浪費されがちな「生」の有限性とはかなさを知らしめる警句です。

「よく死ぬ」ためには「よく生きなければ」なりません。ここで言う「よく生きる」とは、自分に生来与えられた固有の資質を存分に開花させ、自分らしい「生」を享受する生き方のことです。

 これを1日の単位で考えてみても、同様のことが言えるのです。
 1日を締めくくる眠りを、いわば「毎日の死」として捉えてみると、今日1日を「よく生きて」いなければ、「よく死ねない」。つまり、「死ぬに死ねない」がゆえに不眠になってしまうわけです。

1日をどう締めくくるか
 もちろん、1日は限りある短い時間ですから、欲張ってあれもこれもすることはできません。しかしながら、1日の中でたとえわずかでもその人らしい時間を持つことができたか否かは、その日の眠りを大きく左右します。

 よく「身体を動かして疲れれば眠くなるものだ」と言われたりしますが、これは「身体を動かす」ことがその人らしい過ごし方である場合に限って有効なものであって、そうでないタイプの人がいくら身体を動かしても、「身体は疲れているのに、頭だけが冴えてしまって眠れない」ということになってしまいます。

 静かに読書したり、音楽を聴いたり、日記をつけて自分との対話を行なったりすることがその人にとって大切な「自分らしい時間」であるならば、たとえ30分でもそんな時間を持つことによって、自分の奥底で何かが充足し納得するので、眠気も自然に訪れやすくなるでしょう。

どのように過ごすことが「自分らしい時間」になるのか、それは各人各様ですから、自分自身で試行錯誤しながら見つけていく必要があります。

 おびただしい「すべきこと」に追い立てられ日々を過ごさざるを得ない私たちにとって、ここで述べたようなことを実行することは、なかなか容易ではないかも知れません。しかし、何が自然で何が不自然なことなのか、日々の生活に何が欠けているのかということに無自覚であるよりは、せめて問題の所在に気づいているだけでも大きな違いなのです。

 また、薬物療法を要するような不眠に苦しんでいる方であっても、社会化された「頭」が、内なる自然(「心」=「身体」)に向かって力ずくで睡眠剤という爆弾を投下し「あるべき睡眠」を強要するようなイメージではなく、時間に制約された状況に生きているがゆえに薬を使わざるを得ないことを、自分の「心」(=「身体」)に詫びつつ、「これで少しでもお休みください」とお願いするような気持ちで薬を使用することが大切だと思うのです。
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ここでは、「眠りたいのに眠れない」という言い方は、その正体は「眠るべきなのに眠れない」だったということになっていますね。
で、現代人の生活は、歴史の浅い、時計仕掛けの硬直化した時間によって毎日の生活が規制されている。
で、ルソーの作品から引用し、眠れないと言う人は、体の必要性からくる欲求より、習慣による欲求に支配されているのではないかと指摘しています。
「自分らしい時間」を過ごすことが、眠りにつく鍵としていますが、、、確かにこれを探すのは難しそうですね。だって、「自分さがし」って言葉がはやるほど、自分が何者なのかわからん人は一杯いるでしょうから。

私は寝しなに、数学の問題をやったり、哲学書みたいな難解な本を読み出すと、とたんに眠くなります。そういえばリカ子は、数学の問題を解きだすと、頭が冴え、シャキっとすると言っていました。
「自分らしい時間」、私にとって数学とか哲学は違うみたいです。

自分の奥底で何かが充足し納得するという「自分らしい時間」、、、私のそれは、ネットオークションです! これをやりだすと、リカ子と同様、頭が冴え、興奮し、眠りに、、、あれっ、眠りにつけないよ!


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プチ同窓会

2010年05月30日 | 患者の気持ち
この1年で、葬式に4回も出席しちゃいました。もう、結婚式より葬式に出る機会の方が、断トツに多いです。
この人は100歳ぐらいまで生きるんじゃないか、と思うような健康そうな人が、急に亡くなったりします。

改めて故人に挨拶をする意義を、ひしひしと感じるようになりました。葬式に出て、きちんと別れを言いたい気持ちが年々、強まります。

私自身は癌になっちゃったので、お世話になった人とか、大切な友達とか、ここらで一度、きちんと挨拶をしておきたい気持ちが湧いてきていました。
で、教授を偲ぶ会へ出席しました。

まあ、同窓会みたいなもんですわ。4年ほど前、私は乳がんと診断され、あわてて実家へ引き上げ、手術。抗がん剤治療の1年間は体調悪く、外出する気分になれず。治療が終了しても、どーも自律神経が乱れっぱなし、電車に乗ることができず。そのうち親の介護が大変に。

というわけで、フケこんだ顔を元同僚や先輩、後輩、そしてお世話になった先生方に見せるのは、実はいやだなあと思っていたのですが。。。
4年の歳月は、誰にも平等でした!(笑)

で、元同僚から驚きのニュースを聞きました。
ある部署にいた職員のことです。その人は、いじめをするので有名だったんです(苦笑)。本当に皆に知れ渡るほど、人をいじめちゃうんです。

いじめのターゲットは、裕福な家庭で育った学歴の高い人。こーゆー人って、一般にはモテる系の人ですよね。
なので、その部署では、、、学歴の高い人は、退職する運命にありました(やっぱり苦笑)。

私から見ると、こーゆー人は他人をバッタバッタ切り倒し、自分の道を突き進む。他人からの評判なんて全く気にしない、強い心臓を持った人のように見えたのですが。。。

なんと最近、退職しちゃったんだそうです!
理由が、、、、同僚からのいじめ!!??

とても信じられず、「えー? えーーっ??」と、何度も聞き返しちゃいました。

あー、びっくりした。
絶対仕事を辞めそうにない人だと思いましたが、、、辞めるほどのいじめをした人って、一体どんな人なんだろう???
すご~~~く知りたい!


うん、私も知りたいと思った人、<ここをクリックよろしくね~ >


人生、いつ何が起こるか、、、ホント、わからない。

実は私も、関係の薄かった一部の元同僚たちに、ノエルは乳癌で介護が必要な状況になった、と思われていたようです。
癌の悪性度が最悪の型だった私が、こうして生かされているのは、見方によっては確かに、すんごいことが起こっているのかもしれません。

なかのひと

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高額医療費と乳がん

2010年05月14日 | 患者の気持ち
乳がんの好発期は45~55歳といわれていますが、、、この時期って、働き盛り。子育が一段落し、老親の介護にも少し間があるかという時期ですね。フランスでは人生で一番充実を味わえる時期と言われているそうですし。
で、こんな時期に乳がん罹患率がピークに達する、、、この病気は精神的なダメージも大きいですわ。

ハーセプチンとタキソールの術後補助療法を受けていた時期、毎週3割負担で10万円近くの医療費を、私は毎週払っていました。金銭感覚が麻痺してしまい、十数円とか数百円の節約をする気持ちが全くなくなりました。
いつもより贅沢な食べ物を食べていたような気がします、、、治療が終わった頃から、そのツケを払うのに四苦八苦しちゃったんですけど。。。(^^;)

なぜこんな高価な治療を受けることにしたかというと、まだ若いからです。もし、自分が70歳を過ぎて乳がんになったとしたら、既にほどほどの年数を生きることができた、私の人生、これでよしとしようと、自分に言い聞かせることになったような気もするのです。70歳を前に、多くの人が亡くなりますから。

生物界には、“自然淘汰”があります。若くして乳がんになった私は、生命力の弱い遺伝子を持っているのかもしれません。生物界には、あまり残さないほうがよい遺伝子なのかもしれません。それでも、一旦、生物として生き始めると、死にたくなくなります。

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【<高額医療費>「負担感」年々増加 「金の切れ目、命の切れ目」】毎日jp 2010年5月9日(日)13:00

 「がんは一生付き合わなければならない。今は、わずかな収入と蓄えがあるが、働けなくなったらどうなるのか」。乳がんに侵された東京都内の女性(47)は、将来を考えると、不安にかられる。

 女性は01年に乳がんが見つかった。08年秋以降、左肺、肺のリンパ節、座骨へ転移し、抗がん剤治療を続けている。

 昨年の治療費負担は、高額療養費制度を使っても年約50万円になり、髪が抜けた頭を隠すかつら代などを含めると、支出総額は約80万円に上った。派遣社員として旅行の添乗員の仕事をしていたが、治療で休みがちになり、昨年の収入は約50万円。傷病手当の年約100万円を加えても、到底足りない。

 昨年末、派遣会社を退職したが、生活費と治療費で毎月計約18万円かかる。このため、無理してでも添乗員のアルバイトに出掛ける一方、預貯金を取り崩してしのいでいる。

 女性は年金生活の母親(73)と2人暮らし。「今は元気な母が病気になったらと思うと……」。そう言ったきり言葉を詰まらせた。
    ◇
 高額化した治療費を稼ぐため、病気で思うようにならない体で、働き続けるしかない患者の苦しみは深い。

 東北大が実施し、06年度にまとめたがん患者らへの調査では、抗がん剤治療を受ける患者の自己負担額の平均は年103万円になった。前立腺がんなどを切らずに治療する粒子線治療の場合は平均年473万円に達した。

 一方、児玉有子・東京大医科学研究所特任研究員らが昨年、慢性骨髄性白血病患者約560人を対象に実施した調査によると、患者の年収は00年に比べて08年は約3割減った。治療費に負担感を持つ患者は00年の42%から05年は60%、08年には75%と増えていた。

 児玉さんは「収入が減り、医療費の負担感が増えている人は、『治療中断予備群』といえる。早急な対策が必要だ」と分析する。
    ◇
 昨年10月、東京都足立区で、53歳の白血病の長女を77歳の乳がんの母親が殺害する事件が起きた。長女は高価な特効薬グリベックを服用しており、警察の取り調べに母親は「(自分も含め)治療に金がかかる」と将来を悲観する供述をした。事件は今後、裁判員裁判で審理が行われる予定だ。他にも08年に岡山県で肝がんの医療費を工面できないため心中を図り、内縁の夫を窒息死させたとして女性が承諾殺人罪で実刑判決を受けるなど、治療費の負担を苦にして事件に発展するケースが各地で相次いでいる。

 医療費の負担に耐えきれない患者や家族の悲鳴が広がっている。都内の診療所で抗がん剤治療にあたる医師は、自らの体験を振り返り、患者の負担軽減を訴える。「(以前勤務した)公立病院では、毎月2万円の治療費が支払えず、治療をあきらめた乳がん患者がたくさんいた。『金の切れ目が命の切れ目』になりかねない状況になっている」
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ある乳腺外科医の話しで、抗がん剤がとてもよく奏効し、健康な人と同じ生活ができるぐらい回復した乳がん患者さんがいたそうです。ところが、次第に治療費が負担となり、治療を断念。病院に来なくなって1年後、救急車で運ばれたその患者さんを再び見た時は、大変辛かったと言います。

乳がん以外のがんだと、高齢になってから罹患する場合は多い。長寿社会の陰の問題といってもよいのかもしれません。何よりも本人が、死を感じる病気です。独居生活だと、介助者がいないのは肉体的に辛く、かつ精神的にも大変心細くなると想像します。


で、政府は医療費問題にも着手するようです。

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【医療自己負担、上限4万円に軽減…来年度にも】 Yomiuri online 2010年5月8日(土)14:40

 政府は8日、医療費の窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻す高額療養費制度について、70歳未満の年間所得約300万円以下世帯(住民税非課税世帯は除く)の負担上限額を現行の月額約8万円から月額約4万円に引き下げる方向で検討に入った。

 年内に厚生労働相の諮問機関「社会保障審議会」で具体案をとりまとめ、2011年度にも実施したい考えだ。
 新制度の適用を受ける対象者は、3000万人程度と想定している。

 現行制度では、70歳未満の高額療養費の自己負担の月額上限額は、所得に応じて、「住民税非課税世帯」は3万5400円、「一般所得世帯」(年間所得600万円未満)は約8万円、「高額所得世帯」(年間所得600万円以上)は約15万円となっている。

 高額療養費の対象となるのは、がんや神経性難病などの患者が多く、過去12か月以内で3回以上、高額療養費の支給を受けた場合は4回目から半額程度に軽減する特例が設けられている。

 しかし、最近は景気低迷で医療費負担に苦しむ患者も増えていることや、効き目が大きい高価な抗がん剤が普及してきたことから、一般所得世帯のうち、約3分の1を占めると見られる所得世帯の負担軽減が必要だと判断した。

 厚生労働省によると、高額療養費は、医療費ベースで年1・6兆円(2007年度)。同省の試算では、年間所得約300万円以下の世帯の上限額を半額に引き下げることで、医療費ベースで4000億~5000億円程度、国庫ベースで1000億円以上の財源が必要となるという。実現に向けては財源の確保などの課題がある。

 ◆高額療養費制度=1か月の医療費が自己負担の上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度。現行では自己負担の上限額は所得水準によって、70歳未満で3段階、70歳以上で4段階に区分されている。例えば、60歳の患者が腹痛により7日間救急病院に入院すれば、医療費は約42万円、3割負担で約13万円かかるところ、自己負担は約8万円にとどまることになる。
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一見すると、がん患者には朗報に見えるかもしれません。
しかし、財源はどこから???

「そんな生活力のない層ばっか助けちゃ、がんばって働く人の意欲を削ぐ。結果、日本の国力が下がるんじゃね?」なんて声が上がったらどうしましょう。

yasuu先生のブログには、車椅子で通院する患者さんが、満員電車に乗る際、どっかのおっちゃんが乗れなくなったとありました。その際、アンタは優先されるべき人間なのか、というような捨て台詞を残したとのこと。
「癌になったら、国費をうんと使うような治療はするな」と言われたら、私は癌になってすみません、でも、まだまだ生きたいです、としか言いようがありません。

高齢者問題も似たようなものです。
大家族の生活は、自由が少ない。だから核家族で住みだした。結果、子どもたちも核家族で生活を営み、親の介護はしなくなった。高齢者の独居暮らしが増える。昔なら、これが寿命と医者に言われ、それで葬式となったが、現代のような延命治療が発達すると、医療費をかけて寿命が伸びる。

で、やっぱり高齢者だって、もっと生きたいと思っているような気がします。高齢者の立場になれば、自分たちが頑張って働いた結果、若い世代が今の豊かな世界を享受しているんだかんね、と思うでしょう。

戦時中の記録を見れば、病人や高齢者は現地に置き去り、撤退の足手まといになれば、乳児や女、子供も置き去り、というか、赤ん坊なんかその場で殺し、親は泣きながら逃げたという記録もある。

このまま社会状況が悪化すれば、人々の頭の中は戦争時代と似たような思考が生まれてくるような気もします。


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