西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

157-浜松風

2010-02-11 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―7「浜松風」

「田舎神子」の翌年(1807)、中村座では瀬川路考(3代目)の引退興行があり、
その翌年3月、中村座は大坂の人気役者、中村歌右衛門(3代目)を呼んだ。
松本幸四郎(5代目)、坂東三津五郎(3代目)、岩井半四郎(5代目)のいる
市村座と対抗するためだ。

六左衛門の次の曲は8月の歌右衛門の所作、「浜松風恋歌」(通称「浜松風」)。
いわゆる謡曲を題材にした、”松風村雨物”で、先行曲に常磐津や富本がある。
今回はその長唄版というわけだ。

松風、村雨は須磨に在した姉妹。
有原行平が須磨に流されていた3年の間に、行平は姉妹を愛するが
赦免されると、二人を残して都に帰ってしまう。
捨てられた姉妹は実らぬ恋を嘆き、命を絶ってしまう。
というのが原型。

長唄版では、松風の怨念が下女小藤に乗り移り、
発狂して行平の狩衣を着てさまよう。
それを小藤に恋する此兵衛が追い回す、という趣向。

 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景
photo by 和尚
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 156-田舎神子 | トップ | 練習 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

時系列的長唄の見方(c)y.saionji」カテゴリの最新記事