西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

164-冬の山姥

2010-02-19 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―14「冬の山姥」


次は山姥の、山中の暮しぶりを描く。


『柳は緑 花は紅の色々(自然の中に住み)
 さて人間に遊ぶ事(人間であることを楽しむ)
 あるときは山賤の(ある時はきこりが)
 樵路に通う花のかげ(休む花の下に出向き)
 休む重荷に肩を貸し(荷物をかつぐのを手伝い) 
 足柄山へ分け入りて
 又天神へ誓いを立て  
 心尽くして育てし我が子
 数えてみれば 幾とせか(すっかり大きくなったものだ)
 松の緑も苔むして
 さざれ石 巌となりしを(小さな石も、苔むして大きくなるのに)
 見れども変わらぬ我が姿(私の姿はちっとも変わらない)
 ただ鬼女とのみ里人の(里人は鬼女とからかい)
 我を恐るる恥ずかしさ(恐れおののく、情けなさ)
 髪はおどろを頂きて(髪はくしゃくしゃ)
 我が子と共に力業 
 夫の菩提や我が子の為にのみ
 よし足引きの山姥を(ままよ、この山姥を)
 慕う我が子を呼子鳥』 

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tea breaku・海中百景
photo by 和尚

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