西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

7-鷺娘

2009-07-28 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
富士田吉治―6「鷺娘」


まずは鼓唄
(鼓のみの伴奏で唄う。謡曲や、曲舞の手法を取り入れたもの)
で始まる。

『妄執の雲晴れやらぬ朧夜の
 恋に迷いし 我が心』

そして普通の長唄になる。

『忍ぶ山 口舌の種の恋風が
 吹けども傘に雪もって
 積もる思いは淡雪の 
 消えてはかなき 恋路とや
 
 思い重なる胸の闇 
 せめて哀れと夕暮れに(せめて哀れと言っておくれ)
 ちらちら雪に 濡れ鷺の
 しょんぼりと可愛らし
 
 迷う心の細流れ
 ちょろちょろ水の一筋に
 怨みの外は白鷺の(怨むこと以外、知らない)
 水に慣れたる 足取りも
 濡れて雫と消ゆるもの

 我は涙に乾く間も(私の涙は乾く間がない)
 袖干しあえぬ月影に(人目を忍ぶ恋だから)
 忍ぶその夜の話を捨てて』(切ない逢瀬で我慢なの)


 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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