富士田吉治―6「鷺娘」
まずは鼓唄
(鼓のみの伴奏で唄う。謡曲や、曲舞の手法を取り入れたもの)
で始まる。
『妄執の雲晴れやらぬ朧夜の
恋に迷いし 我が心』
そして普通の長唄になる。
『忍ぶ山 口舌の種の恋風が
吹けども傘に雪もって
積もる思いは淡雪の
消えてはかなき 恋路とや
思い重なる胸の闇
せめて哀れと夕暮れに(せめて哀れと言っておくれ)
ちらちら雪に 濡れ鷺の
しょんぼりと可愛らし
迷う心の細流れ
ちょろちょろ水の一筋に
怨みの外は白鷺の(怨むこと以外、知らない)
水に慣れたる 足取りも
濡れて雫と消ゆるもの
我は涙に乾く間も(私の涙は乾く間がない)
袖干しあえぬ月影に(人目を忍ぶ恋だから)
忍ぶその夜の話を捨てて』(切ない逢瀬で我慢なの)
〓 〓 〓
tea breaku・海中百景
photo by 和尚
まずは鼓唄
(鼓のみの伴奏で唄う。謡曲や、曲舞の手法を取り入れたもの)
で始まる。
『妄執の雲晴れやらぬ朧夜の
恋に迷いし 我が心』
そして普通の長唄になる。
『忍ぶ山 口舌の種の恋風が
吹けども傘に雪もって
積もる思いは淡雪の
消えてはかなき 恋路とや
思い重なる胸の闇
せめて哀れと夕暮れに(せめて哀れと言っておくれ)
ちらちら雪に 濡れ鷺の
しょんぼりと可愛らし
迷う心の細流れ
ちょろちょろ水の一筋に
怨みの外は白鷺の(怨むこと以外、知らない)
水に慣れたる 足取りも
濡れて雫と消ゆるもの
我は涙に乾く間も(私の涙は乾く間がない)
袖干しあえぬ月影に(人目を忍ぶ恋だから)
忍ぶその夜の話を捨てて』(切ない逢瀬で我慢なの)
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tea breaku・海中百景
photo by 和尚