西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

影清

2010-04-07 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
42ー「影清」(1839・天保10年・中村座)

影清は平家の侍、藤原影清のことだ。
源平合戦で、源氏方那須与一に一本取られた平家は
雪辱戦にと三人の猛者を浜に送った。

見るからに強面の武者に、源氏方は這々の体で逃げ回る。
しかし、何しろ砂地で足が取られて思うように動けない。
美穂屋十郎は追いつかれて、兜のしころ(首を覆っている所)を掴まれた。

鉄の鋲で留めているしころを、ぐりぐりと引きちぎったのは、
悪七兵衛影清の異名を持つ、平家一の強力者影清だ。

その影清が、江戸時代に丹前姿で深川に現われ、
禿を相手に五条通いの話をするという、時空を超えた狂言が歌舞伎の真骨頂。

『よしや男と名に立て髪の
 大小さすが六法は
 外に類も中村の
 是もお家の一流と
 振ってふり出す花の雨』

●日本一の色男と、その名を立てた、大小差しての侠客ぶりは、外に類を見ない見事な姿。
 これもお家の流儀だと、春雨に濡れて、大手を振って歩く影清。

影清は壇ノ浦の合戦で平家が負けたあと、遁走して行方知らずとなっている。
それが深川で遊女遊びとは、泉下の影清も真っ青だ。

 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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