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西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

雛鶴三番叟

2010-03-05 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
10-「雛鶴三番叟」


忠臣蔵の斧定九郎を、
山賊姿から今日みるような黒紋付の浪人姿に変えた(1766・明和3年・市村座)のは、
初代中村仲蔵だ。
仲蔵の養母は、「振りは志賀山」と詠われ、
江戸一番の人気を誇っていた、志賀山俊。
仲蔵は子供の時から俊のスパルタ教育で踊りをたたきこまれて育った。

しかし、役者としての仲蔵は鳴かず飛ばずで、何度か挫折を経験し、
役者もやめる、という体たらく。
だが、俊の没後、心を入れかえた仲蔵は、
十九歳の時に(1754・宝暦4年)、中村座の顔見世で舞台に復帰。
翌年の初春狂言で序開きに「雛鶴三番叟」の三番叟役を踊らせてもらえることになった。
これも、ひとえに志賀山流の振りがあってのこと。

『喜びありや 有明の
 月の出汐に青木が原の
 浪の声々 打つや鼓の
 松吹く風も さつさつとして
 澄むなり 澄むなり
 音も住吉の
 幾夜経ぬらん 夜遊の舞楽
 拍子を揃えて 足拍子揃えて
 時も夜明けの烏飛び』

●何と喜ばしいこと、夜明けに月が残り、青木が原に汐が満つ。
 浪の音が鼓を打つように響き、
 松林をさっさつと吹き抜ける風の音は澄みに澄む。
 住吉様の夜遊の舞楽も、こうして延々と続いているのだろう。
 さあ、拍子を揃えて飛びましょう。

三番叟は、なぜか烏のように横に飛ぶものとされている。

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tea breaku・海中百景
photo by  和尚

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