チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

初めてのソロ発表会

2013年04月14日 21時56分46秒 | チェロ

生まれて初めて、チェロの発表会に参加した。


元はといえば、学友に誘われて会社の帰りに立ち寄ったチェロ教室が始まりだった。
都心の雑居ビルにある教室には、生徒が途切れなくやってきて自分の番を待っている。
レッスン以外に楽器販売もしているようで、教室には沢山のチェロやビオラ(Vn?)も並んでいる。

自分の番になると「どなたかに習われていますか?これまでと違ってしまいますがいいですか」と確認された。
「はい、結構です」・・だって、来てしまった以上 NOとは言えないよね。

これまで教わってきたことと何が違うんだろうと思っていたが、まず弓の持ち方が違う。
師匠に習ってきたのは中指と親指の2本でだったが、中指と親指に加えて薬指をフロックに当てる。
指の位置も少し弓の先に近くなり、右手が弓に対して45度を保つように指導を受けた。

45度を保ったままボーイングを行うので、弓先でA線を弾くときは、右腕全体が右上方ぎりぎりに持ち上がる。
肩を前方に突き出さないと届かないので「これでいいんですか?」とたずねると
「はい、当然肩は前に出ることになります。ダウンに移行するに従って肩を自然に下げてください」という。
どうもこれまでとは勝手が違うことは実感できた。

しばらくは馴染めなかったが、弓と手の関係が固定され、薬指で弓の角度が制御されるというのは理解しやすい。
今まで師匠に教わってきたことと違うのでどうなるかわからないが、しばらくこの方法を試してみようと思う。

初めての基本レッスンが終わると「発表会がありますので出てください」といわれた。
生徒同士の成果発表会なのだと思うけど、いきなりなので少々逡巡していると「大丈夫です」とにっこり。

発表会どころか、独奏曲など練習したことすらなく、何を演奏すればいいかも見当がつかない。
「あの、何を演奏すればいいんですか・・・オケしかやったことないんですが・・・」
「あ、そうですか、ではこの中からゆっくり選んでください」
と数冊のチェロ曲集を渡してくれた。

次の生徒のレッスンが進む中、何冊もあるチェロ曲集とにらめっこしたが、CDなどできいたことはあるものの
果たして演奏できるか全然分からず、とうとう40分近く決められなかった。
最終的に選んだのは、Paradis Sicilienne。
Jacqueline Du Préの全曲集の最後に収められていたのを思い出したのだった。


さてそれから二週間、ピアノ合わせをする前日まで大変だった。
youtubeからParadisの演奏を拾い集めどうやって弾いているかをチェック。無論CDも購入。
しかしいくら真似をしてもいい演奏にならない。ハイトーンのD♭が一箇所出てくる部分は悲鳴のように。
そこも何十回となく練習すると何とか音が当てられるようになってきたが、家内騒音に苦情も続出。

「いい音」を出すにはビブラートが不可欠と気付き、再度先生に演奏を見てもらい、ブラートのにわかレッスンを受けた。
僕のビブラートは「痙攣型」と「たたき型」と「手首ねじり型」が混じっていたようで、本当は腕全体を揺らすのだった。
役立ったのは「太鼓橋をゆらゆら揺するように」というアドバイスだった。肘と指先を固定して腕全体を揺らすのだ。

自宅レッスンで一番参考にしたのは美しいプロのyoutubeではなく11歳の女の子の見事なビブラートだった。
この子のビブラートは柔らかくて美しい。いつかそんな風に演奏できたらとおもいつつ、全然近づけない。

発表会当日、新宿の貸スタジオは参加者とその応援者で一杯だった。
30人以上の出演者から”師範代”格の生徒が、プロの中に混じって演奏する弦楽アンサンブルが呼び物だ。
(楽友も参加したが、メンデルスゾーンのピアノ3重奏はまことに見事なアンサンブルだった!)


さてさて あっという間に初参加の出番は終わった。
ピアノの先生が上手くあわせてくれて、何とか演奏は滞りなく終了できたが、課題は山積しているのに気付いた。
また、30人ものアマチュアの演奏を聴くことにより 多くの発見があった。
同じ、教室のチェロを借りて演奏する人も3割ほどあったが、演奏者によってチェロが全く違った音色になること。
同じ弦を弾いているだけなのに、魅力的かつ音楽的な音色に変えてしまう奏者を目の当たりにして考え込んでしまった。


これまで演奏といえばオケの一員として参加していただけで、場合に応じてエアーもありだったが
今回の独創発表会で音楽の楽しさ、奥深さを改めて教えてもらった気がする。
にぎやかし団員を脱して、一人のチェロ弾きへ脱皮する第一歩となるいい経験をさせてもらった。
「いい音」を出せるようになりたいものだと切望するようになったのだから。

追記 いい音より本当は正確な音程で演奏できるようになりたい!それが第一の願望かも・・・


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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2013-04-16 19:27:16
ソロを弾くの大賛成です。
ソロの本番はやはり何十日分の練習に匹敵するかも。
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ほんとうに (chiibou)
2013-04-16 20:55:59
政さん、まじで真剣に楽譜に、曲に向き合いました。よの上で足らぬ、届かぬをはっきり認識できたのですから、もうけものというものです。
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