チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

オケの練習で、チェロはたった一人という経験をしてしまった

2009年09月01日 01時07分26秒 | オケの練習
 チェロの主席から「来年の定演の楽譜もらっておいて」とメールが届いていた。家も近いし、僕が受け取るのも自然と思って練習会場に入ると・・・何とチェロは自分以外全員が休みではないか。ということは・・えー!僕が1人でチェロを代表することになっちゃうの!

 一瞬「はだしで逃げ出そうか」とも思ったが、各パートが揃っているのに、チェロが不在ということはあり得ない。あってはならないのだ!しかも楽譜を持ち帰るという主席との約束もあり・・参加することに決意した。でも目の前が指揮者。僕の音は全て捕捉される。”エアー”ではごまかしが利かない。背筋が凍るような思いで、たった一人でチェロ席に座ったのだった。

 バイオリンもビオラも、今日は夫々4人は参加している。チェロだってdivマークで、パートに別れる部分があるんだけど1人で可能なんだろうか・・オケに参加して早丸2年になるが、たった一人なんて一度も無かったな・・・大先輩や小先輩が必ず2名くらいは居てくれたのに、何で今日に限って誰もいないんだ・・・などと心の中でぶつぶつ思っていると「来ったー!」。以前指揮棒でこちらを真っ直ぐ指し示し「そこだ!」と睨まれたこともある、あの指揮者様が登場だ。「今日は何を言われるんだろう」と恐怖も感じはしたが「えいままよ!」「これも自分の力量を試すチャンスと思おう!」「俺様のデビューだ!」と前向きに姿勢を切り替えて行く自分も現れてきた。

 秋のファミリーコンサート向けてのメイン曲は「スターウォーズ」、サブで「眠れる森の美女」などで構成されるが、一部を除いて何とかなりそうな曲だと感じていたこともある。

 「よーし1人で見事弾きこなしてみせよう」と意気込んで全体練習に突入したものの、「えーやっぱりー!」・・・ところどころで指揮者様がクビをかしげるではないか。チラリと目線をこちらに向けたりもする。そんな時決まって自分が音程を外したり、初めから入れなかったりしているのだ。「やっぱ ばれてる・・なんでいつもはちゃんと弾けるのに、こんなときに音を外しちまうんだ!」とこちらもクビをかしげながら、泥沼に向かう気持ちを抱きながら必死で付いていったのだった。

 ところでスターウォーズには、結構チェロのソリの部分、チェロがサビを演奏する部分が出てくる。「ここだけはチェロは絶対落ちるわけには行かないのだ」と思い切ってビブラートをかけ、自分なりに歌って見せるものの、今度はVnやら管との連携が上手くゆかず、チェロ先導部分から何度も練習が繰り返される。
 チェロだけに問題があるのではないのだが、「さんハイ」でチェロの独奏状態からの導入が繰り返されるのだ。そのたびに緊張が走る。もし自分が音外しすれば即繰り返しになる。繰り返しが続けば指揮者の天気模様が悪化するのは必定なのだ! だから「早く終われ」という気持ちが強い一方で、不思議と「僕の成長を見てくれ」「僕の音を聞いてくれ」という両方の気持ちが交錯したりする。後から思えば、自分が主役になったようで、緊張と同時に、かなり強い高揚感を味わっていた自分がいた。

 そんなこんなで、4曲ほどで練習を終えたけど、結局先生は一度もこちらのミスを指摘したり、怒って駄目だしすることは無かったのだった。
 初心者がたった一人で頑張っているのだからあまりプレッシャーを掛けないでおこうと思われたに違いない。やっぱ優しい指導者なんだなー(^^)
 ほっとしていると、いつも世話を焼いてくれているお隣のビオラ譲が「今日は一人で良く頑張りましたネ」と笑顔で花丸を送ってくれた。とても嬉しく、救われた気持ちになった。

 冷静に振り返ってみると、やっぱり自分の力量が不足している。微妙な音程で不安定箇所があることと、音量の点から見ると「大きな音を出さなくちゃ」という焦りがなかなか抑えきれず、力みすぎてかえって音が萎縮するという現象から逃れられなかった気がする。

 まだまだ修行が足りないが、ハプニング的とはいえ楽しい経験が出来、またこんな日があってもいいなーと素直に感じた。
コメント (2)
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