チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

グローバルフィル定演を聴いて

2013年02月24日 23時32分34秒 | コンサート

学友が所属する「グローバル・フィルハーモニック・オーケストラ」の定期演奏会があった。

会場は「あの」すみだトリフォニーホール。
「3.11のマーラー」が100人にも満たない聴衆の前で演奏された会場だ。
僕も6月の再演を聴きに行ったっけ。あれからもう2年経とうとしている。

曲目は前半がブラームス「悲劇的序曲」とハイドン交響曲88番「V字」
後半にやはりブラームスの「大学祝典序曲」と、シューマンの交響曲第4番。

 

「悲劇的」の冒頭の一音から「すごい!」と心の中で叫んでしまった。

アインザッツの切れのよさ、弦楽器全体の響きのよさ、弦管打の調和。
どこをとっても素晴らしい。音が天から降り注がれるようだった。

ひょっとして すみだトリフォニーの音響の良さのせい?

と何度も疑ってみたが、違うと思う。

グローバルフィルに集う演奏家たちの質の高さが際立っているのだろうか?
各所に現れた主席同士のソロ、合間に響く木管の繊細な響き、金管のコラール、
ティンパニーがしっかりとオケ全体を底上げするセンス
・・・全てがアマチュアを越えていると思った。

 

曲が進むにつれて、pやppの繊細な美しさ、何よりも
弾き始めの一音を大切にする団員の結束を感じた。
個々の技術もさることながら、オケ全体がすばらしいのだ。

創立31年間に、オーストリア、モナコなど海外遠征もこなしてきた歴史の積み重ねが、
管弦楽全体が一体となった有機的な響きを生み出しているのだと思う。

はじめはオケを瀬踏みした面も、少しだけあったかもしれないけど、
後半は単なる一聴衆として素晴らしい管弦楽を楽しませていただいた。

 

グローバルフィルを聴いて思ったこと。

オーケストラは、個々の技術力では音楽にはなりえない。
全員で たった一つの音楽を創り出しているという事実の確認だった。
僕らのオケで真似できることがあるとしたら、弾き始めを大切にし、呼吸を合わせること。
特にppにおける繊細な神経の使い方は、心の一体感なしには成しえないと感じた。

いい演奏をありがとう!

コメント (3)
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劇画のような わくわくする総練だった

2013年02月11日 22時14分09秒 | 市原フィル

5月の定期演奏会の客演指揮者、辻博之さんの総練にやっと参加できた。
(過去2回の辻さんの練習に仕事で全然参加できなかったのだ。)

辻博之さんの指揮は、習志野フィルやあすみが丘室内合奏団などで
その情熱的な姿を拝見していた。
ただ「ベートーベンの第5交響曲も、レオノーレもものすごく速いよ」
というウワサで聞いているので・・楽しみでもあり不安でもあった。

さて「運命」冒頭からと思っていたら「それでは2楽章からやりましょう!」だって。
僕にとって初合わせで、いきなりチェロの一番美味しいところ・・・

心の準備のないまま、あっという間に始まり、置いてゆかれてしまった。
なじみの無い指揮者殿というか、どこで入ったらいいのかよく分からない。

その後、2楽章のチェロ部分は集中的に練習してもらったので
何とかみんなと合わせられるようになり、ありがたかった。

 

さて辻さんの振る練習の場はどうかといえば、抱腹絶倒度は過去最高。
トレーナーの宮川正雪さんは、ボディーランゲージに魅了されたものだが
辻さんは言語的な表現の即物性というか、イメージ化のパワーに圧倒された。

あまりに笑いすぎてメモをする暇も無かったので、わずかな断片を思い出すと・・・

3楽章の冒頭静かにチェロで始まり、ホルンが出たあとは
「ギロチンでザッザッと刻むように」
「というか、逆ギロチンで下からバッバッと吹き上げるように」
これはイメージしやすかった。

ティンパニー名手嬢への指示は細かく具体的で素人目にも分かりやすかった。
ここから曲想がガラッと変るというところでは
「時代が変る感じで、『明治』『大正』『昭和』~『ジュラ紀!』と一打ごとに」
「ここは過去最強のパワーで 腸捻転起こすくらいに叩いて」
というような説明に腹を抱えた。

もう少し「辻語録」を拾おうを思ったけど、辻さんの独特のニュアンスは、
その場にいる人にしか伝えることは難しいな~・・・・


どんな「感じ」かということを言えば
そこは正に「劇画」の空間に入り込んだような感じに近いのだと思う。

例えばレオノーレの270小節の開始がなかなか合わないのは、
直前のチェロの3つの8分音符の刻みがはっきりしないからとの指摘は
具体的に「だーダダダ、だーダダダ」と歌って指示をしてくれるのだが、
その【ダダダ】は劇画のでっかい吹き出しのように迫ってくるのを感じた。

・・つまりこんな感じだ。

 

 


なかなか上手く行かない場合でも、
辻さんは決して失礼な言葉は使われない。

 こんな風に個人を罵倒する方もいるけど、辻さんは
むしろ持てる最大のエナジーを込めて、相手に送り届けるという感じかも・・・・

 

すると、その波動を受けたオイラは・・・

 

「ギョエー!!」

とまあ、こんな感じ・・・・
嘘で~す。ごめんなさ~い!辻さん。

そうではなくて、辻さんの指示は、素晴らしい声量と”即興歌”によって、
大変分かりやすく、パワーをもらって元気にさせてくれるのだった。
(でもやっぱタッチは劇画ですが ^^)

 

あとは個人でどこまでさらってゆけるかだ。
一月後の「辻劇場」の再演がとても楽しみだ。

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