演奏会前の市原フィル合宿が終わった。
今回も指揮者の中島さんから沢山の言葉をもらったが(うんちくも含め)、
一番刺激的だったのが「つまんない」だった。
< 合宿風景の写真を、チェロ主席のFBから借用 >
合宿練習はメイン曲のブラームス交響曲第2番から始まったんだけど
1楽章を終わると、棒を下して「つまんない」と言った。
めったにない言葉だし、いったいどういう事だろうと耳をすますと
どうやら”ただ楽譜通りに、平板に演奏している” ということらしい。
同様に、音楽を感じて演奏していない事への指摘があちこちにあった。
「チェロさん、とてもホルンソロを迎えるようには弾いていない、」
「もっと互いの音をきいて、喧嘩しないで、上に重ねるように」
「カチカチ弾いてる」
「まじめに演奏するのはいいんだけど・・」
「強弱記号通り当のではなくて、曲の自然な流れを感じて」
「もっと互いの音を聴いて」
曲の表現についても・・
「ブラームスは友達でも嫌味を言って喧嘩するような嫌味な人間だったけど
でも子供が大好きだった。ここはブラームスの子守歌みたいに、子供を見守っている気持ちで」
「今度はここは自分が子供になった気持ちで」
「ブラームスはいろんなところに仕掛けをしている。その変化を楽しんで」
「たとえば、あえて物語にして曲の変化を感じてもらえるといいんだけど・・」
(でもその物語の例として取り上げたのは、宝くじの話だったかな。
宝くじに当たった(はず)でも誰にも言えない・・
そして実はその当たっているくじが外れた気持ちで落ち込んで・・
でもこの部分では、から宝くじが外れたことかも忘れて元の元気に復活して・・
面白くてすごくわかり易い。でも、中島さんも言ってたけどちょっとねぇ~ )
ベートーベンに移ってからも・・・
「なんでこんなにベートーベンはしつこく同じことを繰り返すんだろうね」
「これだけ同じことを繰り替えすのはベートーベンだけ、だからもっと
演奏の仕方を考えて。いつも同じ音に聞こえる、弾く場所を変えるとか、
弓を立てるとか工夫をして」
「ベートーベンっていつでも眉間に皺を寄せているように感じるけど
ベートーベンだって、お風呂にはいてほっこりするときもあったはず、
ここは楽しく柔らかく」
モーツアルトになってすぐ指揮を止めた。
「みんな眉間に皺を寄せている。半分の人がベートーベンのまま演奏している」
てなぐあいで、中島さんは老若男女、素人もプロ並みもごちゃませなアマオケに対し、
楽曲の解釈を披露し、転調の妙などを理解させ演奏に反映さえようと四苦八苦だった。
でも僕のように音楽の勉強をしてこなかった人間には、調性の変化の面白さや
構成の巧みさや味わいのような話は、面白いけどよくわからないのが残念で哀しいところ。
むしろ「つまんない」みたいなのがとても刺激的で、
「おっ、どこがだめなんだろう」と集中して、体に染み込んでくる気がする。
勉強や教養より「しつけ」の方が効き目があるってことだと思うと、なんだかさびしいけど。
いずれにせよ、合宿を通して気付かされたのは、オケ全体のレベルが
ドイツ系3巨星の楽曲全体像がつかめていないし、体で感じるに至っていないってこと。
自分としては、ブラームスの1~3楽章の目立つところはかなりさらってきたけど
今回も第4楽章で躓きっぱなし。
毎度のことなんだけど終楽章がいつも積み残しということに変化はなかった。反省。
演奏会まで一月。あまり練習時間は取れないけど、
またも重点を絞って集中練習するしかない。