チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

ピノキオ奏法はフラット・ボーイングだった

2019年03月06日 23時47分30秒 | レッスン

以前書いた「ピノキオ奏法」~師匠が肘をすっと押すとチェロがスムーズに鳴ってくれること~は
何故そうなるのか理屈が分からなかったが、今回その秘密がようやく解けた気がする。
全ては自称「フラット・ボーイング」のためだったのだと。

このフラットというのが実は難しい(ピノキオ奏法では実現するのだが・・・)
1)弓の進行が一本の線というか、平面の上を真っ直ぐ進む意味のフラット
2)弾き始めから弾き終わりまでの力の入れ方が(というか力を全く入れない)フラット
3)同じく弾き始めから終わりまで、弓の速度が均一という意味でフラット
4)最後はボーイングの終わりで弓を返すとき、変な力を入れないというフラット
5)ダウンからアップに移ったとき、ダウンのついでに(ダウンのボーイングのままで)弾くのではなく、
きちんとアップのボーイングに切り替えてフラットに押し込む
 これら全ての点で「フラット」にボーイングができたとき、毛が弦をしっかりととらえ続け
全く力を入れなくても、豊かにチェロを鳴らしてくれることえを実感できたのは大きい。

こうして書いてみたものの、実際にクリアーするのは実に至難なことで、微妙な力みが
弦と弓の間に不要な隙間を入り込ませるため、スムーズな発音、音量、音質にならない。
音量がわんわんと振れたり、ボーイングの途中で音がかすれたり、ターンで音が途切れたり・・・

この3月でチェロを始めて丸々11年が経過した。
師匠に習い始めてからも10年半は経過している。
でも”ピノキオ奏法”を脱して「フラット・ボーイング」出来るのはまだ時間がかかりそうだ。
なぜかというと、自分には「フラットボーイング」への障害が多すぎるからだ。

いくつかの障害とクリアー方法をメモしておこう

1)肩の柔軟性を取り戻すこと
肩が固まりすぎていて、肘から下だけ、極端に言うと手首や指での「小手先ボーイング」になっていた。
その欠陥を直すには、今回師匠がやってくれた次のような様々な準備運動が必要だった。
・弓を上空に押し上げ弦の上にそのままお”落っことす”練習
・全弓で素早く弦の上を前後に滑らせる(弾くのではなく)練習
・腕全体をぐるぐる回す運動とか・・・
これらをやったあとは、毛と弦がぴったりと吸い付いて、チェロが楽に鳴り続けてくれるようになった。

2)脱力でのボーイング
ついつい弓の毛を減と噛ませようとして弓を弦に押し付けがち。
特に低い弦では弾き始めに圧力を掛けがち。
そうではなく弾き始めは「毛の一本から」弦に弓を乗せれば自然に弦を噛むので、そのまま引っ張ること。
弓を押し付けるのではなく弓の延長方向にまさに「フラット」に引っ張るだけ。
(こうした感覚は子供時代から習えば、自然に身に着くのだろうな~)

3)ボーイングの方向を直線で意識すること
今までのボーイングでは、弓の軌跡は「弓なり」だった。
そうではなく、弓の指し示す方向に「直線」で引っ張ること。
無論アップでも、弓と毛の上限関係は逆になるが直線的であることに変わりはない。

4)ターンで接点を変えないこと
ダウンからアップ、アップからダウンの時、弦を捕まえようとして力を入れてしまう。
その結果今まで噛んでいた毛が弦から離れてしまい、ターンで再接触することを繰り返してきた。
これでは弦の振動の繋がりがと切れてしまう。
そうではなく、ターンでは「何もせず」ただまっすぐ方向を切り替えること。
(しいて言えばダウンは手前方向に、アップでは下に押し込む方向に意識すること)

これらのポイントを意識して基本練習を繰り返してゆけば、きっと今までとは見違えるような、
朗々と響き途切れの無い美しいチェロの音を出せるのだと思う。

今後チェロ初心者の運動や練習が必要なのだけど、その目的レベルは、初心者とは全く違う。
若いころからプロのレッスンを受けてきた人にとっては、ばかばかしいくらい基本的なのだと思うが、
大人になって初めてチェロに触れた自分の様な者にとって、
この10年間は、そんな基礎レベルを理解しうるために必要だったのだと思う。

コメント
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