チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

開放弦基本エチュードが楽しみとなったきっかけとは?

2009年11月24日 00時41分35秒 | レッスン
 ボーイング熟達への道は険しい。しかし一歩ずつ進歩していることも実感できる瞬間はある。月一回お願いしているプロの先生のレッスンで、このたび、遂に楽譜が渡されたのだ!
思えば2年に渡り、そのほとんどの時間は、G線中心の単音ボーイングを繰り返してきただけに、なんだかそれだけで嬉しかった。

楽譜といっても基礎練習のエチュードを、世にある様々なレッスンブックから「Alwin Schroeder」(?)という人が170本選び抜いて編集したものらしい。勿論今回のレッスンは、第一ページからで、開放弦のみの全音符の繰り返しの譜面だった。
 まーエチュードなんてこんなもんだよね。こんな単純な段階はすぐに突破して、もっと難しいアルペジオとかに進むんだろうな。チャイコでもベートーベンでも、もっと難しい楽譜をずいぶん演奏してきているし・・「またここから始めるの?」とがっかりしかかったのはほんの一瞬

  その後驚くことが起こった。

 先生が「基礎の基礎のエチュード」である開放弦全音の楽譜を弾き始めると、まるで今、この場でコンサートが始まったような美しい響きが練習室いっぱいに広がったではないか!弾いているのは単なる開放弦の連続なのに、何と心をひきつける音色なのだろう。しかも先生は僕の楽器で演奏しているのだ。先生の今使っている弓とチェロを何度も確かめた。間違いない、僕の楽器を先生は弾いている!。

 もはやレッスンはどうでもよくなった。自分の力量の無さゆえに、チェロ子をこんなにも花開かせてやれなかったんだという事実とともに、「僕の買った楽器って、こんなに良い楽器だったんだ!すごい掘り出し物かも知れない!」という驚き。本当の力をつければ「この楽器のセットならコンサートだって開けるんだ!」という嬉しさがこみあげてきた。

 先生のお手本は、開放弦エチュードから2~3曲先のエチュードまで(といっても、第一ポジションをたまに押さえる程度のエチュードなんだけど)続くが、こちらはもうプライベートコンサート気分なのだ。練習始めに弾いてくれたバッハやらエルガーやらを含めて「もう今日は大満足!」とくつろいでいたら・・・

 「では弾いてみて」と夢は現実にかき消された。

 さて、開放弦だけの楽譜を自分なりに弾いて見ると「何でこんなに違うんだろう」と首を傾げざるをえない。先生のように「豊かに美しく」弾くことは極めて難しい。
 譜面はA線で全音符2小節、D線、G線、C線も全く同じというな単純な練習なんだけど、音の途中は先生を真似てビブラートを掛けて弾くとまあまあだけど、弓を返すところで音が途切れるし、移弦すると音が汚くなる。
 2年間続けてきたボーイングの基本が全てだということが、瞬間的、実感的に分かってしまった。弓を端から端まで弾ききる、いわゆる全弓で弾いているのだが、ダウンボーイングの最後あたりに来ると、手首を持ち上げたり、捏ねたりする癖が出てしまっていたのも自分で分かった。

 全てを知り尽くすように先生からのアドバイス。全音符を4分割してスラーで弾いて見せ、次に4分割した音の前半3音を続けて静かに弾き、4音目の四分音符だけを勢いを持って弾き抜きながら弓を返して見せてくれた。
 前段の4分割練習は、弓のどの部分を使っても同じ状態で弦と噛み合わせることの確認であり、後段は、弓を返す瞬間の練習を示してくれたのだ。

 今度は自分でやってみると上手く行かない。先生がやれば、弓を返しても音が途切れることなく連続して聞こえるだけでなく、小節ごとにリズムを感じることが出来る。つまり先生は単なる音符の繰り返しを「音楽」に転換されているから美しいのだろう。自分がやると単なる四分音符の連続で味気ない[演奏]になる。

 こうして、この日のレッスンは大きな課題を残して終了。この日の気付きは大きかった。これまで何となく、悪く言えば嫌々?やっていたボーイングの基本練習が、とても魅力的なものになった。全音の全弓での練習や、ゆっくりとした音階練習の全てが、弾く人の技量と心によって「音楽」になり得ることを目の当たりにして、単純でつまらないと感じていた練習の奥深さを見せ付けられたし、基礎練習に意味とともに喜びを感じることが出来るようになったことが一番大きい収穫だった。
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すごいDudamelの演奏と映像

2009年11月09日 21時07分20秒 | その他雑感
 米国の友人からDudamelを見れなかったかわりに、素晴らしい映像が届いた。
デュダメルは本物か?などという議論もあるみたいだけど、この輝かしい演奏と映像をみたらそんなことどうでもよくて、楽しそうに生き生きと演奏している若者たちの、そしておじさんおばさんたちの活き活きとした目が、彼の素晴らしさを物語っている気がする。

 ついでにNHKの映像に比べ、フランスのこの映像のライブ感がすごいと思う。
 Filmé le 23/10/2009 à Salle Pleyel, Parisとあるから、最近の映像だな。

 この映像は下記から見れます(リンクして無いかも、コピーして見よう)

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Dudamel_dirige_le_Philharmonique_de_Radio_France_et_le_Bolivar_Youth_Orchestra/786/
コメント (2)
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「田園」の第一回練習があった。嬉しい

2009年11月09日 00時36分01秒 | オケの練習
 来年の定期演奏会はベートーベンの「田園」がメインになっている。

学生時代Hrで「運命」に参加した時の感激が忘れられない。シベリウスだとか、ストラビンスキー、レスピーギなどにも参加したが、ベートーベンの曲には、複雑な動きとか、トリッキーな部分は無いものの、心を揺さぶる何かがあると思う。

 今日は指揮者の先生も、ちょっと人が聞いたら気分を悪くするくらいゆっくりなテンポで一通り演奏させてくれたが、それでもやっぱりベートーベンはすばらしいと感じた。オケの輪の中で、周りの様々な楽器が演奏している只中で、巨匠の音楽に漬かっていられるから感動もひとしおなのかもしれない。

 五番「運命」の時は、僕の体を風が吹き抜けて行った(と感じた)。その感覚は今でもはっきりとよみがえる。「田園」ではどんな感覚を残してくれるのか楽しみだ。

 それからチェロパートに限れば、シベリウスやチャイコフスキーのとき、必死な形相で食らい付いても届かなかったような無茶苦茶な困難さは感じられない。
 指揮者も「ベートーベンは練習さえすれば全員が(コンバスを除いて)完璧な演奏ができるレベルの曲だ」だと言っていた。そのかわり演奏・表現はとても奥が深く、簡単にはゆかないのだ。だから運指やらボーイングやらのテクニック的なことは早めにマスターして、この素晴らしい曲を表現出来るようになりましょう!と言っている。

 僕もその通りだと思うが、一方でベートーベンの曲は基本的なアルベジオみたいな動きかたが頻繁に出てくるので、この際ベートーベンを通じて基本的な弦楽器としての技術面をマスターしてしまおうとも思っている。
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弓のジャブジャブ・シャンプーに挑戦。いい感じだ

2009年11月04日 23時33分51秒 | チェロ
 毎回、演奏会を終えると、弓の手入れをしたくなる。竿の部分を磨いたり、弓を引っ張るブロックのところを引き出して手入れしたりする。しかし、ピッチカートとarcoを繰り返して演奏していると、どうしても毛の根元付近が黒くなるだけでなく、油染みて松脂が乗らずすべるようになる。

 初舞台デビューの時は文字通り脂汗で汗だくの演奏会だったが、その後もステージに上がるとどうしても「手に汗をかく」状態が続いている。となると美しく弓を持ち替えてpizz とarcoを弾きこなすようにしたいのだが、もはやそんな余裕は無く、弓をついつい握り締めてしまう結果、普通の演奏者より広い範囲で黒ずんでしまうのだろう。

 以前、演奏会を終えて、あまりに弓がべとつくので思い切って弓の張替えに行ったが、演奏会のたびにそんなことをしているんだろうか・・・と師匠に聞くと
「石鹸でジャブジャブ洗えば大丈夫ですよ」「え!!、でもウール専用の洗剤ですよね・・」「いやいやそんな気にしなくても大丈夫、弓の竿もしっかり洗ってあげてください」「先生も洗うんですか」「最近はやってないなー」てな具合で、こりゃ耳寄りな話なので、早速弓のシャンプーに取り掛かった。

 弓の構造を良く知らないけど、手元のブロックのところから毛を引き抜くと、何となく弓全体が「落ち武者」風情でちょっと哀しげなのだが不思議だ。

 松脂と手の油で固まった部分が本当にきれいになるのだろうか?
 洗ったあと、毛が固まったり、こわばったりしないのだろうか?
などと心配しながら、洗面所でお湯に漬け込み、セーターを洗う要領で静かにゆすってみたりしたけど、簡単に松脂は落ちない。だんだん大胆になって、固まった脂の部分を指先でごしごしを揉んでゆくと、固まりが崩れ、やがて全てはお湯の中に溶け出していった。後は静かにタオルで水を吸い取ってあと陰干しした。

 しばらく出かけて戻ってから見てみると、何と、まるで新品の毛を張り代えたときのように輝いているではないか!うれしっしいー!
 早速松脂を新に塗って演奏してみると、非常に具合がいい!先生のアドバイスどおり、弓は蘇った感じがする。

 本当は髪の毛と同じで、長く使っているとキューティクルが磨り減ってきて、上手く音が出なくなるとのことだけど、僕の場合はそこまでに至ってないと思う。残念ながら「弓全体を大きく使い切って演奏する」というところまでに至ってないのも理由だと思う。

 いずれにせよ、真っ白に輝く弓で演奏するのは気持ちが良く、音色もよくなった気がするから不思議だ。べとつく黒ずんだ弓と比べると、気分が断然気持ちがいいのだ。

 この冬、所属オケでは、小さな冬の夜のコンサートに向けて練習が続いているが、僕は残念ながら、例年通り12月の仕事とぶつかり参加できない。今年でとうとう3回の演奏会を欠席することになってしまった。
 チェロの先輩は「練習だけでもいいから参加したらいいのに」と言ってくれてたけど、指揮者からすると本番に向けての練習の中に、本番に参加しないメンバーが入っているのは好ましくないと感じだろう。だからこの3ヶ月ほどは練習は休み。ちょっと休日が寂しいけどこれも仕方ない。

 そんな空いた時間で、弓のシャンプーが出来た。これからは来春の定期演奏会に向けて基礎練習を重ねようと思っている。
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