チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

今更ながら、演奏の基本を知り驚いた!

2013年06月28日 19時57分19秒 | レッスン

FeullardのDaily Exercisesを使って基本レッスンを開始して2ヶ月足らずなのだが、
本日のレッスンでとても大きな気付きがあった。

 

Feullardは筋トレを含む、基本のエクササイズなので、レッスンで指示された項目を自宅で練習し、
次のレッスンでその成果を確認し、また次の課題へと、一歩一歩 歩みを続けてゆく。

今日は1,2,3,5番のエクササイズまでは順調に進み、先生から
「左は大分落ち着いてきましたね。指がばたばたしなくなりました」
とちょっと褒められた。指全体で押えるという基本動作がこれまで出来ていなかったのだからね。
ここまではよかったけど、11番で予期せぬ躓きに遭遇した。

Feullard11番の4小節目は、#も♭もない、基本的アルベジオを、一音ずつ音程を大事にしながら
ゆっくり弾くだけのエクササイズなのだけど、何度やっても音程が定まらないのだ。

「もっと指を広げて。」「まだ狭い、もっと広げて」と何度も指示が飛ぶ。
今まで何度もオケの舞台に乗ってきたのに、こんなにダメだったんだと焦って、
力任せに指を広げるのだけど、上りと下りで微妙に音程が狂ってしまうのだ。

見かねた先生は、立ち上がると僕の左手をぎゅっとひねって
「こう・・・こう・・・。 腕から指先まで板が入っているように、真っ直ぐに。」
「指は斜めに押さえるんですよ。真横に構えたら指は広がらないでしょ」と
以前にも教えていただいた構え方に矯正してゆくと
「ほらこんなに広がる」。

要は、A線での左手の形が、D線、C線ではくずれてしまっているから指が広がらない。

「左指には、どのポジションでも同じ労働条件にしてやらないといけない。」
「そのためには肘と腕が何処にゆくにも、着いてこないといけない。」
「今までは、左手がさぼっているから大変になってしまうんです。」

ようやく先生の指示を飲み込むことができたので、指示通りに構えて演奏すると、
C線になると、かなり腕を持ち上げて、腕全体がネックを巻き込むように感じた。
「こんなんでいいんですか?」
「そうです、それでいいんです、プロなみです。」

たしかに、こういう構え方をすると、先程まで音程を維持するだけでも汗だくだったのに、
手から指を指板に下げるだけで、楽々と弦を押さえられるし、音程も全然ずれないではないか!
バイオリンの修理か購入相談に来ていた女性も「随分格好良くなりましたね」と
思わず言葉を掛けてくれたので、練習場は笑いに包まれたのだった。

左の構え方、腕や肘の動かし方という基本の基本が、音程を正しく押えるために
必須の条件だったと気付かされた。
何度も教えられながら身に付かなかったことの一つがクリアーできそうだ。

 

さて、本日驚きの気付きがもう一つあった。

Feullard15番は”指の機敏さ”のエクササイズなので、様々な押さえ方で練習するのだけど
4小節目の確認に入ったところ、音程が定まらない。
ネックの上方のファ、ソ、ラと上ったあと、下りでどうしてもファがずれてしまうのだ。
なぜずれるのか、それはファを押さえた指が上るときに、ずり上がってしまい、本来の音程を確保できない。

 


理由が判明した!

「人差し指を折り畳まず、伸ばして押さえているからです。指をたたみこまないと人差し指が、
 どんどん持って行かれちゃう、だから、どうしても元の音に戻れないんです。」
この指摘と同時に、人差し指の第一関節をペコペコと折り曲げる練習をする話が思い出された。
「まさかあれが出来ないとハイポジションは押さえられないのだろうか・・・」と一瞬顔が曇った。

しかし先生の示してくれた方法は”指先ペコペコ”ではなかった。

「人差し指は折り畳み式なんですよ。そうすると、最初の位置で我慢できるでしょう。
 上に行くほど、人差し指はもっと折り畳まれるんです」
と示してくれた方法は、第一関節をペコペコするのではなく、ごく自然に人差し指の先端で弦を押さえ、
カタツムリのように人差し指全体を畳み込むように押さえるのだった。

すぐに気付いたことがある。
「人差し指の先を立てて押さえるということは、そこに爪が伸びていたら決して押えることができない!」
本日の自分の爪は、そこそこ整えられてはいたが、指先で押えると爪が邪魔になって押えられない。
「すみません、今日は爪が伸びていて押えられません」と先生にお断りして練習を切り上げた。

これまでプロは無論のこと、チェロの上手な人の爪先は、みんな「赤ちゃん爪」になっていたが、
そうでなければハイポジションは押えられない、ということがはっきり分かった瞬間だった。

でもどうやったら「赤ちゃん爪」になるんだろう。
これまでも、格好だけでも真似ようと爪を切ってみたこともあるけど、深爪するのは痛い。
長くやっているうちにああなるんだろうか・・・。
何はともあれ、理由が分かった以上、本日から地道に「深爪ギリギリ」の世界に突入することにしよう。
( なぜかSUWADAの高級ニッパ式爪切りだけは以前から購入し、砥ぎ直し済みなので )

 

6年のチェロ生活でこれまでも何度も目にしたり、注意されてきたことが、基本エクササイズを進むたびに、
リアリティーをもって実感できるようになってゆく。
「今更で恥ずかしい・・」という気持ちもあるものの、基本的な演奏の作法の本質が解き明かされてゆくのは驚き一杯で楽しい。基本を学ぶことで『伸びしろ』はまだまだ存在すると感じられるのも嬉しい。

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図らずも、初見大会になっちゃって

2013年06月22日 23時03分23秒 | 市原フィル

今日はアンサンブルコンサートの練習だけ参加して、明るいうちに帰るはずだった。
アンコン用のやや狭い練習場に入ると「よく来てくれました」という感じで明らかな歓迎ムード。
「そんなにご無沙汰でもないんだけどなー、何でだ?」
「アンコンの練習参加率が低いのかな・・・」とやや怪訝ながらも、
歓迎されることなどめったにないことなので、上機嫌で参加した。

ところが、コンチェルト3曲の練習が終わったので帰ろうとすると
「今日は夜の総練習がありますよ。帰っちゃダメ」というではないですか。
全く予期してなかったので
「えー、今日は何やるんですか」
「チャイコフスキー1番の初合わせですよ」
「そんな、譜面も持ってきてないし、まだ譜読みもしてないから無理です」
と25メートルばかり腰がひけたところに
「ダメです、今日はチェロが一人しかいなくなっちゃうから」
「ギョエー!そんな」
と更に25メートルばかり腰が引けた。

チャイコの楽譜だけはいつもの方法で素晴らしく使いやすい加工をしてあるけど、
譜読みは全くやってないのだから、初見での参加となってしまう。
「無理だ・・・」

ただチェロで一人残るのは、同じ街に住んでいるチェロ弾きのOさんなんだけど、
「人並み外れた逞しい身体の彼でも、やや心細げだし・・・」
「予定をチェックしてないのは、団員としての自分の落ち度だし・・・」
「譜面も持ってきてないからな~・・・」
などとグシグジ考えていると
「休みの数数えてもらうだけでいいから」とOさんからの再度の声掛けで残ることに。

「始めに歓迎ムードだった秘密はこれだったのか、おかしいと思ったんだよな~」と
後ればせながらながら気がついた。

 

総練会場に来るとOさんの左隣が空いている。
そこはいつもチェロ首席の場所ではないか。
座ってみると目に入るのは我がオケの綺麗所の女性陣ばかり。
しかも隣に息子より若いビオラの"お嬢様"が着席されたのだった。

無論、音の聞こえ方も後ろの方と違うことが分かった。
ビオラがよく聞こえる(お嬢さんが上手かったからかも・・)。
FgやOb、Flや金管楽器が、自分より後ろから聞こえてくる。
これも新鮮な感じだった。
音楽の真ん中にいる気がするのだ。

いつもは後ろの方で、オジサン方の後頭部ばかり眺めていたので、
「んー、ここは本当に恵まれた場所だ、いつもこんなにいい眺めと音に包まれているのか」
「これでは演奏に思いっきり熱がこもるわけだよなー・・・」
なんて思ったりはしなかったけど、大いに華やぐ気分になったのだった。


演奏は予想通り、弾けないところだらけ。
楽譜用の老眼鏡を頼りに、必死で楽譜を追っかけたけど・・・
速いフレーズは全然読めずで落っこち。
数え間違いどころか”段ズレ演奏”が何度もあった。

それと「数を数えて・・・」の意味もよく分かった。
チェロ譜には珍しく15小節やら31小節の休みがあちこちにある。
休みを数えるのは、学生時代ホルンでは普通だったので懐かしい感じだった。


さてささて、こうして初チャイコフスキー1番の世界を体験できたのだったが、
ロシア色たっぷり、メランコリックかつロマンチックな旋律が親しみやすいし、
50年代のアメリカミュージカルのロマンチックな雰囲気もただよっていて大いに好きになった。

オケの長老の提案で、従来『初見大会』と呼んでいた総練を「初合わせ」というようになってしばらく経った。
次の定期演奏会に向けての初めての総練習を「初見」で合奏すること自体間違いで、
それなりに練習をして合奏するのがエチケットだという戒めなのだけどね。

本日僕は、図らずも全くの初見で「初合わせ」に参加してしまったのだけど、
眺めも良かった、曲も良かった、「初見大会」はなんだか愉快で楽しかった。

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アンサンブル練習が山場を越えたかもしれない・・・

2013年06月08日 22時54分37秒 | アンサンブル

本日はブラームスのクラリネット五重奏曲の練習があった。


昨年秋は、初めてブラームスのクラコン第3楽章に挑戦したものの、本番はちょっと残念な結果だったと思う。
それから半年、7月のアンサンブルコンサートにメンバーが選んだのは、再びブラームスのクラリネット5重奏曲。リベンジを誓ったからだ。
第1楽章か第4楽章にするかは、一通り演奏した結果、難易度が高い第1を今回は諦め、第4楽章に決まった。
どちらもチェロが活躍するけど、第4楽章ではチェロがやたらと主旋律めいたことを演奏しなければならい。

最初の合わせに向けて、自宅ではそこそこ弾けているというレベルまで練習して初合奏に臨んだのだが
なぜか練習最後の録音段階になると、チェロの旋律に差し掛かったところでボロボロの状態になってしまった。
「何もここまで音を外さなくてもいいのに・・・」と録音を聴いていても顔が赤らむ。
「このままではどうにもならない・・・」「曲をぶち壊している・・・」と頭を抱えた。

それでも、みんなの参考の為にと、練習の録音したファイルを全員にシェアすると、
録音を聴いたメンバーからいろいろアドバイスが送られてきたのだった。

「人に合わせようと思わないで、合わさせようと吹いたら音が消えなくなりました。
 どうしても合わせよう合わせようとすると、早くしないといけないと思って、自分のペースが乱れてしまいます。
 あの部分は俺に合わせろ・俺の都合でここはするんだ。と思ってやってみて下さい。
 たぶん自宅練習に近づくと思います。」
~これはオケの大先輩のクラ爺から、オケ本番ソロでの経験からの心温まる後押し)

「管楽器のソリストらしいご指摘ですね。ヴィオリストも、たまに『こっちに合わせて!』と言いたくなります。
 chiibouさん、5重奏は、みんなソリストですから、チェロも主張して下さい。自宅練習を録音してみたことは
 ありますか?録音している緊張感が、指をもつれさせているかも知れませんよ」
~こちらは、いつも辛口の批評でアンサンブルの弱点をあぶりだしてくれている、ビオラ譲のアドバイス。


これらのメールを見ながら、心遣い、気遣いも感じたけど同時に「今度の演奏会では絶対良い演奏をしたい!」というみんなの強い意志を感じた。
みんながリベンジに選んだのが、チェロが主役になる第4楽章なのだから、
演奏を生かすも殺すもチェロ次第、もう逃げられないないと覚悟を決め練習することにした。
家人には「なんでいつも同じところばかりで変な音になるの?」「もういい加減にしてよ!」
とこの世で最もストレートなクレームを受けながらも、全て録音しながら練習した。


かくして、本日再び合わせの練習となったのだけど、練習をしただけの前進はあったと実感できた。
決していい演奏とまではいえないけど、前回より自分でも音を外さなくなったと思う。

また、努力を感じてもらったからか、みんなからの指摘、突っ込みもストレートになってきたと思う。
第2変奏全体をチェロがリードするのだが(こういう説明もその場で教えてもらった)、パート譜ではなくスコアを示しながら、第2変奏では他の楽器全員が伴奏に回っていること、特に最初の3小節は完全にチェロのソロであること・・・などを具体的に示しながら教えてもらった。CDやyoutubeで何度も研究はしているものの、やはりスコアをちゃんと見ないとわからないものだ。

みんなから飛んできた、様々な指摘、指導、アドバイスとは・・・

「まだ全体に合わせようとしている」
「自分が主役なんだと、もっと思い通りに演奏してみたら」
「ちょっとチェロだけで演奏してみて」(やるっきゃないよね・・・)
「まだカチカチとテンポの中にはめこもうとしている」
「音程は良くなってきたけど、硬い感じ」
・・・・というわけで、すっごく冷や汗をかきながらも、逃げずに進むしかなかった。

無論、みんなはチェロだけに厳しいのではなく、アンサンブルが上手く行かない部分は、全て切り取って
個別に演奏してチェックし、おかしな部分を直し、合奏しながら修正を加えていったのだった。
そして最後に、本日の仕上げの演奏をして、その録音を全員にファイルで送った。
最後の演奏は、着実な向上を写し取っていたと思う。でもまだまだだ。


クラ爺に誘われて、所属オケではないメンバーで構成されたクインテットに加えてもらって早いもので4回目の発表に向かっている。本日のストレートなやり取りで感じたことは、アンサンブルグループとして、
少しずつ育っているのだということだった。

いい演奏から少しでも「美しいチェロの演奏」に近づけるよう、まだ一月練習あるのみだ。

 

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発見ばかりの、新しいレッスン

2013年06月06日 20時46分24秒 | レッスン

東京でレッスンに通いだして、色々な気付きをいただいている。

●音階で下降するときの左指や左腕の使い方が全くわかっていなかった

A線で四分音符のスケールを弾くことを想定すると、第1ポジションでシ・ド・レと演奏し、
第4ポジションに飛んで、ミ・ファ・ソと弾く。ここまではこれまでも何度もやってきたので、迷いはない。

しかし下降に入って、第4ポジションでソファミと降りてきた後、第1ポジションに戻るときには
守らなければならない基本手順というか動作を踏み外していたことが分かった。
これまでは「音が出ればいいんだよね」とばかりに、小指でレを取りながら降りてきていたが、
ポジション移動、特に下降局面では、基本動作順というものがあることが分かった。

そのポイントは・・・
下降に入って第4ポジションでソ・ファ・ミと降りてきたら、ミを弾いている途中で、左腕は第一ポジションの近くに移動を開始していなければならず、同時にネックの下の親指は第一ポジションの親指の位置に移動が終わっていなければならない。
そして第1ポジションで4指がレを押さえるときには、1~4の全ての指が同時に、
第一ポジションのそれぞれの基本の位置を同時叩いていなければならないのだ。

実はこれまでも師匠からは「小指で弦を叩きながら戻ること」は教えてもらっていたが(それも出来なかったのだけど)、今回のレッスンでは、腕の動作、親指の移動、そして4本の指全体でA線を叩くまでを、分解写真のように丁寧に実演し教えていただいた。
とくに最後の4本の指が、同時に基本位置を叩きながら戻るのは非常に難しい。
「先生、この動きをプロの演奏者はいつでもやっているんですか?」
「そうです。親指を含む全ての指が戻っていなければ、速い動きの演奏はできないでしょ」といわれた。

今回の気付きはFeuillardのDaily,Exercises5番の第一小節目のエクササイズで、
第一ポジションと第4ポジションの移動の練習で露呈したのだった。

●均一なリズムの難しさ

Feuillardのエクササイズは単純だけど、とても難しい。
その中でも最も単純で、初歩的な練習の一つ(2番)でも、問題が発覚した。

A線でド・レ・ド・シという、たった4音をワンボーイングで4~8回繰り返すのだが、この運動を
何十回か(1分連続で)繰り返しているうちに、均一間隔のはずのドレドシが崩れたリズムになってしまう。
ド・レ・ド・シではなく、ド~レドシ、ド~レドシ・・・と付点四分音符みたいに抑揚が付いてきてしまう。
この原因は「指を弦を押さえるのは簡単だけど、指を弦から離して上げるのは難しいんです」と先生は説明してくれた。目で見る楽譜通りに演奏できるよう、手と腕の筋肉を動かせるよう鍛えないといけないと感じた。

●放し飼いの左指をなんとかしたい

そのほかにも、左手で一番の問題は、押さえていない指が遊んでること。
どうしても2中指や3薬指が空中遊泳を始めてしまう。
そのたびに「3の指、何の仕事もしていないですよ」などと先生に指摘される。

指の空中散歩は、チェロ弾きなら一目で素人とバレるので、なんとかしたいものだ。
でも何年も”放し飼い”にしてきた指たちは、簡単には言うことを聞いてくれない。
これから左指を飼い慣らすのは相当な困難が予想されるけど頑張ろう。


以前はオケの先輩諸氏から、左手の使い方について指摘されたこともあったけど、
当時はっきり掴めなかったことが、レッスンを通して分かるようになってきた。

チェロ生活6年目にして「演奏技術の基本」を教えてもらえるありがたさと、
まだ前進できると自分に期待できる嬉しさを感じている。

 

 

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