チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

今年最後の「師匠レッスン」&「楽友レッスン」

2012年12月27日 22時48分31秒 | レッスン

「師走」というけど、師匠はゆっくりと我がチェロ子の点検を開始された。
またしてもチェロに「ストレス」がかかっているらしく
弦を張りなおしたり、ボディーを横から点検され「駒がずれてますね」と
駒位置を修正するとチェロ子のストレスは開放され、驚くほど響くチェロに戻った。

それでも納得が行かない様子。一番太いC線の鳴りが思わしくないらしい。
「駒が曲がっちゃってますね。駒をずれたまま使い続けたからですね」

 
確かに直線のはずの駒の下側に微妙な湾曲が生じてしまっている。
その結果、駒を正しい位置に戻すと、駒とボディーの間に隙間が生じて、
特にC線の響きがボディーにつたわらなくなってしまうようだ。
仕方なく駒位置を戻して基本レッスンに戻ることになった。

<微妙に湾曲してしまった駒>

ちなみに駒は、プロの先生は何枚か持っていて、季節によって使い分けている。
駒の設置には職人さんがボディー形状に合わせて、大きめの駒を削りながら調整をするとのこと。
買い換えると2万円は下らないそうなので、当分このまま使ってみることにした。


さてレッスンでは、あいかわわず右手のボーイングで無駄な力が入っていることが指摘されたが、
それはさておき、師匠から出された宿題は移弦の基礎練習・左手の押さえ方の基礎練習、
そしてその総合練習としてのハ長調の音階だった。
師匠手書きのスケールを見せながら、練習方法を具体的に指示していただいた。

<師匠手書きのスケール練習指示>

その練習のパターンとは・・・
1)全音    ~4拍目は次への準備をすること
2)二分音符 ~2拍目、4拍目で次への左指の準備をすること
3)四分音符 ~4音目は次の小節への準備をすること(つまり強・弱・弱・中の中)
4)八分音符 ~4分の4拍子での八分音符は、2音で一拍であることを意識して弾くこと
5)十六分音符 ~4音を1拍と意識しつつ、全弓で最高音まで弾切ること
一見単純に見えるスケールだけど、このスケールには全ての要素が含まれているとのこと。

これらを毎日の練習課題として、今年の師匠レッスンを終えた。
長い正月休み、毎日やろうと決意。

本日はこのあと、以前から楽しみにしていたことなのだが、大学の楽友T君宅を訪ね
チェロの先輩として、いろいろ教えてもらおうと一路東京に向かった。

T君は、大学一年でオケ入団の際、チェロを争ってジャンケンで負けた相手だ。
彼は秋の定期演奏会を聴きにきてくれ、僕のチェロ技術の問題を様々指摘してくれた。
またFBなどを通して、来春のベートーベン第5交響曲の運指などを教えてくれていた。

T君が待っていたのは東雲にそびえる高層マンション群の一つだった。
大東京の高層マンションには、子どものプレイルームや、トレーニングジム、
ミーティング室やら、図書室みたいな部屋もあって、無料で使用できるらしい。

その中に「MUSIC ROOM」という、重厚な防音ドアーに囲まれた音楽専用室があった。
千葉の田舎のマンションとは随分違うもんだと その充実振りに驚いた。
ここがT君が積み重ねてきた、チェロのノウハウを伝授してもらう場となった。


さてプロの師匠からの本質的で根本的なレッスンとは異なり、
アマチュアとしてこの道40年を経てきた友人から学ぶことは実に多様だった。
学生時代から、レッスンを受けながらチェロと付き合ってきたT君だけに、
アマチュアが陥り勝ちなポイントを惜しみなく開示してくれた。

例えば、チェロ教則本を山のように持っていたけど、ただの一冊もレッスンで
学んだことがない僕に、チェロエチュードはどんなものかについても実演してくれた。
左手の基本的なポジション取りの仕方についても、またポジション取りからくる運指の仕方も、
今回演奏に取り組む「運命」の楽譜に即して教えてくれた。(我がオケの先輩も以前指摘していたんだけど・・・)
「運命」でのチェロパートは「何楽章の何小節目は絶対外せない」という風に、演奏ポイントも細かく教えてもらった。

楽友T君に教えてもらいながら、痛感せざるを得なかったことといえば・・・・

それはやはり、右手での弓の持ち方のおかしな「癖」と、その悪しき「癖」のしつこさだった。
僕は弓を構える時(自分でもおかしいと思ってはいても)どうしても右側から手首を開いて構えてしまう。

弾き始めでは注意をしていても、途中でどうしても楽な持ち方に変化してしまっているのだ。
T君はその癖が出るたびに、何度も何度も「またやった」「持ち方」「右手」って言う具合に
それこそ何度でも 飽きずに指摘してくれたのだった。
自然と身に付いてしまった癖のしつこさに、自分でも あきれたり、苦笑したりの繰り返しだった。

そんなこんなで「楽友レッスン」は、あっという間に4時間近くが経過し、表は夜の帳に包まれていた。
せっかくの高層マンションでもあるので(42階もある)、世界一の夜景を見ないのはもったいないと、
住民に解放されている屋上に上がり、光り輝く東京の夜景を堪能した。

そこからは、レインボーブリッジも、東京タワーも、遠く千葉県の海岸線も見晴らすことができた。

師匠に宿題を出してもらい、楽友からは多くの有意義なアドバイスと刺激をもらったこの日、
輝く夜景を眺めながら心に思ったことは、チェロを初めて6年目となる来年こそ、
怠ってきた基礎練習を積み重ねて、楽しいチェロライフの再スタートにしようということだった。

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ボーイングの「癖取り」の難しさ

2012年12月08日 20時34分50秒 | レッスン

アンコン後、あまり開いていなかったチェロを取り出し
やっぱレッスンしてもらわないと・・と師匠のもとに向かった

第一声は予想通り
「かなり詰まってますね」
無理な演奏、してきたから、筋肉もクタクタだよね・・・ではなく
押し付けまくったボーイングですっかり萎縮してしまっているのはチェロ本体のこと。
それを師匠は一瞬にして見破ってしまうのだ。


しばらく師匠が全弓でボーイングをしていると”チェロ子”は
見違えるほど豊かに歌いだしてくれた。
こうしてチェロが鳴るようになってからレッスンは始まる。


それにしても、演奏会のたび、レッスンに合間が出来るたびに
同じような押しつけ型ボーイングに戻ってしまい、
チェロ子にも師匠にも申し訳ないという気持ちだ。

レッスンに通いだしてから丸5年になろうとしているのに、
基本ボーイングが遅々として進まない。
一歩前進二歩後退を繰り返している。
(無論経験年数の分少しは前進はあるんだけどね。)


相変わらず芯まで深く入りにくい、噛みにくい僕の状態を見かねてか
師匠は「面白いことをしましょう」と弓を弦の上空から落っことして
弾き始めるやり方を実演し、練習が始まった。

「壊れませんから、大丈夫です」
といわれながらも、腕の力を抜いてぶつけてはみるものの
「ゴツン!」「ガッツー」てな感じで、師匠のように
「ジャーン!」という風な音にはなかなか鳴らすことが出来なかった。

しばらくそんな練習をしたあと、手首と腕の力を抜いた状態から
次第に落とす起点を駒に近づけてゆき、
最後は「滑走路に横から着陸するように」
「毛の角、毛の一本から」スムーズに弾き始める練習に変っていった。

要するに、僕のボーイングは、すでに5年の間に癖が凝り固まってしまい
肩、腕、手首、指・・・・これらの硬直を一度解除しないと、前に進まないと
師匠は判断されたに違いなく、そのための落下練習だった。

そんな感じで基本の基本から始まったレッスンで、自分の沢山の「癖」に気付いた。

1)弓の持ち方、弓への指のアクセス角が浅すぎ(右から持っている)
2)弓の毛を弦にあてがう角度が、直角に近く、繊細な開始ができない
3)引き始めが「滑走路着陸型」ではなく、「ジャンプ落下型」に近い
4)「滑走路着陸型」を真似しても「上手いパイロット」ではなく「下手糞なパイロット」
5)ダウンボーイングの後半、半弓から残りは滑った音に変化してしまう
  (これは本当のダウンボーイングのカタチになってないから)
6)ダウンからアップ、アップからダウンの切り替えで、音が一瞬途切れる
  (これは、無意識に弓を持ち替える「癖」から抜け出ていないから)
7)左手の弦の押さえ方が「叩き型」ではなく、まだまだ「握りしめ型」に近くなっている

とまあ、開放弦のアップダウンと、ほんの1ポジションでの左指押さえ方のレッスンで
これだけの「癖」を自覚せざるをえなかった。
師匠からいちいち事細かに指摘されたわけではないけど、はっきり分かったのだった。

これらの癖を直すことを、年末年始の課題に加えよう。
これらの「癖」の克服をしなければ「明日はない!」のだと思う。
これまで5年かけて培ってきた「癖」だけに、脱出は容易ではないけど
これだけ言葉に出来るくらいに「自覚」できたことは「癖取り」の糸口になるはず。

「癖」と真正面に向き合うべく、年内もう一回のレッスンをお願いしてきた。
ぜひとも1.5歩前進したいと思う。


 

 

 

 

 

コメント (2)
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