チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

指揮者がどうの、ではなく・・

2011年04月24日 15時20分01秒 | 市原フィル

雨の中、公共施設の仮練習場にオケのメンバーは集まっていた。しかし扉は閉まったまま。
みんな手持ち無沙汰のまま、待つこと30分・・時間はきっちり? お役所仕事ということか?・・
いやコンサートホールのリハーサル室のような施設は、時間きっちり使う団体が多いのだろう。

ようやく明け渡されたリハ室に椅子を並べ、総練体制が整ったのは予定より15分遅れ。
チューニングが始まりしばらくすると

「本日指揮をしていただく、私の師匠の○○さんです」

と団員から紹介があり、その背の高い男性がみなの前に立った。
初めてのオケの前に立つとはどんな気持ちなんだろうなんて思っていると
「私の言葉は語尾が不鮮明になると指摘されてますので・・・」というところから柔らかく入ってこられた。

第一印象で恐縮だが、話しの仕方、表情、ものごし、何度見ても漫画家の「蛭子さんだ!」と思ってしまう。
先ほど紹介してくれた団員がパキパキの「女傑」タイプとすると、こういう先生が合うのかも・・・
なんて思っていると、指揮棒が振り降ろされ、「蛭子さん」はプロの音楽家に変身した。

まず、フィンガルの洞窟からスタートしたが、指摘ポイントは、常任の小出さんと同じ。
正指揮者と相談する時間など無かったはず、音楽を演奏するという基本を持っているプロは同じことを感じるのだ。
総練の前半では、自分の味付けはせず「普通はこのように演奏します」という指導が多かった。

休憩後ニールセンに移行。
「これは大変珍しい曲なので」と図書館から借りてこられた小さなスコアーで練習が開始された。
僕など、名前すら知らなかったニールセンについても相当勉強、あるいは復習されてこられたと感じた。
下振りを引き受けられた以上、どのように総練を仕立ててゆけばいいのか、準備が大変だったと察した。

練習の終盤になると「蛭子さん」は、ご自分の解釈を交えて、音楽作りを楽しんでいたのではないかな。
前半では、初めてのメンバーばかりなので、とまどいや、遠慮もあったのかもしれないけれど、
どんどん音楽そのものに没頭して行かれた様子で、普段は指摘されないような団員や、エキストラにも
「ここは入りが遅れている」とか「聞こえない」とか・・よく覚えてないけどバシバシ指摘していった。

オケ側といえばは、全く新しい指導者なので、少しおとなし気味というか、ベテランの方々は様子見という風情?
「蛭子さん」から飛んでくる指摘は、結構刺激的で、新鮮だったんではないかと想像する。

さて、自分はといえば、そんな様子ばかり気になってしまうとこが、大変困り者なんだけど、
なんだか、事前に練習してきた実力は全く活かせず(いや実力どおりに)、大変悔しい状態で終了。
「蛭子さん」がどう振舞われるか、団員がどう受けとめているか、
かの「女史」も自分の引きで紹介した都合上いろいろ思いがあるんじゃないか
・・・など気にしすぎなのだ。

気にしすぎといえば、前の人とボーイングが違っただけで、「あっ間違った」と自分の弓が止まってしまう。
全然自信がないうというか、その場の応用が全然利かないレベルなんだよな~。
ボーイングなんか今は試行錯誤もあって その場で変更されてゆくと頭では分かっているんだけど・・

本日の収穫はといえば 「どこが弾けないのか」「どこでいつも落ちるのか」ということが、鮮明になってきたこと。
それにニールセンにも最近「愛着」を感じるようになってきたこと。
今後は弱点克服に集中した練習をしてゆこう。  ん~受験勉強みたいだ。

 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日は「下振り」の指揮者がやってくる

2011年04月22日 22時15分24秒 | 市原フィル

知らなかった言葉「下振り」。4年前からオケに所属していたけど、常にマエストロの元で練習してきたので、「下振り」を雇うという経験はなかった。

下振りって何だろう・・ということで調べてみた

※下振り(したぶり):本指揮者の代わりに、オケの練習の指揮をすること。本指揮者と曲についての認識(例えばテンポの取り方など)を
共有しているので、オケ側から見ると、最初の練習で最低限の交通整理をしてもらって、本指揮者との練習に臨むことができる。

反対語は「本振り」だって! 雨が本降りになっちゃうみたいで変な語感だから、きっとあまり使わないのだと思う。

プロの世界で「下振り」は大変一般的なようで、
「かつてヨーロッパで指揮者となる一般的なコースとしては、まずオペラハウスの練習ピアニストからスタートして、
やがて合唱指揮者、オケの下振り、そしてオペラを指揮してその中から有名な人がコンサート指揮者になるというのが、
通常の道のりでした。」という記述があった。

ではアマの世界で「下振り」するってどういうことなんだ?
あるプロの副指揮者(カヴァーコンダクター)の副指揮者生活の中に「下振り」が出てくる。

「プロの副指揮者は、本番指揮者が何らかの理由でドタキャンしてしまった場合に、
いつでも振れるよう準備しておくことが重要な役割にもなっているが、
アマ・オケの場合、声楽つきの曲の場合は合唱指導、パート練習をすべて見て回り、分奏も受け持ち、下振りもし、
本番指揮者が全然駄目で上手くいかないときは楽譜のチェック、そして指揮法の伝授までしなければならない。
でも楽譜の間違いを指摘しても、シカトする指揮者もいますから困ったものです・・・
でも、ダメダメな指揮者でも音楽の方向性は一応あるので自分の指揮の方がアンサンブルがまとまって
メンバーもすっきりするのに、逆にメンバーの方から『それでは私の色になってしまう』と言われ、困る場合もある。」

これはプロ志望の副指揮者としての仕事の話だけど、アマオケで「下振り」をするということは
オケのトレーナー役までこなしながら、本番には出られない。指揮者の世界も大変厳しいことが伺われる。
指揮者志望の若手なら、こうした下積みもいいけど、ふだんはプロの演奏者として活動をしている音楽家が
下振りを引き受けてくれるということは、大変得がたい、ありがたいことなのではないかと想像する。

余談になるけど、こんな調べをしていたら、最上峰行 東京交響楽団のオーボエ奏者のブログ「指揮者あれこれ」に行き当たった。
プロの演奏者から見ると、指揮者にも「いろいろ」あるようで、プロ奏者と指揮者との関係が様々に分類されていて大変面白かった。
(指揮者からのコメントが入っているのが楽しい)
指揮者は演奏者と上手なコラボレーションができないと、いくら良い楽団でも力を引き出せないということだ。

さて、下振りの先生がどんな方であれ、自分はまだまだ演奏できるだけの練習ができていないのだ。

前回の練習では、フィンガルの洞窟の後半は、「想定外」のスピードに全く追いつけず、通り過ぎるのを唖然と見送るような状態だった。
「下振り」なり自主練習がどうであれ、本番では”小出超特急”に乗り込まなければ置いてけぼりなんだから、
しっかりと練習して臨みたい。
(しっかりと・・・この言葉、最近総理官邸近辺でよく使われる。本当はやらないのに、やった振りをしてごまかすことみたいだけど・・)

スピードが上がれば上がるほど、
譜面をきっちり読み込んで諳んじられるようになっていることと、
フィンガリングで迷いを起こさないことが大事だと痛感させられる。

今晩と明日の夕方まで、まだ時間はある。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヨーヨーマが日本への祈りを届けてくれている

2011年04月16日 01時48分45秒 | チェロ

いつも拝読している善福寺手帳さんが、ヨーヨーマの演奏を紹介している。

ハーバード大学のサンダース・シアターという場所で3月24日に収録されている。
ヨーヨーマは何も語らずに、深々と一礼したあと弾き始めたのは、
バッハの無伴奏チェロ組曲からprelude

続いて同じくバッハ無伴奏組曲の第1番から第5番まで、
sarabandeだけを選んで5曲演奏している。

鮮明なヨーヨーマのアップ映像から祈りが届いてくる。

ヨーヨーマのコメント
<日本の人々が大変な状況にある今、私は一人のアーティストとして、芸術や文化の在り方について深く考えさせられています。文化/­芸術は、このような過酷な現実に直面している人々の痛みを少しでも和らげることができるのだろうか。東京在住のある友人は、この疑問にこう応えてくれました。 「自分が適切だと思ったことをためらうことなく実行するべき。行動しな­ければなにも始まらないのだから。」
私は、この映像によって、日本に住む皆様に少しでも心の安らぎがもたらされることを切に願っています。>(ヨーヨー・マ)

 追記 第6番のsarabandeもありました。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ついに、レベル7が確定してしまった!

2011年04月12日 09時55分49秒 | その他雑感
海外報道や、心ある少数の学者の仮設に現実が追随し始めた。怖いことが起こっている。
9時過ぎに、時事通信が
「経済産業省原子力安全・保安院は12日、福島第1原発事故の深刻度を
国際評価尺度(INES)の暫定評価で、最悪の「レベル7」とすることを決めた」
と速報を流しているのに、果たしてどれだけのマスメディアが取り上げているだろうか。

 googleニュースではテレビ朝日での「レベル7」の報道があったことが検索はできるが、
ページが開くと、なぜか「削除されています」と出てくる。
 スポニチの速報を下記に貼り付けるが、日刊スポもいち早く報じている。
スポーツ新聞は東電と関係ないからだろうか。


~福島原発事故 最悪の「レベル7」に…チェルノブイリに並ぶ ~

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/04/12/kiji/K20110412000612370.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

演奏用メガネを忘れた!

2011年04月11日 01時12分50秒 | 市原フィル

シベリウスバイオリン協奏曲総練で、ソリストと二回目の練習があった。

またあの美しいバイオリンを生で聞きながら演奏する喜びが味わえるんだと、
前回とは別の「仮練習場」、新検見川にある「美浜文化ホール」に向かった。
ホールに付随したリハーサル室は新しいだけでなく、天井も高く
カーテンの後ろにはバレー練習の全面ミラーもあり、いつもと違う華やかな雰囲気。
震災の影響でキャンセルが出て、立派な会場が確保できたことは不幸中の幸いだ。

広いリハーサル室に、みなゆったりと着席して、プロ練習を始めようとしたところ・・・

 ない! 
 あるべきはずの楽譜用メガネがない! 
 あ”~家の机の上に忘れてきたんだ!
 メガネが無いと、楽譜を追うことが出来ない!
 もう終わった!・・・と思った。

この歳になると、遠視のメガネは最低2種類は必要になる。
一つは携帯電話の画面や、文庫本などを見るための度数が大きいメガネ。
 (大体30~40センチ以内を見るのに必要。)
もう一つは、オケの練習などで楽譜を見るための専用メガネ。
 (大体50~1mをカバーできる。)
このメガネを忘れてしまったのだ。

弦楽器では二人一組(プルト)で一本の譜面台を共有しているが、
チェロの場合最大1m近く離れて楽譜を見ることになる。
特にB4左右両開きの譜面だと、自分から遠い側は1m近くなる。

この距離になると、楽譜専用のメガネがないと、譜面の文字を判読できない。
乱視が混じっているので、メガネの補助が無いと自分より遠い側のページは絶望的だ。
特に困るのが速い音符が重なっているフレーズや、♯、♭、小節番号などの記号が読めないのだ。

近距離用めがねを持ってきてはいたけど、これを使うと譜面に30センチくらいに頭をくっつけることになる。
裸眼だと50センチくらいに近づければぎりぎり判別できるが、これでは隣の人の弓が頭に刺さってしまう。
隣のOさんは、事情を察していろいろを気遣いをしてくれているけど、どうにもならない。自分の責任なのだ。

一瞬帰ろうかと思ったが、せっかく来たのだから、やれるだけやってみるか、と演奏に参加した。

今回老眼鏡を忘れて再認識させられたのは、楽譜を覚えておかないと演奏できないということ。
(これ、めがねがあろうがなかろうが、師匠に言われた鉄則だったけど・・ついついね)

演奏して分かったことは、難しいパッセージのほうが、まだしも指も弓も動くということ。
難しいと分かっているので練習回数が多くなり、繰り返し指を慣らしている結果、体が覚えているのだ。

逆に速度の遅い部分や、白い音符でがゆっくりつながっているフレーズほど、演奏できなかった。
スローで静かなところでは、音のズレやミスが目立つだけに、はっきり当てないと音を出せない。
演奏する段になったら「その場で楽譜を読めばいいや」と練習をサボっているからこうなるのだ。

こうして、あっちこっちで落っこちながら、今日の練習に参加してたけど、
メガネがないことで、逆によく見えたこともある。

メガネが無いと、今までより遠くの方がはっきり見えるということ。
ソリスト、指揮者、遠くの団員、いろいろ目に入ってくる。普段指揮者を見てないわけではないけど。
(視野が広がったのか、単に弾けないからよそ見してただけだったのかは置いといて・・・)

たとえば・・・
指揮者の小出さんがだんだん熱を帯びてきている様子
 (回を重ねるに従って、小出さんの指揮が表現豊かになってゆく)

指揮者とソリストが呼吸を合わせてゆく様子・・・
 (ここはテンポどおりで弾きますとか、ここからは4拍子で振りますとか)

ソリストから団員に対してどのように演奏して欲しいか要望する様子・・・
 (第一、第二バイオリンに木の葉がさざめくような刻みがあるが、それをあわせないと弾きにくいとか、
 (管楽器はもっとシンコペーションのアタックを強くしてほしいとか
 (チェロもっと前に出て欲しいとか・・
 ソリストの方は、オケの演奏をよく聴きながらそれに乗ってソロを演奏していることがよく分かる。

メガネがないと分かることもあると悔し紛れに書いたけど、やっぱり演奏用メガネを忘れたら絶望的だ。

オケ練習用のかばんには、もう一つある遠距離用めがねを常備しておくことにしようと思う。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あまりにひどい、国内報道の現実が赤裸々に

2011年04月09日 15時21分37秒 | その他雑感
こんな内容何回も書きたくないけど、見てしまった以上 ブログでも紹介しないわけにはゆかない。
このビデオを見ると、東電と政府の対応のひどさと、自主規制して何も書かない日本の報道機関の
堕落に驚かされ、憤りを越えて吐き気がしてくるかもしれません。

下に掲げる2番目だけでもいいので、見てください。
民主党議員の勉強会での話で、鳩山元総理が隣に座ってます。
上野隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告勉強会(4/6)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発事故の真相報道集 (2)

2011年04月09日 13時51分53秒 | その他雑感

海外にいる人の方が、真剣に心配しているらしく続報が届きました。

共産党の国会議員(京都大学、原子力出身)の話ですが、たまには聞いてみてもいいかも。
4月6日のWEBニュースで、これまでの経緯と国の原子力機関の構図を説明しているようです。

 

INsideOUT4/6(水)「原発事故『想定外』政府の言い訳は通用しない!!」1/3
http://www.youtube.com/watch?v=JOpY-lOB9HA&feature=related

INsideOUT4/6(水)「原発事故『想定外』政府の言い訳は通用しない!!」2/3
http://www.youtube.com/watch?v=AFHOL0Xpb1w&feature=related

INsideOUT4/6(水)「原発事故『想定外』政府の言い訳は通用しない!!」3/3
http://www.youtube.com/watch?v=rZfy7vW-uVo&feature=related



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発事故の真相報道集 

2011年04月09日 06時07分03秒 | その他雑感

アメリカの友人が、海外における報道と、日本国内での報道のあまりのギャップ(嘘、誤り)を危惧して、見て欲しいという動画を送ってくれました。

いずれも、日本のインターネット系の報道番組ですので、日本語で見られます。
少なくとも東電から広告収入を得ていないインターネット系のメディアの内容は通常の商業メディアとは異なり、真実を伝えてくれていると感じます。

送られてきたものから、自分にとってよかったものを抜粋して、下記に貼り付けます。
武田先生の話はぜひ見てください。にやけた感じですが、実は真剣さに感服します。

1)<前半>原発の真相について武田邦彦氏が、ありのままを語っています。
2)<後半>報道姿勢に関する内容は、朝日ニューススター番組で見てください。

(なお、ニコニコ動画に無料で登録しないと見れないものがあるかもしれません。)

<前半>
*************************************
中部大学 - 武田邦彦(関東エリア未放送番組)

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm13961403


福島原発に何が起きているのか 武田邦彦 2011.3.30
1
2
3
4
5
6
7
8
9


<以下後半>
*************************************


問題の4/5午前深夜の東電会見(7分くらいからが核心部分です。)

*********

朝日ニューススターの番組です。
東電のスポンサーシップを蹴ってこの番組を続けています。

ニュースの深層4/5(火)「東京電力会見は信用できるのか」1/4
http://www.youtube.com/watch?v=shSO-Q-0O_c

ニュースの深層4/5(火)「東京電力会見は信用できるのか」2/4
http://www.youtube.com/watch?v=1HHraEWAMSw

ニュースの深層4/5(火)「東京電力会見は信用できるのか」3/4
http://www.youtube.com/watch?v=504V2RKfRUs

ニュースの深層4/5(火)「東京電力会見は信用できるのか」4/4
http://www.youtube.com/watch?v=LaKZB5USFy4
 
以上
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花冷えの上野公園で旧交を温める

2011年04月05日 21時48分12秒 | その他雑感

夜の上野公園は花見の季節にもかかわらず人影はまばら。

知事の自粛命令の結果どうなっていたか・・・
全ての提灯が消され、水銀灯の元で桜は青ざめ、花びら同士が暗い影を重ねている。
例年なら桜並木は車道も歩道も人々でごった返しているはずなのに、
黒々としたアスファルトの路面ばかりが目立ち、鳴り物は一切聞かれない。
ぽつりぽつりと開かれている宴も寒々しい。
4月としては記録的な寒さも影響しているのかもしれない。

そんな薄暗く侘しい上野公園の一角に、温かい光に包まれた老舗の料理屋さんがある。

韻松亭 (いんしょうてい)だ。

明治8年創業以来上野公園とともに歩んできたこの料亭は桜でも有名で、
花見のシーズンに座敷を確保することはかなり難しいはずだ。
気が利く仲間がいて、2月の段階で、この花盛りのシーズンに予約をしていた。
(もっとも、震災の影響でキャンセルもあったのだろう、満席という程ではなかったが)

料亭の売りは、豆腐料理や厳選した季節の食材を用いたコース料理だけど、
みんなの目当ては何といっても、やはり桜だ。
二階の座敷の外側は、見事な桜の花が取り囲んでいた、た、た・・・ない!

何と、仲間が予約した座敷の真正面を取り巻いていたのは、梅の大木だった。
がっくり・・
「ま、葉桜気分もいいか」と気を取り直し、何十年来の仕事仲間と、昔話に花を咲かせた。

話し疲れて、ガラス戸を開けると、縁側があり、年季の入った高欄が支えている。
そこから顔を出して、ふと左下を見やると・・
広い濡れ縁がしつらえてあり、床の上には篝火が焚かれ、
周囲にはライトアップされて桜が輝いていた。

我々の座敷の前こそ桜は無かったけど、話に花を咲かせ、
目を休めるとそこには七分咲きの桜の大木が眺められるという趣向になった。
とても豊かで、贅沢な時を過ごすことができた。

明るい店内、輝く桜を眺めたあと、上野公園の寂しげな桜並木を通って帰路についた。
大震災の最中とはいえ、自粛するばかりでは日本は元気になれないと語り合った。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オケ総連を休止せずに続けて良かったこと、分かったこと

2011年04月03日 01時24分53秒 | 市原フィル

多くのアマチュアオケが震災とともに練習を休止し、練習再開するか議論をしているらしい。
団員の親族が被災し、応援に駆けつけて休団状態の方も一人ではないが、
わがオケは一回も休むことなく、会場を転々としながら練習を続けている。

いつもの練習会場は、地震の影響で、点検補修やら、計画停電やらで、使用できない。
足回りの悪い穴川とか、流動化が起きた千葉市幕張の公共施設とかに集合して練習するのだ。
(僕は交通遮断で参加できないことが一回あったけど・・)

継続するために、役員は大変な苦労をしている。
会場を探し、予約し、練習できるか下調べして(きっとそうしていると思う)、
同じ団体名では続けて予約できないので別名で登録したりという具合だ。

集まる団員も一苦労だ。
普通と違う足が必要だし、不案内な会場に定時に到着することは結構大変。
今日の会場は穴川インター脇だった。穴川といえば、知る人ぞ知る千葉県一の大渋滞エリア。
初めて向かった会場は、その看板は見えていても近づくことができず、周囲を2回りしてしまうところだった。

会場に到着しても甘くはない。
本日確保できた会場は4階なのに、エレベーターが使用禁止だった。
「内部に閉じ込められることを避けるため」と張り紙がされていた。計画停電はないのに・・・
たまたまティンパニーは休みだったけど、もし重い釜を4階まで運び上げるとなると、相当困難。
コントラバスの人たちも、むろんチェロのメンバーも4階まで上がると息が切れた。(僕だけかも)

こうした仮練習場は4月いっぱい続く。
今のところ計画停電は少し収まっているけど、初夏に向けて必ず実施されるはずだ。
会場は確保できるのか、エレベーターは動くのか、夏に入ってから会場の冷房はどうなるんだろう。
心配は尽きない。


花見も自粛ムードの中、苦労して練習する意味は何だろう。

まずは、音楽に一時的にでも没頭できることは、心身の健康にとって大変ありがたい。
震災と原発事故の報道で、鬱屈した状態が続いているのはみな同じ。
それが演奏に集中している時間は、ほかの事を一旦忘れることができる。

次に、練習の空白は演奏のクオリティーにはっきり出てしまうので、練習のブランクが避けられる。
7月の定期演奏会には、1000人近い地元クラシックファンが期待し、駆けつけてくれる。
練習すれば練習しただけ、いい演奏になって返ってくると思う。

その証拠に今日は指揮者の小出さんがメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」の初合わせのあと
「僕のやりたいことみんな分かってくれているじゃない」
「よくさらってあるしね~」と褒めてくれた。
実は先週実施した指揮者なしでの総練の成果が出て、小出さんに違いが伝わったのだ。

先週の総練は、流動化のあった幕張の会場に、集まれるだけのメンバーが集まり、
「フィンガルの洞窟」の初合わせを行い、ニールセンの弱点部分を集中的にさらった。
2ndバイオリントップのYUKOさんが強いリーダーシップを発揮されたお陰で、大変よい練習会となった。

こう見てくると、市原フィルのすごくいいところが現れていると感じる。
YUKOさんは指揮棒は持たなかったけど、徹底して音楽のクオリティーを追及しようとして体を張ってた。
(女性に使う表現じゃないか・・でも一生懸命に指導する先生みたいだったよ)
人数が少なくても、オーケストラの練習を指揮者なしで行うことはかなり難しい。
その困難を承知の上でリーダーを担ってくれたYUKOさんの情熱に呼応して、
ティンパニー氏が終始テンポを刻んでくれたり、団員のフォローがあったりで練習が進んでいった。

そして、和音がきれいではないと感じれば何度でもその箇所をさらうし、パートごとに変な音が出ているとか、
誰かが間違った音を出していると感じると、その原因部分を追求して、修正してゆく「しつこさ」を発揮した。
またバイオリンにとって大変難しいパッセージがあれば、
管楽器もその練習に付き合って何回でも弱点部分をさらっていった。

そんな中で
「この部分は小出さんなら きとアクセルかかるから・・」意見が出されて、
指揮者がやりたい方向を推量して そのテンポで練習を進めるなど、
多くの団員が知恵を出し合い、曲のレベルを高めてゆこうという協働精神が発揮されていった。

こういう練習のあり方は、他のオーケストラでも見受けられるのかもしれない。
でも市原の皆さんの自主性と、問題意識の高さ、恐れずに突っ込みあう姿勢には、感心せざるを得ない。
その背景には、毎回練習後に行われている「呑み会」が作用していることは間違いなさそうだ。
(僕は下戸なんであんまり参加しない不良団員かも・・・)

さて、今日はチェロが大停滞を引き起こしてしまった。
ニールセンの第3楽章で、シンコペーションが複雑にからんだところが何回やっても合わない。
チェロ以外全員が見守る中、同じフレーズを何回も何回も何回も繰り返した。
指揮者も、周りのパートの人たちも辛抱強く付き合ってくれた。・・・こんなこともあるんだ。

ニールセンは演奏を予測をできないフレーズが多いとも言えるが、楽譜をよくみて演奏していなかったのだ。
「お前ら楽譜をきちんと読めよ!」と野次こそ飛ばなかったけど、チェロ一同 恥ずかしい場面だった。
自分でも、DをDesで演奏しているところを、長老のFg氏に見破られてしまった。

オケのメンバーの敏感さと音楽への真摯な姿勢に敬意を表したい。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする