チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

”ピノキオ奏法”再び

2019年02月21日 19時45分52秒 | レッスン

以前”ピノキオ奏法” の体験を書いたが、今回は単なる「木の坊や」から
チェロを弾く人間に近づけるかもしれない

半年前のその記事を再録すると
「僕が弓を軽く構えてG線に置いたときのことだった。
師匠が突然、僕の右ひじを軽く押したのだ(なんとなく放り投げられた感覚だった)
すると肩から下の腕全体が左にさっと動き、チェロが大きな音で鳴った。
弓が自然に止まったところで、今度は肘の内側を押し返したら、またチェロが大きく鳴った。
つまり、自然なアップボーイングとダウンボ-イングが出来たのだった。
自分は軽く弓を持って構え、弓にほとんど圧力を加えていないのに、
弓の毛が、弦を咥えて行ったり来たりしているだけで チェロが豊かに鳴っている。
「ゼペット爺さん」に操られている「ピノキオ」になった気分で不思議だった。」

この記事の後、コンサートやらお尻の手術で10日も入院するなどいろいろあり、
久しぶりのレッスンとなった。
いつも通り師匠が僕のチェロを調整後、たまたま持参したアンサンブルコンサート用の楽譜を
さらっと弾くと、自分の弾く音色と全く違っていることに気づかないわけがない。

「ん~、はっきりとした発音、豊かな音量、輝かしい音色・・・」これらはどうやって出てくるのか。
やはり「脱力」を放ったらかしにして、力でチェロを”ねじふせようとしている”ことを感じざるを得なかった。

そんな”力任せのチェロ奏法”から脱却できるかもしれないのが”ピノキオ奏法”だと思う。
基本的なエチュードを弾いて見せたとき、今回はアップの時だけ、師匠は右腕の外側を押し始めた。

それで分かったのは、ダウンからアップに移行するとき、2つのうちどちらかをやっているということだと気づく。

一つ目はダウンからアップへ移るとき「アップの弾き方」をしていないこと。
つまり同じ平面上を崩さず、弓を左へ押し出す動作を意図的にやっておらず、ただ惰性で左に弓を返している。

二つ目は、ダウンからアップに移るとき、手首や指に力を入れているので、
弓の毛が、弦から瞬間的に離れてしまい(弦を噛まなくなり)、アップボーイングが滑ってしまいがちな事。

これら二つのことを避けるためにやってくれているのが”ピノキオ奏法”だとすぐに気づいた。
大人だから気づけば、直すことも可能なはず。それが今回の進歩の根拠で、師匠も
「子供は意味が分からなくてもやれるけど、大人は意味を理解してやるので、その点有利」
とおっしゃっていた。

「わかる事とできること」は全く違うことは分かっているけど、今回の理解はちょと違うかもしれない。

「このエチュード全てははこのことを掴むためのものです」と師匠に言われ味気ないエチュードの目的が鮮明になりが楽しみになったから。エチュードの意味がよ~く分かったから、これから基礎の基礎の基礎練習をすることが楽しみになったから、この「理解」は技術の変化につながるかもしれない。

全ては、弓の毛が弦をしっかり噛んで離れず、pでもfでも変わらずに同一平面上でボーイングができるようになるための訓練だった。それが美しいチェロが秘訣の一つなのだ。

チェロを衝動買いしてから、3月でまる11年を迎えるが、いつまで経っても新しい気づき
新しい世界があることは幸福なことだ。
今日のレッスンをきっかけに「より深い、より豊かな美しい音色」への一歩が始まるかも・・という期待感もある。
チェロの奥深さに感謝だ。

コメント (2)
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