チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

新年初レッスンで新たなスタート

2012年01月14日 09時50分09秒 | チェロ

この冬一番の冷え込みの中、気持ちを奮い起こして師匠宅に向かった。

年末のレッスンでは「弓を引く」のではなく「弓を親指で押し」ていることに気付いたが、
今日は親指に力が入りすぎていることに気づき、右手に大きな変化が生まれた。

「右手に力が入りすぎている」ことは、毎回のレッスンで繰り返し指摘を受けてきたけど
「もうこれ以上脱力は無理だよな・・・」って感じ続けていた。

今回も、右手で開放弦のダウンボーイングからレッスンは始まった。
G線をダウンで弾くのだけど、単純な動作なのに、はじめからいい音は出ない。
自分が弾く音と先生の弾く音の違いが感じられた。何度も繰り返すうちに、
ほとんど力を加えていないのに、はっきりと太い音が出るときがあった。

その瞬間
「素晴らしい、それでいいんです!」
「ここまで力を抜いてしまっていいんですか」
「力を抜けば抜くほど、いい音が出ます」
「確かにそれを実感できます」
「ようやく信用してくれたみたいですね」
右手のダウンを開始して4年半にしてようやく何かが変ったと気付いた。

「右手はこう。何もしないで素直に」と何度も、何度も、何度も何度も・・・
同じことを繰り返し指導してくれていたけど
体で覚えてしまっている癖はこれほど頑固なものだった。

どうして今になって基本中の基本の感覚を掴むことができたのか考えてみると
自分の耳が音色の違いを識別できるようになってきたことと関係があるらしい。
いい演奏と、悪い演奏の違いは、必ず音質の違いに現れているのだけど
今まではその差を識別することが出来なかったのだ。

前回と今回でつかんだ右手の使い方は、チェロの基本的な弓の持ち方を
実感できたに過ぎないけど ”一生もの”の気づきだと思う。

そして左手にも変化 

この1年ほど、左手の押さえ方についても教えてもらってきた。
正直なところ右手以上に左手の練習はピンきていなかった。

師匠の指導のポイントは・・・
「親指で握り締めない」
「親指はポジション移動とともに自由に動く」
「親指と他の指が連動しないように、一本一本の指を切り離して自由に」
ということなのだけど、これまた実感がわかなかったのだ。

訓練の仕方もいろいろあった。
ネックを持っていると感覚がつかめないというので、ボディーを叩いてみたり
弓を持たず、左だけで練習したりを繰り返していたけど、分かったようで分からない。
弦をたたく動作にしても、他の指では弦を叩くことができるのだけど、
人差し指だけはどうしても叩いている感覚にならなかった。

ところが今日は、左手の練習途中で「そこで指を落として!」と言われた瞬間、
人差し指がA 線の上で小気味良い音を奏でたのを実感できた。
人差し指は器用だから、どうしても親指と連動して、ネックを握ってしまっていた。
「握り締めないで」と言われながらもできなかったことが
「落として」の一言で、人差し指の力が抜けて、弦を軽く叩くことができたのだと思う。

これはほんの些細な違いなのだけど、まるで別世界の感覚だった。
理解することと実践すること、頭で分かることと実感できること
この間にある大きな違いをまた感じさせられた。

チェロを始めたのは2007年3月。今年が2012年1月か。
思えば丸五年を迎えようとしている。
今、ようやくチェロ修行のスタートが切れた気がする。

ここからの一歩、いや半歩ずつの前進が楽しみだ。 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 弾き初め(ぞめ)は鈴木メソ... | トップ | チェロ練→総練でオケでも社会... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひろ(Fg))
2012-01-15 07:50:09
なるほど、管楽器にも通じることがありますね~。

楽器を無理せず鳴らす。

聴き手も楽に聴けるんでしょうね~。
返信する
>ひろさん (chiibou )
2012-01-15 10:34:42
ひろさん、そうなんです。どうやら楽器を鳴らすという考えはおこがましくて、
楽器は自ら鳴ろうとしているのですね。
それを無理に押さえつけてしまっているから
鳴るというよりは悲鳴をあげてたのかも・・・
なんて思います。でもそれが難しいですね。
返信する
はじめまして (平蔵)
2012-01-17 12:06:04
今年還暦を迎えるチェロ初心者です。高校時代に親しんだきり、ぽつんぽつんとチェロを触る程度で、ようやく昨年秋からレッスンを開始しました。講師から、裏板が鳴っていない!と言われ、「チェロ、響き」で検索して、ようやく貴サイトにたどり着きました。大変勉強になります。ありがとうございます。
おかげさまで、リラックスではなく、力を抜くのではなく、「力を入れない、力を加えない」で弾くとチェロがゴーゴーと鳴り出してくるのを感じ始めました。開放弦では、左手で裏板に触れて確かめたりしています。左指が加わると響きが違ってきますね。難しいです。私の講師は、「開放弦は誰でも鳴るのよ...」トホホです、ハイ。
とにかく耳が育っていかないと向上が難しいということを痛感する毎日です。
力を抜いて響かせる、ということと、音量や、p or f の関連が掴めないで毎日試行錯誤をしております。
ともあれ、これからも熱心なブログ読者でありたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
P.S. 友人が弥生で頑張っております
返信する
>平蔵さんはじめまして (chiibou)
2012-01-17 22:45:10
コメントありがとうございます。高校からチェロを始められているので大先輩ですね。脱力は諸先輩にとっても永遠の課題のようで、わが師匠も毎日のようにボーイングの基本をさらっているとお聞きしたことがあります。
「裏版が鳴っていない」というのは我が師匠の「芯まで届いていない」ということと同じなのだろうと思います。僕はまだ「チェロがゴーゴーと鳴り出してくる」のを感じたことがある程度で、まだまだこれから本当のチェロの音に近づきたいと思っています。
細かいテクニックではなくチェロが鳴る訓練をしてくれる平蔵さんの先生も大変熱心ないい先生とお見受けします。
これからもアラカン同士よろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

チェロ」カテゴリの最新記事