猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

殺しのドレス

2014-07-12 15:02:56 | 日記
1980年のアメリカ映画「殺しのドレス」。
中年女性ケイト(アンジー・ディッキンソン)は夫との性生活に不満を抱いており、
精神分析医のエリオット(マイケル・ケイン)のクリニックに通っていた。ある日
1人で街に出たケイトは、まずクリニックに行き、それから美術館に行った。
美術館にいると、彼女は1人の男の視線を感じた。男は挑発的にケイトを誘う。
彼女は誘われるままに男とタクシーに乗り、男の部屋で情事を交わした。しかし
男の机の中の書類から、男が性病であることを知り、急いでその部屋を出た
ケイトは、指輪を忘れてきたことに気づき、エレベーターで戻った。が、扉が
開いた瞬間、彼女は何者かに襲われ、カミソリで惨殺された。
ちょうどエレベーターを待っていた娼婦のリズ(ナンシー・アレン)は死体を発見、
犯人らしいブロンドの女性を目撃する。リズはケイトが持っていたカミソリを
手に取ってしまったために犯人扱いされ、警察で取り調べを受ける。

この映画、昔も観たことがあるが、すごくおもしろい。好きな映画の1つだ。
エレベーターの中で殺された女性。その女性の息子(恐らく高校生)と犯人扱いされ
てしまった娼婦が組んで、犯人捜しをする。まずカミソリっていうのが怖い。
包丁よりカミソリで襲われるシーンの方がゾッとするのは何故だろうか。
犯人は予測がつくのだが、どうして?というのがわからない。
ブライアン・デ・パルマ監督はヒッチコックに強い影響を受けているらしく、撮影の
手法も似ていて、本当にはらはらする。特に美術館でケイトが男に誘われる場面。
男はセリフがない。その男を追いかけていくケイトの視点が中心になっていて、
どきどきしてくる。そしてリズが地下鉄の中で狙われる場面。リズが電車の中を
逃げるシーンのカメラワークは秀逸だ。そして、危ない!という時に登場して
リズを助けるケイトの息子ピーター。ホッと胸を撫で下ろす。ピーターは化学に
凝っていて、盗聴器や目つぶしのスプレーなんかを作ってしまうところがいい。
それが映画の中で大きなポイントになっている。
私は”この手”の映画ではこの「殺しのドレス」が1番好きだ。名作である。それから
「エンゼル・ハート」「マシニスト」と続く。
ピーター役のキース・ゴードンはジョン・カーペンター監督の「クリスティーン」でも
印象深かったが、最近は見なくなってしまった。どうしているのだろう。



人気ブログランキングへ
映画(全般) ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フラッシュバック・キラー

2014-07-11 13:27:13 | 日記
2006年のアメリカ映画「フラッシュバック・キラー」。
中年会計士のグラントはラスベガスを訪れ、娼婦のマリッサと出会う。グラントが
マリッサとモーテルの一室にいるところに突然、マリッサの元恋人・ジョーイが
ナイフを持って乱入し、グラントはもみあった末に彼を殴り殺してしまう。
2人はジョーイを車のトランクに入れ、荒野へ遺棄しようと計画するが、死体を
埋める穴を掘った後でトランクを開けると、あるはずの死体が消えていた。ジョーイ
は生きていたのだ。グラントはジョーイを探し出しとどめを刺そうとするが、彼は
「マリッサは実は恐ろしい怪物なので殺さなければならない」と言うのだ。「男の欲望
に沿った姿で現れる」と。

うーん、おもしろいのかおもしろくないのかよくわからない映画だった。一応サス
ペンスなんだけど。殺したはずの男の死体が消えている。いかにも興味をそそられ
そうなストーリーなのだが。
最初の方は進行が遅くてあまりおもしろくない。ジョーイが実は生きていたという
辺りから割とおもしろくなってくる。グラントが遠くにいるマリッサの顔を見ると、
その顔がぐにゃりと歪んで魔物のようになる。ジョーイの言ってることは本当なの
だろうか?と思わせる。だけどいくらなんでも…とも思ってしまう。
ジョーイにマリッサを殺せとけしかけられ、現実なのか幻想なのかわからなくて
苦悩するグラントの姿にははらはらする。マリッサを殺してしまうのだろうか?
まあ暇つぶしに観るにはいい作品かもしれない。私がわからなかったのは、「どこ
から物語が始まっているのだろうか?」という点だ。


どうでもいいことだが、この間10数年ぶりにハンバーガーを食べた。久し振りな
せいかおいしかった。



人気ブログランキングへ
映画(全般) ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

罪の手ざわり

2014-07-04 02:41:03 | 日記
中国映画「罪の手ざわり」を観にいった。
ダーハイ(チアン・ウー)は山西省で炭鉱夫をしながら1人暮らしをしている。彼は、村の
共同所有だった炭鉱の利益が、実業家の同級生ジャオによって独占され、村長と会計係は
その口止めに賄賂をもらっているのではないかと疑い、大きな怒りを抱いている。
重慶の男チョウ(ワン・バオチャン)は出稼ぎだと妻に嘘をついて、各地で強盗を繰り返し、
家に送金しており、妻は大金を送ってくる夫を、ただの出稼ぎではないのではないかと
怪しんでいた。
シャオユー(チャオ・タオ)は、カフェで恋人と待ち合わせをしていた。2人は何年もの
付き合いになるが、彼は妻がいる身だった。「奥さんをとるなら、私と別れて。お互いに
よく考えて決めましょう」とシャオユーは言った。
縫製工場で働くシャオホイ(ルオ・ランシャン)は、よりより高給な仕事に就こうと、香港
や台湾からの客を対象にしたナイトクラブ「中華娯楽城」で働くことにした。この店で
シャオホイは列車の中で偶然乗り合わせたホステスのリェンロン(リー・モン)と出会う。
シャオホイはリェンロンに恋をし、一緒にここを出よう、と話すが、リェンロンには3歳
の子供がいて、子供を育てるためにコスプレをして客をとっているのだと告げた。

実際に起きた事件を元に、4つの物語で構成されている。とてもおもしろかった。チョウ
の話はあまり印象に残らなかったが、あとの3つは胸に残った。チョウの話は、冒頭で、
強盗に襲われたとはいえ、まだ少年にも見える若い強盗たちを、なんのためらいもなく
射殺したのにはびっくりした。この男にも妻子がいて、自分が強盗で奪った金を、妻に
送金しているのだから、ちょっと信じられない神経だ。
1番見応えがあったのはダーハイの話だ。村で賄賂が行われていると確信して、北京の
中央規律委員会宛てに告訴状を送ろうとするも、住所を知らないので送れない。ダー
ハイの怒りは増すばかりだ。
シャオユーの話は悲惨だ。彼女は風俗サウナの受け付けをしている。それなのに客に
相手をしろと執拗に迫られ、暴力を受けてしまう。彼女の顔を何度も札束で叩く男を
見ていると、私も怒りが湧いてきた。
他にもシャオユーは不倫相手の妻とその連れに暴力を受ける。妻は「人の夫を誘惑する
のがあんたの人生なの?」と罵声を浴びせられるのだ。どうして女は夫が浮気をすると
こういう方向に出るのかなあ。私はいつも不思議に思う。女は女を憎むというが、私
だったら浮気した夫に怒り、憎むと思う。大体女が誘惑してきたかわからないじゃない
か。夫の方が誘惑したかもしれないのに。かわいそうなシャオユー。
シャオホイはまだ若い、20歳そこそこに見える。働いているナイトクラブでホステスを
好きになるが、彼女には幼い子供がいた。ホステスたちはコスプレをして列になり、服
には番号札がある。これで客に指名されるのだ。まるっきり商品だ。同じ女として辛い
気持ちになった。シャオホイの純粋な気持ちは打ち砕かれる。若い人が希望を失うさま
は、見ていて悲しい。
中国の社会の片隅で、普通に生きてきた人たちが、罪に手を染める瞬間。そうなるはず
ではなかったのに。静かだが、悲しく、重たい映画だった。



人気ブログランキングへ
映画(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする