猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

blank13

2023-10-13 21:50:40 | 日記
2017年の日本映画「blank13」。

ギャンブルに溺れ、借金を残したまま蒸発し、13年間音信不通
だった父・松田雅人(リリー・フランキー)が見つかった。がんで
余命3ヵ月の体だが、母親・洋子(神野三鈴)と兄・ヨシユキ(斎
藤工)は見舞いを拒否し、弟のコウジ(高橋一生)だけが入院先を
訪ねる。しかし、相変わらず金を工面している姿を見てしまい失
望する。その後、父はこの世を去り、コウジは葬式に参列した数
少ない友人から、家族の誰も知らなかった真実を知る。

俳優の斎藤工が「齋藤工」名義で監督を務めた、監督デビュー作。
放送作家のはしもとこうじの実話を基にしたコメディ。コウジは、
兄のヨシユキから実家に呼び出され、父である松田雅人ががんで、
とある病院に入院しており余命3ヵ月であることを、母・洋子と
共に知らされる。雅人は13年前、タバコを買いに出たきり失踪
していた。雅人にはギャンブルで作った400万円の借金があり、
残された洋子とヨシユキ・コウジ兄弟は、大変な苦労をして返済
した過去があった。そんな経緯から、洋子とヨシユキは雅人の見
舞いを拒否するが、コウジには、幼い頃雅人と野球の練習をした
楽しい記憶があったため、見舞いに行く。
しかし、13年ぶりに会った雅人は相変わらず借金の取り立てに
あっており、心が通わぬまま、コウジは病院を後にする。やがて、
雅人の葬儀の日となり、ヨシユキが喪主となるが、洋子は参列し
なかった。葬儀が始まり、遺族以外の参列者たちが、僧侶に促さ
れて雅人の思い出話を語り始める。そこで明らかになったのは、
コウジとヨシユキが予想もしない、人情味あふれる雅人の生き様
だった。
葬儀のシーンからいきなり笑える。隣の斎場で同じ松田姓の人の
葬儀が執り行われており、参列者が双方間違えてやってくる。し
ょぼい雅人の葬儀と違って隣の人は立派な葬儀だ。お金持ちなの
だろう。ここでクスクス笑ってしまう。雅人は13年前に借金を
作って失踪してしまい、残された妻子の元にはしょっちゅう借金
取りが来ていた(もちろん雅人がいた時から来ていたが)。そんな
中で兄弟は勉強をしていた。母の洋子は仕事に行き、洋子がケガ
をして働けない時はヨシユキが新聞配達をした。家事ももっぱら
ヨシユキがやり、3人は助け合って暮らしてきた。
そんな生活をしていたら、父への憎しみは強くなるだろうなあ、
と思った。特にヨシユキの父への憎しみは強く、「あんな男には
ならない」という思いから、現在では割といい仕事に就いている。
コウジは父を憎みながらも、子供の頃一緒に野球観戦に行ったり
野球の練習をした思い出があることから、父を憎み切れないでい
た。ヨシユキとは違って愛情が残っていたのだ。
それにしても僧侶が参列者に故人の思い出を語らせるなんてある
のだろうか。私はそういう葬儀に行ったことはない。ここで佐藤
二朗が出てくるのはずるいと思う。またクスクス笑ってしまう。
コウジとヨシユキがずっと無表情で座っているだけに尚更。雅人
はギャンブル仲間からは好かれていたようだ。お人好しで優しい
男だったと。でもギャンブル仲間から好かれてもねえ、と思うが。
参列者たちのお陰で葬儀は和やかに進んでいく。雅人の遺影を持
っていたヨシユキが遺影をコウジに渡して、席を外すシーンはホ
ロリとする。ただのコメディでは終わらないところがいい。斎藤
工って意外と監督の才能があるのではないだろうか。リリー・フ
ランキーがダメな親父にとてもはまっていた。



映画評論・レビューランキング
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング
人気ブログランキング



コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SMILE スマイル | トップ | ブラッド・チェイサー 呪術... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良い葬儀ですね。 (ウラジーミル・アスポン)
2023-10-14 10:51:40
「blank13」という映画のタイトルが13年間の音信不通を意味しますね。
一目瞭然ですね。

俳優の齊藤工が監督もやっているなんて驚きました。
俳優だけかと思ってました。才能、あるんですね!

死にかけというのに見舞いもしないとは、母や兄は、父に対する憎しみが強いですね。
死ぬからって罪が消えるわけではないけど、罪を挽回するチャンスもない瀕死の人に対しては許せるレベルなら許してあげる筈ですが、
さんざん苦労したら、許せず、お見舞いにも行かないのも仕方ないでしょうか……。
下の子のコウジの方が苦労が少ないので、父への愛情が残っているんですね。
心あたたまるキャッチボールの想い出がコウジと父の間にあるんですね。

でも、最期まで家族の溝が埋まらないままなのが寂しいですね。
入院先で、お見舞いしたら、ロクでもない姿を見たら、失望し、父と和解できそうにないのも仕方ないです。


あらすじやざっとした解説では、とても重いストーリーなのに
『コメディ』というジャンルの括りになっているのは驚きました…Σ(・ω・ノ)ノ!
ぱっと読んだ限りコメディの要素があるとは思えないです。家族の重い話の筈。
借金のこして蒸発した親父のせいで母が苦労し、兄も新聞配達などし苦労しまくったというのは悲劇だと思います。

お葬式で、父の友人たちの話から、父の違う側面を見る事になって、
だんだん気持ちがかわり、死んでからでも、父への気持ちが良い方向に変わったのは良かったです。
ただ、死ぬ前に理解し合える方がもっと良かったですが…。

これから数十年生きるのに、そのアイデンティティを築くのに重要な父母などへの気持ちは良いに越した事はありません。

大人で結婚し別な家庭で幸せを築いても……子供時代の暗い親との関係を今は別家庭で直接関係ないのに関わらず、
心にひきずって割り切れずもがいている人が結構、多いと知りましたから、
この「blank13」も、死んで終わった関係でも、後からでも、良い方向に代わり良かったです。

それにしても、小規模でも参列者が故人を心から慕っているのは、良い葬儀と言えますね。
返信する
Unknown (杏子)
2023-10-14 17:25:22
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。斎藤工は何となくただの俳優では終わらない人という
感じがしました。映画を作って、なるほど、と思いました。

ギャンブルでの借金を残して失速するなんて、私でも許せないです。
見舞いも行きません。
特に妻と長男は苦労が大きかったですから、会いたくないという気持ち、わかります。

父を憎み切れない次男は会いに行きますが、父が携帯電話で借金の話をしているのを見て、
「この人はまだこんなことをしてるのか…」と失望し、
ろくに話もせずに帰ります。

あらすじではコメディではないような気がしますが、
コメディなんですよね。
笑えるシーンが多いです。

死ぬ前に父がどんな人だったのかわかり、兄弟とも理解し合えたら良かったと、
ほんとに思います。
この家族にとって、父の存在はどういうものだったのかな、と思いました。

良い葬儀…なんでしょうね。参列者たちがおもしろかったです。
返信する
Unknown (wataame0102)
2023-10-15 19:14:51
コメント返信したら?
返信する
Unknown (杏子)
2023-10-15 20:01:30
>wataame0102さん
返信してますが?
返信する
Unknown (bokkakea-chan)
2023-11-14 14:28:23
こんにちは、ひょっこりコメントお許しくださいm(_ _)m
いつも映画のお話ありがとうございます(^.^)(-.-)(__)この映画はうちの旦那の家族の話かと思った程です🤣多額の借金残したまま突然蒸発して、突然姿を表したかと思ったら癌で余命宣告、、そんな父親の面倒をみたのは、うちの旦那だけ。。破天荒な父で、そのために苦労ばかり強いられ行きたかった高校も断念して働くことになった旦那ですが、父親を見捨てられなかったのは、幼い時にほんの少し、父親と過ごした思い出があったから。。とのことでした。
長いコメントお許しくださいm(_ _)m💦
返信する
Unknown (杏子)
2023-11-14 19:53:13
>bokkakea-chanさん
コメントありがとうございます。ほんとにご主人のご家族みたいですね!
こういうことあるんですね〜( ; ゜Д゜)
再び現れた余命宣告を受けたお父さんを、お母さんもご兄弟も面倒見なかったんですね。
でもその気持ちもわかります。
ご主人はさんざん苦労かけられたけど、見捨てられなかったんですね…
映画のストーリーそのままでびっくりです。
世の中にはこういう人もいるんですね(´・ω・`)
返信する

コメントを投稿