猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ケンとカズ

2017-06-14 02:14:25 | 日記
2016年の日本映画「ケンとカズ」。
悪友であるケン(カトウシンスケ)とカズ(毎熊克哉)は自動車修理工場を隠れみのに
して覚せい剤の密売で金を稼いでいたが、ケンは恋人が妊娠したことをきっかけに、
彼女と生まれてくる子供のために人生をやり直そうと考えていた。一方カズは、認
知症の母親を施設に入れるために金が必要であり、密売ルートを増やすべく敵対グ
ループと手を組むが、元締めのヤクザに目をつけられ、次第に追い詰められていく。

不良の友人同士の犯罪や人生を描いたドラマ映画。いかにも日本のマイナーな映画
らしく、とても暗い。出演者もテレビなどで見かけないような人たちばかりなので、
妙にリアルな感じがする。
ケンとカズは自動車修理工場で働いているが、裏で覚せい剤の密売をしている。し
かし2人の考え方は変わりつつあった。ケンは同居している恋人が妊娠したため、悪
いことをやめて真っ当な生き方をしたいと思うようになるが、カズは認知症の母親
を施設に入れるためにもっと金が必要だった。カズは更なる悪事に手を染めるよう
になる。
カズの母親は死んだ夫がまだ生きていると思い込んでいて、カズによく「お父さん、
遅いわねえ」などと言っては、カズに「親父はとっくに死んでんだよ。何度も同じ
こと言わせんな」とすごまれる。この母親は精神病のようにも見える。カズが子供
の時ひどい虐待をして、その後「ごめんね、ごめんね」と言ってカズを抱きしめた
りしていたので、昔から精神に異常をきたしてはいたのだと思う。こんな母親と暮
らしていたらカズがグレるのも無理はない気がする。私だってイライラするし、「
何度も言わせんな」と言うかもしれない。
ケンの恋人にもまたイラッとした。後半彼女はケンと別れることを決めるのだが、
それは仕方ないとして、「この子(お腹の中の子)にはちゃんとした父親が必要なの
」って言い分は何なのだ。ケンと別れて、お腹の子の父親になってくれるちゃんと
した男性を捜すつもりなのか?そんな妊娠中の女の面倒を見ようというお人好しの
男性はそういないと思うのだが。あまりにも甘いし厚かましいのではないだろうか。
「私が1人で育ててみせる」ならわかるのだけど。
後半は暗さが加速していき、悲劇へと向かっていく。絶望的な結末はなかなかに好
みである。カズの母親とケンの恋人、2人の女にはイラッとさせられたが、ラスト
シーンは良かった。監督・脚本は小路紘史という30歳そこそこの人である。若い人
が作った映画だなあ、という雰囲気が全編に漂っている。




全般ランキング

人気ブログランキング
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする