ここは国立公園だから樹木の伐採は殊の外厳しいのだ。
建築確認を申請すると同時に自然公園法による立木伐採の許可が必要となる。当然、立木伐採は建物建築と駐車場スペースのみに限られるし、立木伐採の後の植樹や屋根・外壁の色彩計画まで規制される。高さ30mもの大木がワンサカあるから、この大木の伐採と抜根、それらの排出と整地に多額の費用がかかる。予算を大幅にオーバーする元凶がこれで頭が痛かったけど、ま、しょうがないね。
もう一つの問題は「音」
JazzBar?? Live?? 当然に音の問題があるよね。しかも伊豆高原分譲地は殊の外静寂な別荘地。そこにJazzBarだって?
建築計画を聞いたご近所からは、ま、当然ではあるけど、早速に音の問題を指摘されてしまった。
勿論、防音対策は完璧ですよ。
「でもね、建物の防音は完璧でも、お酒飲んで、Jazz聞いて、オールデイーズでいい気分になって、お店を出てから哄笑や車のドアの開け閉めやエンジンふかしてヴォヴォヴォ~~~ンってあるでしょ。あれって、深夜の伊豆高原じゃ響くんだよね。」
「まさか深夜営業しないよね」
「うち、10時にゃ寝ちゃうのよ。営業時間10時までにしてくれない?」
「でも、JazzBarっていいわねぇ、生のバンド…聴きたいわ」
「あなた、バーテンするの? イケメンのバーテンじゃないのね・・・じゃ、お客こないわねぇ」
いろいろありますねぇ。いろいろ言ってくれますねぇ。
で、頭と胃とお尻と財布がいっぺんに縮こまってしまったのよ。あれやこれや、これやあれやで...めんどうくさいから、やめちゃおか。なんか、面倒くさくなってきた。
でも、そこでヘコタレナイのがジロチャンね。立場を変えてみれば、それは皆さんの心配はしごくもっともな話。ご近所様とは仲良くやっていきたいし。
考えました。自分の主張を押し付けるんじゃなくて、相手の立場で考える。これ、平和の基本だし。一週間考えて、これならご納得いただけるのではとの対策をまとめて説明に伺った。いかがでしょうか。
防音対策
① 壁の構造を厚くし、防音遮音性能を徹底しました。具体的には以下の通りです。
室内側石膏ボード厚15,5㎜ + 日東紡遮音シートJ厚1㎜ + 空気層40㎜ + 密度40㎏ロックウール断熱防音材厚100㎜ + 構造用合板厚9,5㎜ + 空気層15㎜ + 杉羽目板厚12㎜ =合計壁厚193㎜としました。
② 開口部のガラスを4層として防音性を強化しました。南側および北側の窓は、複層ガラスの内側に更に複層ガラスを設置して、4層ガラスとしました。 エントランスドアは防音タイプとし、ホールと客席間にもう一枚の内ドアを設けて音の漏れを防ぎます。
③ ライブは主に週末に行いますが、爆音系ロックなどのライブは行いません。基本的にはJazz、Blues、などのアコースティック系のライブです。また夜10時30分以降のライブは行いません。
④ 夜10時以降に退出されるお客様へ、店外での哄笑やドアの開け閉め、車の発進、クラクションなどに十分注意して、ご近隣の皆様にご迷惑のかからぬよう注意を促す看板等を設置いたします。
⑤ 平日は23時閉店。週末のみ23時30分閉店。でも、大晦日の夜は・・・オールナイトあるかも。
工事期間は5月10日~8月10日 開店は9月を予定しております。
工事期間中はご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いいたします。
と、詳しく説明すると…ま、これならいいか。楽しいお店になりそうだね。開店したら行ってみようかな。
と言う訳で、今週からいよいよ基礎工事が始まります。あ~ぁ、疲れた。始まる前から疲れたねぇ。