つまりはだ、結論は出てるってことだろ。そう、やっちゃえばいいのよ。どうにかなるって。それとも何か?猫とバラの世話に明け暮れ、下手なギター抱えて老人施設で拍手を浴びて悦に入り、ウィスキーを舐めながら水戸黄門のワンパターンを笑い、年金と蓄えを食いつぶすだけの人生の黄昏で心穏やかに隠居出来るってか。
ウジウジウジウジウジウジウジウジ・・・・
あれからいろんな事があったよね。何よりもでっかい出来事が東日本大震災。そして原発事故。絶望と悲観と恐れに呆然とし、家内の転倒骨折での寝たきりで介護の負荷は更に増し、止めは音楽仲間のAさんの死。
静岡癌センターでのライブ、耳に届いただろうか。その次の日に旅立つなんて。僕より二つも下の君が、煙草も吸わない君が、最高峰のJBLでJazzを聴かせ、美味いコーヒーを淹れてくれた君が、ソウルフルな声で歌ってくれた君が、事もあろうに余命を宣告され、かすかな希望と絶望と無常と死への恐れの毎日を経て結局は往ってしまった。
人生、何が起こるか判らないね。明日も同じ生活があるなんて判らないね。
亡くなる十日くらい前の事だったっけ。AさんとAさんの奥さんに背中を押されたのさ。
「ジローさん、やるべきだよ、ぜったいやるべきだ。明日が見えない不安はいっぱいあるけど、万一の時のリスクヘッジがされているんだったら、踏み出すまでだよ。死に際にやり残したことを後悔するか、面白い人生だったと納得しながら往くか、この違いはでっかいよ。七十まであと四年しかないって?だからやるべきだよ。」
そろそろ目を覚まさなくっちゃ