店のドアを開き、看板を表に出し、店内の灯をつける。
トイレ、ホール、客席、厨房、冷蔵庫を点検確認し、オーディオのスイッチを入れる。
最初のアルバムはどれにしようか。モニターに映し出されるアルバムをあれこれ検索し…
この場合、ジャズにするかブルースにするか、ロックにするかソウルにするかのジャンルを決める。
次にヴォーカルにするかインストにするかを決めて、アーチストを決め、アルバムが決まる。
一応の手順ではあるが…早い話が自分の好みと今夜の気分で決まってしまう。
音楽が店内に流れだす。
さぁ、開店だ…が、口開けのお客様がお見えになるのは何時になるか。
それまでの暇な時間。あるときは30分、ある時は2時間、ある時は閉店まで…無言で暇な時間が続く。
こういう時間にする事と言えば…
ボトル棚に目が移る。
上段はExcellent
中段はPremium
下段はStandard
つまり、松竹梅って訳。
もちろんお値段は松竹梅の順なんだけど、じゃ、松が一番美味いウィスキーかっていうと、そんな事ないんだよね。
Standard だって美味い酒はなんぼでもあるのよ。
さて、今夜の一杯はどれにするか…。
ボトルの一つに手が伸びて…栓をひねり…グラスに注ぐ。
たいていはロックか5:5の水割り、時にはソーダを注ぐ。
毎夜の日課となった。
と言う訳で、お客様がいらっしゃる迄の時間に、今夜のアルバムと一杯を紹介していこう。
今夜のアルバムと一杯は…今夜の気分はブルーだから...
あっ、お客様のご来店・・・続きは・・・