米インテルなど3社が2012年をめどに導入する方針を決めた直径450mmシリコンウエハーについて、日本の半導体メーカーの対応は二つに割れそうだ。
生産規模が競争力を左右するメモリーが主力の会社は追随を迫られる一方、多品種少量生産の演算用LSIを手掛ける会社が単独で450mm対応工場を建設する可能性は低い。
●生産委託加速
サムスン電子は450mmウェハーを世界シェア首位のNAND型フラッシュメモリーとDRAMの生産にあてるとみられる。
それぞれNAND型、DRAMでサムスンにシェア争いを挑んでいる東芝、エルピーダメモリは対抗上、450mmウエハーの採用を検討せざるを得ない。
一方、ルネサステクノロジなど、演算用LSIに集中した他の日本メーカーは450mm対応工場を単独で持っても採算をとれない公算が大きい。
生産委託を増やし、段階的にファブレスメーカーに移行していく傾向が加速しそう。
●頭悩ませる日本メーカ
ウエハー自体や半導体製造装置を手掛ける日本メーカも、インテルなど優良大口顧客3社の要望に応えねばならないという現実はあるものの、技術面では解決せねばならない課題も多いため、頭を悩ませそう。
シリコンウエハーは、巨大な塊(インゴット)からウエハーを一枚一枚切り分けて製造する。
ウエハーの直径が大きくなれば生産設備を一新する必要がある。成膜装置やエッチング装置は、面積が大きくなった分だけムラなく均一に反応させる装置を開発しなければならない。
装置メーカーによっては、450mmが実用化しても販売量が限られると見る向きも多い。「研究開発費をかけた割に利益が出ない恐れもある」という本音も聞こえてくる。
【記事引用】 「日経産業新聞/2008年5月8日(木)/3面」