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450mmウエハー再注目 台湾TSMCが製造計画、15-16年量産目指す

2011-02-09 | 微細化/大口径化動向



 シリコンウエハーの直径を現在最大の300mmから450mmに大型化する動きが再び注目を集めている。

 半導体受託製造(ファウンドリー)で世界最大手の台湾TSMCが1月下旬、450mmかウエハーを使った半導体製造の具体的な計画を世界で初めて表明したためだ。

 ウエハーの大口径化は生産効率化につながるものの開発費負担が膨らむなどの理由から、装置業界の反対もあり、導入が進まなかったが、状況は変化しつつある。


●寡占化進行への懸念

 TSMCは台湾北部の新竹の工場、Fab12に450mm対応ラインを設置する。2013―14年に稼働させ、15―16年の量産を目指す。

 シリコンウエハーの直径が大きくなれば一度に生産できるチップが増える。半導体業界では回路線幅を細くして容量を増やす微細化と平行してウエハーの大型化を進めてきた。

 03年に業界が示した技術ロードマップでは12年にも量産導入される見通しだった。ただ、450mmウエハー実用化は装置業界の反対が強く、事実上凍結された状態が続いてきた。

 「直径200mmから同300mmに移行した時に開発投資回収に苦しんだ装置メーカーも少なくない。そのトラウマがある」(装置メーカー首脳)。

 試算では、装置業界全体の開発費負担は300mm移行時の10倍近い1000億ドル(約8兆3000億円)以上かかるとも言われ、多くの装置メーカーが導入に難色を示した。

 半導体メーカーもサムスン電子、インテル、TSMCなど巨額投資が可能な企業以外は及び腰だった。そのため、装置業界からは、装置単価があがることで、半導体メーカーの寡占化が進行することへの懸念が強まった。

 装置の買い手圧力が強まることを指摘する声も多かった。


●300mmと同等の費用

 ただ、こうした理由はここにきて、もはや450mmを拒否する理由にならなくなっている。

 経済危機も手伝い、すでに、生産の寡占化は進んでいる。日系メーカーだけ見ても、東芝やルネサスエレクトロニクス、富士通セミコンダクターなどがここ2年で先端のロジック半導体の自社生産からの撤退を表明。

 450mmの導入を待たずして、皮肉にも懸念された状況が到来しつつある。開発費についても、アナリストの試算によれば、場合によっては300mmとほぼ同等の費用で済むとの見方もある。

 「多くてもせいぜい300億ドル程度では。1000億ドルは、反対ありきの試算」(半導体メーカー首脳)との声が優勢になりつつある。

 装置業界の中には、着々と450mm対応を進めてきた企業もある。

 茨城県ひたちなか市。外観検査装置大手の日立ハイテクノロジーズの主力の那珂事業所の新製造棟は1階の機械加工ラインの天井部分を吹き抜けにしている。

 450mmウエハーに対応した製造装置用に大型機械クレーンを設置できる。同社首脳は「いつ使うようになるかわからない」と苦笑いするが、その機能を発揮する日はそう遠くないかもしれない。





【記事引用】 「日刊工業新聞/2011年2月9日(水)/8面」


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