回路部品の技術が高度化している。軽薄短小をテーマにした高密度実装化への対応に加え、新たに太陽光/風力発電、LED、エコカーといった環境、エネルギーをキーワードにした成長分野での新製品開発が活発化してきた。
コンデンサは、新たな成長分野に向けて新製品の市場投入が活発化してきた。小型、大容量を特徴としているアルミ電解コンデンサは、特に小型品と大型品との二極化が進展している。
●二極化が進展
小型品はチップタイプでの品ぞろえが充実。一方の大型品はエコカー、太陽光発電のパワーコンディシヨナ、LED表示器用電源、各種インバータ向けなどの省エネ、環境に絡んだ各種電源向けの高信頼性製品が開発されている。
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは、小型、大容量で、低ESRを特徴としており、コンピュータマザーボードでの採用が定着化。引き続き、高電圧化によって、自動車電装をはじめ、産業分野での市場堀野を拡大する。
積層セラミックコンデンサは小型、大容量、低ESR、低ESL化などを追求する。セラミック粒子の小型化で、一層当たりの厚みを薄くし、積層数を増やすことで大容量化を実現する。
広帯域のデカップリング・過渡応答性能の向上に対しては、低ESR・大容量のコンデンサが有効。この要求に対しては、低ESLコンデンサとしてLW逆転タイプのコンデンサが開発されている。
回路基板内蔵用積層セラミックコンデンサは超薄型化が要求される。最新としては、1005サイズで0.6mm厚コンデンサは0.1μF、0603サイズの0.6mm厚では0.3μFを実現。
タンタルコンデンサは、大容量化の方向性としてタンタル粉末の微粉化技術の進展による高CVタンタル粉末の開発とその使いこなしがされてきた。
現在では150KCV以上の高CVタンタル粉末が使用され、小型、大容量化に貢献している。
●新構造の開発進展
体積効率を高めた新たな構造の開発も進展。導電性高分子タイプを含めて、端子構造を工夫した下面電極タイプ、さらにはリードフレームレスタイプなどでの品ぞろえが活発化している。
抵抗器各社では、これまでのチップ抵抗器の品ぞろえの拡充が活発化している。0402サイズは超小型のため、特に寸法精度の安定化が強く求められている。
実装精度や、はんだ付け性の向上が重要になるためで、各社ではカッティング精度を高めるなど独自技術を施している。
また、機能を重視した新製品の市場投入も活発なものがある。すでに電流検出用途に向けた低抵抗チップ抵抗器はモーター回路や電源回路での採用が活発化し、需要が増加基調にある。
小型で十分な定格電力を確保しつつ、超低抵抗値を実現するために、厚膜、薄膜、さらには金属箔、金属板といったさまざまな抵抗素子が用いられるようになった。
その中で、特に金属板チップ抵抗器の品ぞろえが充実。さまざまな電流検出用途で採用が広がっている。
●超薄型チップの開発活発化
モジュールの小型化、高機能化を推進するために部品内蔵基板の開発、実用化が始まった。
多層プリント配線板の内層に埋め込むチップ部品は超小型チップを用いるが、標準サイズでは厚みがあり、基板全体を薄くできない。そのため、最近では超薄型チップの開発が活発化してきた。
特に、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、抵抗器を対象に超薄型化製品の開発が進んでおり、チップ抵抗器では厚み0.15mmの製品が登場した。
電極も基板内蔵に対応して銅電極を採用し、基板内で銅メッキ接続を可能にしている。インダクタは、高周波回路用から各種回路のノイズ対策、さらには電源回路向けまで、小型、低背化が強く求められている。
【記事引用】 「電波新聞/2011年/7月4日(月)/18面」