水晶デバイスメーカーは、小型、薄型化への対応をさらに強化する。
携帯電話におけるスマートフォンの比率が急速に高まっているほか、タブレットPCの生産台数が増加するなど、搭載される各種高機能モジュールを含め、モバイル機器における小型、薄型、高機能化が加速し、高密度実装化が進展。
また、環境、省エネ関連の新しい分野でも、無線モジュールやカード向けなど、スマートグリッドの普及を視野に入れ、水晶デバイスの需要は小型化シフトに一段と弾みがつく見通し。
●高まる生産比率
携帯電話をはじめ、デジカメ、ビデオカメラ、携帯音楽プレイヤーなど、モバイル機器の台頭で、水晶デバイスの小型パッケージの生産比率が高まっている。
10年度上半期のパッケージサイズ別生産量を見ると、3.2×2.5mmの3225タイプの生産規模が最も大きく、13億9680万個。5×3.2mmの5032タイプからの小型化シフトが進んだ。
3225タイプを品種別に見ると、民生用水晶振動子が全体の44%を占め、次いで産業用水晶振動子の27%、産業用水晶発振器の24%。
さらに、3225タイプを小型化した2.5×2mmサイズの2520タイプは、4億1580万個に達した。
これを品種別に見ると、産業用水晶発振器と産業用水晶振動子が39%、クロック用水晶発振器が16%、民生用水晶振動子が6%と続く。
最も小型パッケージである2×1.6mmサイズの2016タイプは、1億2160万個。産業用水晶発振器の38%、民生用水晶振動子の33%、産業用水晶振動子の27%となっている。
水晶デバイスの小型化は、これまで着実に展開してきた。現在では8×4.5mm、サイズや7×5mmサイズなどのパッケージも量産されているが、端末系での利用ではなく、インフラ系の製品が多い。
●さらなる低背・小型化へ
端末系は小型、薄型、軽量で高機能化の方向で新製品開発が進んでいることから、引き続き低背パッケージや小型パッケージが出現するものとみられる。
現在、水晶振動子や水晶発振器では1.6×1.2mmサイズの1612タイプの量産も一部では始まった。2016タイプの性能をそのまま維持しながら小型化したもの。
さらに水晶振動子では、1.2×1mmサイズの1210タイプも量産が準備されつつある。
音叉型水晶振動子ではカード対応として超薄型化技術が進展しており、3.2×1.5mmサイズでは新たに厚み0.38mmが商品化された。
さらに小型化としては、1.6×0.45mmサイズへと進展している。
【記事引用】 「電波新聞/2011年4月1日(金)/3面」