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―― 部品技術・部品メーカー関連の記事集.

電子部品メーカー、新技術開発を加速 技術要求高度化、高付加価値部品の開発に磨き

2011-07-04 | 電子部品業界



 電子部品メーカーは、成長に向けた新技術開発を加速している。

 業界の技術変化の速度が速まり、技術要求が一段と高度化する中で、日本の電子部品メーカーは、最先端の基盤技術を活用した高付加価値部品の関発に磨きをかける。


産学連携・アライアンスに力

 持続的な成長のための新規事業細事への取り組みも活発で、中長期での新たな需要創出を視野に、産学連携やアライアンスにも力が注がれている。

 分野別では、高速デジタルネットワーク技術の高度化や、環境・省エネルギー関連需要の広がりなどに焦点を合わせたR&Dが加速。

 特に最近は、昨今の電力危機対策に照準を合わせた新技術開発も焦点が当てられている。

 エレクトロニクス技術の進化のスピードが速まり、グローバル化も一層進展する中で、日本の電子部品産業は次のステージを見据えたR&Dにチャレンジする。

 日本の電子部品産業は、わが国の産業界を代表する基幹産業の一つとして国内外出で評価が高い。

 21世紀以後も、グローバル経済の拡大の中で、世界のエレクトロニクス産業の主導役として、ワールドワイドで大きく実績を拡大してきた。

 08年秋のリーマンショックを基点とする世界同時不況は電子部品業界にも深刻な打撃を与えたが、その後の市況回復により、10年以降、電子部品各社は「守りの経営」から「攻めの経営」に戦略を転換。

 次世代の成長分野に照準を合わせた積極的なR&Dが展開されている。


スピード増す技術革新

 電子部品の技術革新は、一段とスピードを増している。

 スマートフォンやタブレット端末をはじめとする高機能モバイル端末の薄型・高性能・高機能化や、薄型テレビ、デジタルカメラなどのデジタル家電へカーエレクトロニクスなどの高機能化が進む中で、電子部品への技術仕様要求は一層厳しさを増している。

 製造装置や工作機械、通信・放送インフラなどの産業機器分野でも、高速デジタル化や大容量化、高密度化が進展し、制御系部品への高度な技術要求が強まっている。

 さらに、社会ニーズを反映し、環境・省エネに関わる新たな市場として、太陽光発電システムや風力発電などの新エネルギー関連、LED照明などの次世代照明、電気自動車(EV)およびEV充電用インフラ、スマートグリッドなどの新市場が本格的に立ち上がりつつある。

 特に、3月11日に発生した東日本大震災に起因する電力不足問題や節電・省エネニーズの高まりは、新たなアプリケーションの実現に向け、電子部品業界へのさらなる技術革新への要求を強めている。

 電子部品業界では、これらの市場変化に照準を合わせ、次世代ニーズを捉えた技術開発を一段と強化しており、微細加工技術や微細回路技術、高周波技術、半導体技術、電源技術、材料技術、ソフトウエア技術、高度なシミュレーション技術といった要素技術の高度化への取り粗みに全力を挙げている。

 部品の付加価値同上のため、部品単品にソフトウエアなどを組み込んだモジュールやユニットなどのシステム提案にも力が注がれる。


シミュレーション技術拡充

 部品の関発期間短縮が求められる中、シミュレーション技術の拡充も重視されている。

 先端技術開発では、中長期の観点から5年、10年、あるいは、それ以上のロングスパンでの長期開発ロードマッブを策定し、素材技術やナノレベルの加工技術、プロセス技術などの基礎的な研究が進められている。

 国内外での産学協同開発や、各種研究機関との連携、民間企業同上のアライアンスも一層活発化している。

 製造技術に関しては、負荷価値が高く効率の良い製造プロセス開発への取り組みが加速し、これらの製造技術や材料技術を含めたブラックボックス化により、容易には真似されないオンリーワン部品の開発が進められている。

 同時に、新興国のボリュームゾーンに照準を合わせた低コスト部品開発への取り組みも重要視され、設計開発機能の海外現地化や、現地での自動機内製なども進展している。

 業界のグローバル化や完成品メーカーのファブレス化、アジア系ODM企業の台頭などが進む中で、グローバルでの社内協業化や組織体制の最適化も強く求められている。

 中央研究機能、事業部の設計開発部門、国内外営業部門などの垣根を越えた社内の連携を重視したグローバル開発体制作りが進んでいる。


技術進化の主導役

 エレクトロニクス技術の適用分野は、一段と広がりをみせている。

 電子化・電動化が進む自動車をはじめ、電力・新エネルギー、ロボット、健康・医療関連など様々な産業分野でエレクトロニクス技術との融合が進んでいる。

 既存の家電分野でも、スマート家電の開発などにより、電子部品技術の活躍の場が一用広がることが見込まれる。日本の電子部品産業は、あらゆる製造業やサービス産業、インフラ産業の技術進化の主導役として、一層重要性が増す。





【記事引用】 「電波新聞/2011年7月4日(月)/1面」


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