犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

「伏日には補身湯」は昔の話

2023-07-17 15:37:08 | 韓国雑学

写真:鍾路区の補身湯通り

 伏日(韓国語でポンナル)というのは、陰陽五行節の夏季の庚の日。

 初伏、中伏、末伏と3回あり、日本の「土用の丑の日」に鰻を食べるように、「暑気払い」として滋養のあるものを食す習慣があります。

 代表的なのが、補身湯(ポシンタン、犬肉スープ)と参鶏湯(サムゲタン、若鳥スープ)。

 今年の三伏は、初伏が7月11日、中伏が7月21日、末伏が8月10日。

 初伏の日、韓国『文化日報』に出た記事を拙訳で紹介します。

「伏日になると犬肉に否定的な話があふれて」… 近くの参鶏湯だけが盛況

■初伏を迎え補身湯通りに行ってみたら

「お客さんが減って…、夕方には来るかな」
「最近、犬肉を食べようという人はいない」
ソウル犬屠畜場は2019年に閉鎖

 初伏(7月11日)を翌日に控えた10日、ソウル鍾路区のある補身湯屋。昼食の時間帯だったのに、店は一つのテーブルを除いて客がなく、閑散としていた。店の主人のキム某氏は「伏日になると犬肉に関する否定的な記事があふれるので、客が毎年減っている」、「夕方には(お客さんが)少しでも来てくれれば」と愚痴をこぼした。道を挟んだもう一つの補身湯屋も雰囲気は似たようなもの。


 一方、同じ路地にある参鶏湯屋は空席が見つけるのが難しいほど賑わっていた。

 補身湯屋で食事を終えて出てきたシン某(56)さんは「最近は、身近に犬肉を食べようという人がほとんどいない」、「昔よく食べたものだから、たまに食べに来る」と話した。

 犬の食用をめぐる議論が絶えず、夏季「特需」で繁盛した肉犬産業が斜陽に入っている。政界では、犬の食用を終息させることを骨子とした各種の法案が相次いで提出され、動物保護権を主張する市民団体も犬の食用に反対の声を高めている。反面、肉犬産業従事者たちは犬の飼育、流通、食用は生存権がかかった問題だとし、法で禁止してはならないという立場だ。政府は犬の食用問題を解決するといって別途の機構を設けたが、法・制度の整備が一日延ばしにされ、社会的な対立が大きくなるばかりだ。

 11日に農林畜産食品部発表したところによると、昨年、牧場で食用目的で飼育される犬は52万匹と推定されている。犬肉を扱う食堂は全国に1666店。ソウルでは229の店で犬肉を販売している。しかし、2019年、ソウル東大門区慶東市場、中区中央市場内の最後の犬屠殺所が閉鎖し、現在ソウル市内には屠殺場がない。

 世界的にも犬の食用禁止が大勢だ。韓国を含む世界動物保健機構(OIE)加入国182か所のうち、犬の食用を法律で認める国はない。政界でも犬の食用禁止法案がたくさん出されている。流通業界の関係者は「政府が2021年12月「犬の食用問題を議論するための委員会」を公式発足させ、20回を超える会議を開いたが、まだ明確な結論を出せず、混乱だけ大きくなっている」と語った。

 現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は愛犬家として知られ、夫人の金建希氏も、犬の食用禁止に向けた活動を活発に行っています。

 韓国の若者たちは、ほとんどが犬の食用に反対。

 犬の食用が法律で禁止される日も近いと思われます。

 とはいっても、「犬食」は韓国の伝統的な食文化。

 法で禁じられれば補身湯屋という看板はなくなるでしょうが、かつて「性売買特別法」によって売買春が「飾り窓」から別の形態をとって続いたように、流通や衛生面の管理がきちんと行われないまま、陰で犬を提供する食堂が生まれるだけのような気がします。

 むしろ、犬肉を食肉として認めていない「畜産物衛生管理法」のほうを改正し、犬肉を「畜産物」として位置づけて、きちんと管理するほうが、国民のためになると思いますが、ペットブームが到来している韓国では、「票」につながらないんでしょう。

 20年以上前、クーラーのない店で、扇風機を回しながら犬鍋をつついた頃が、なつかしく思い出されます。

犬鍋の話(1)
犬鍋の話(2)
犬鍋の話(3)
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犬鍋の話(5)
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