犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国は「伴侶昆虫」時代?

2023-07-25 23:25:09 | 韓国雑学

写真:ノコギリクワガタ(韓国Wikipedia)

 韓国のネットで、カブトムシの飼育に関する記事があったので、拙訳で紹介します。

 韓国でペットのことを、昔は「愛玩動物」と呼んでいましたが、今は「伴侶動物」といいます。ペットの犬は「伴侶犬」、猫は「伴侶猫」。最近は、ペットの昆虫(愛玩昆虫)も「伴侶昆虫」になる時代だ、という記事です。

ペットを韓国語で伴侶動物というらしい

江原道民日報2022年2月11日付

小さな虫が与えてくれる大きな幸せ… いまや「伴侶昆虫」時代

 今、家庭で伴侶犬、伴侶猫と家族のように親しく過ごすのは珍しいことではない。趣味を越えて生活の慰安となり、同伴者という認識が大きい。だが、費用、健康、個人の認識の違いによる負担も無視できない。こうした面で注目されている家庭での伴侶文化が愛玩昆虫だ。たいした負担なく、子供に生命の神秘と体験の機会を同時に与えることができ、伴侶犬に比べて空間的な制約も大きくないという長所がある。横城郡にあるソンサ昆虫農場は、愛玩昆虫の天国だ。20年近く愛玩用昆虫の飼育にどっぷりとはまった権プファン・ソンサ昆虫農場代表に、愛玩昆虫の飼育法と留意点を聞いてみた。

生命体の謎と成長を「一目で」

 愛玩昆虫の飼育は2000年代に入ってブームになった。同時に愛玩昆虫が商業化し始めた。最近愛玩昆虫産業の趨勢は次第に食用分野に移るとともに、昆虫産業の売上の半分を食用昆虫が占めるようになり、学習・愛玩用昆虫は10%程度へ大幅に減少した。しかし、依然として親の立場からみて少ない費用で子供たちに生命の神秘と情緒の安定を与えることができる家庭教育として、愛玩昆虫の飼育は人気がある。

 実際、親子がいっしょに昆虫の幼虫から蛹、成虫に変化し卵を産んで繁殖する過程を、興味深く見守り、家族の共通の話のタネにできるという点だけでも推められる。家庭で飼う代表的な愛玩昆虫は、カブトムシ(韓国語で将帥コガネ)とクワガタ(韓国語で鹿虫)だ。理由は、飼い方がとても簡単で興味深い自然体験学習ができるからだ。権プファン代表は「愛玩昆虫の飼育は購入先できちんと説明を聞き、昆虫のライフサイクルについて事前知識をもって育てることが望ましい」、「飼育用具より真心をこめて飼うのが最も重要」とアドバイスする。

カブトムシvs.クワガタ

 横城郡にあるソンサ昆虫農場は、50坪ほどのハウス2棟で愛玩用昆虫を飼っている。ハウスにはブナのおがくずを発酵させた幼虫用容器と透明なプラスチック飼育箱がすきまなく並んでいる。室内は、昆虫が成長しやすい28度を維持しており、真冬もぽかぽかしている。

 ほとんどのカブトムシ、ハバヒロクワガタ、王クワガタ、ノコギリクワガタの幼虫、蛹、成虫を分けて保管し、虫の成長過程が一目で見られる生きた教育の場といえる。ここで飼育する昆虫は、すべてインターネットモール、昆虫の卸売業者に販売される。

 ソンサ昆虫農場で飼育するクワガタとカブトムシは、韓国で最も生息数の多い昆虫の一つである甲虫目に属する昆虫だ。身近に見られる昆虫なので、親しみがある。家庭で飼うためにまず知っておくべきことは、この二つの虫の寿命である。

 クワガタはふつう、幼虫から最長3年生きるが、カブトムシは蛹から成虫になったあと、3か月ほどで生を終える。これをみるとカブトムシ(ジャンスプンデギ。将帥(長寿と同音異義語)コガネ)の「長寿」は長く生きるという意味よりは、短い一生の間、活動力が旺盛で、大きな角と強い力を象徴していると言える。寿命が短いため、メスが生む卵はクワガタより多く、30~100個ほどである。一方、クワガタはカブトムシに比べあまり活動的でなく、幼虫も多くないが、長期間いっしょに過ごすことができる。

 愛玩昆虫飼育の初心者はよく次のような質問をする。「クワガタとカブトムシをいっしょに飼っても大丈夫ですか?」 これについて権代表は「活動的で力も強いカブトムシが、おとなしいクワガタをいじめることもあり、うまく育たない可能性もある。オスはメスをめぐって喧嘩し、死んでしまうこともある」と、必ず別々に飼うほうがよいとアドバイスする。

 クワガタが幼虫から成虫になる期間は、卵(15~30日)、幼虫(約8~10ヶ月)、蛹化(約3週)、蛹(約15~30日)のプロセスが必要。温度など飼育条件を適切にすれば、卵から成虫になるのに最大12か月ほどの時間がかかるとのこと。

 カブトムシは夜行性で、真夜中に活動し、夜明けになると眠る。格好がいいので、家で飼うカブトムシを日中に触わっていると、かなりのストレスになるそうだ。幼虫から蛹に変わるまで8か月ほどかかるが、成虫になって産卵し、寿命を終えるまで3か月しかないため、飼ってみると物足りない気がするかもしれない。しかし、オスとメスのペアから生まれる卵をおがくずを入れた容器に入れ、涼しい所に置いておき、3〜4か月ほど土の交換だけすれば、幼虫の成長を通じて生命誕生の神秘を目の当たりにすることができる。

 ソンサ昆虫農場は、学校での体験授業用や、インターネットモール、大型マートなどに、愛玩昆虫の幼虫または成虫を、セットで納品している。飼育セットは、オス・メスのペアとプラスチック製の飼育容器、おがくず、登り木、餌用ゼリー、餌皿が含まれる。カブトムシは3万6000ウォン、クワガタは3万8000ウォンだ。他の業者も大差はないが、昆虫の生育状態や種類、飼育セットの内訳によって価格差がある。

 記事によれば、韓国で2000年代に「愛玩昆虫」ブームがあったということですが、私が韓国に住んでいた2007年まで、そのような兆しは感じられませんでした。

 家の近くにペットショップがあり、犬・猫以外の小動物、金魚、カメなどを売っていました。私の家ではカメを飼っていて、ときどき店にエサを買いに行きましたが、そこでカブトムシやクワガタを見た記憶はありません。

 そういうものが売られるようになったのは、もっと最近のことではないでしょうか。

 そもそも韓国人は概して昆虫には無関心で、セミの種類も知らないし、「ジャンスプンデギ(カブトムシ)」と「サスムポッレ(クワガタ)」の区別を知らない人も多かった。

 カブトムシが身近というのも疑問。江原道の田舎ならともかく、ソウルの都市化は東京以上で、チョウやトンボも少なかった。

 これを書いた記者も、カブトムシのことをどのぐらい知っているのか。

 カブトムシの韓国語名はジャンスプンデギ。記事を読むと、記者はジャンスプンデギの「ジャンス」を「長寿」という漢字語であると勘違いしていたことがわかります。

 ジャンスは漢字で「将帥」。将軍という意味です。これは昆虫の名前にしばしば使われ、トンボのオニヤンマは「ジャンスチャムジャリ(将帥トンボ)」、オオカミキリムシは「ジャンスハヌルソ(将帥カミキリムシ)」。長生きするのではなく、大きくて立派な種類につけられます。



 記事は、どうもソンサ昆虫農場の「広告記事」の印象があります。

 韓国で「愛玩昆虫」ブームが起きているわけじゃなく、ソンサ昆虫農場で飼育・販売しているカブトムシ、クワガタの売り上げを伸ばすのが目的なんじゃないかと。

 それにしても、カブトムシ(クワガタ)のペアと飼育用具のセットで、日本円にして約4000円というのは、適正な価格なんでしょうか。希少種ならともかく、当たり前の種だったら、1匹300円ぐらいだと思いますが。


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