文字には二種類あって,一つは漢字のような表意文字,もう一つは表音文字です。これはそもそも難しさの質が違うので,いっしょくたに論じるのはあまり意味がない。
ここではいったん表音文字にしぼって考えてみます。
表音文字もまた二つに分けることができ,一つは音素文字,もう一つは音節文字。
日本語のひらがなは,おおざっぱにいえば,1文字が1音節を表す音節文字です。これに対し,英語は,1文字が1音素を表す音素文字です。細かいことをいえば,「きょ」は2文字で1音節,「sh」は2文字で1音素,という例外もありますが。
これに対して,ハングルは文字単位で見れば音節文字ですが,文字をさらに音素に分析することができるので,音節兼音素文字といえそうです。
ではタイ文字はどうか。
タイ文字は子音を表す部分と,母音を表す部分の組み合わせによってできています。しかし,子音を表す部分は,はっきり「文字」といえそうですが,母音のほうはあいまい。文字と呼べそうなものもあり,付随的な記号のようなものもある(タイ文字の一覧はこちら→リンク)。
学者によっては,「子音字」と「母音記号」のように呼び分ける人もいます。
そして,子音字と母音記号が組み合わせされて,一つの音節文字を構成しているようにみえるものもある一方で,複数の文字が組み合わさって,1音節をつくっているようみえるものもある。
そもそもどこからどこまでが1文字なのかよくわからない。
韓国語とタイ語の音節は,ともに「頭子音+母音+末子音」なので,似ています。
ハングルは,子音が左または上,母音が右または下または右と下,末子音が下という規則でできあがっています。
一方,タイ語は最初の「子音+母音」の組み合わせ方が多様。
母音が子音の右につくこともあれば,左につくこともある。上につくこともあれば,下につくこともある。さらには左と上についたり,上と右についたり,左右からはさむ場合,左右上の3方向から囲む場合さえある。なんでもありの様相を呈しています。
この複雑さが,タイ文字の難しさの理由の一つになっているのは間違いのないところ。
次に,音と文字の対応ですが,ハングルの場合,原則として子音文字も母音文字も一対一対応です。
一方,タイ文字はどうか。
タイ語の単子音は21種類(二重子音を除外)。しかし,子音文字は42字。ちょうど2倍です。
一つの子音に対して,2種類の文字があるのかというとそうではない。1子音1文字の場合もあれば,1子音2文字,3文字…,6文字なんていうのもある。どの子音字を使うかは単語ごとに決まっているので,単語を覚えるときはどの子音字を使うのかを正しく覚えなければならないので大変です。
ちょうど,英語で/k/という音を表すのに,kを使ったり,cを使ったりするのと似ています。けれども,この反対のケース,すなわちcが/k/を表したり/s/を表したりするということはありません。
音対文字が,ハングルでは1対1,タイ文字では1対多,英語では多対多ということになります。
この点も,タイ文字がハングルに比べて難しい理由の一つです。
ここではいったん表音文字にしぼって考えてみます。
表音文字もまた二つに分けることができ,一つは音素文字,もう一つは音節文字。
日本語のひらがなは,おおざっぱにいえば,1文字が1音節を表す音節文字です。これに対し,英語は,1文字が1音素を表す音素文字です。細かいことをいえば,「きょ」は2文字で1音節,「sh」は2文字で1音素,という例外もありますが。
これに対して,ハングルは文字単位で見れば音節文字ですが,文字をさらに音素に分析することができるので,音節兼音素文字といえそうです。
ではタイ文字はどうか。
タイ文字は子音を表す部分と,母音を表す部分の組み合わせによってできています。しかし,子音を表す部分は,はっきり「文字」といえそうですが,母音のほうはあいまい。文字と呼べそうなものもあり,付随的な記号のようなものもある(タイ文字の一覧はこちら→リンク)。
学者によっては,「子音字」と「母音記号」のように呼び分ける人もいます。
そして,子音字と母音記号が組み合わせされて,一つの音節文字を構成しているようにみえるものもある一方で,複数の文字が組み合わさって,1音節をつくっているようみえるものもある。
そもそもどこからどこまでが1文字なのかよくわからない。
韓国語とタイ語の音節は,ともに「頭子音+母音+末子音」なので,似ています。
ハングルは,子音が左または上,母音が右または下または右と下,末子音が下という規則でできあがっています。
一方,タイ語は最初の「子音+母音」の組み合わせ方が多様。
母音が子音の右につくこともあれば,左につくこともある。上につくこともあれば,下につくこともある。さらには左と上についたり,上と右についたり,左右からはさむ場合,左右上の3方向から囲む場合さえある。なんでもありの様相を呈しています。
この複雑さが,タイ文字の難しさの理由の一つになっているのは間違いのないところ。
次に,音と文字の対応ですが,ハングルの場合,原則として子音文字も母音文字も一対一対応です。
一方,タイ文字はどうか。
タイ語の単子音は21種類(二重子音を除外)。しかし,子音文字は42字。ちょうど2倍です。
一つの子音に対して,2種類の文字があるのかというとそうではない。1子音1文字の場合もあれば,1子音2文字,3文字…,6文字なんていうのもある。どの子音字を使うかは単語ごとに決まっているので,単語を覚えるときはどの子音字を使うのかを正しく覚えなければならないので大変です。
ちょうど,英語で/k/という音を表すのに,kを使ったり,cを使ったりするのと似ています。けれども,この反対のケース,すなわちcが/k/を表したり/s/を表したりするということはありません。
音対文字が,ハングルでは1対1,タイ文字では1対多,英語では多対多ということになります。
この点も,タイ文字がハングルに比べて難しい理由の一つです。
ただハングルも厳密には一対一ではないようです。ㅇは頭子音の位置ではゼロ、音節末の位置ではngなので一対二。ㄷㅅㅆㅈㅊㅌも音節末ではすべてtかsなので五対二。二重パッチムも発音したりしなかったり。この複雑さは韓国語の音韻交替が激しさに起因していますね。現れる位置によって複雑に交替する韓国語の音韻をいかに体系的に表記するかで、開化期の学者たちはだいぶ苦労したようです。
二重パッチムは,活用語の語幹を一定に表記する見事な工夫ですね。