尖閣諸島問題に端を発した反日の動きがここに来て再び盛り上がり,各地で反日デモが起こっているようです。成都市ではイトーヨーカドーが臨時休業に追い込まれたそうな。
この反日デモ,市民の自然発生的な愛国心の吐露なのか。それとも政府主導の官製デモなのか…。
朝日新聞には,中国の若者にカリスマ的な影響力をもつ作家のブログについての記事がありました。(→リンク)
反日デモは政府に踊らされたマスゲーム――。尖閣諸島沖の衝突事件で日中の緊張が高まった先月、中国の若手人気作家、韓寒さん(28)が自身のブログで発表した文章で、民族主義的な反日の動きを冷ややかに切り捨てた。当局によってすぐに削除されたが賛否両論を呼び、多様化する市民の声を映しだした。
「内政の問題ではデモのできない民族が、外国に抗議するデモをしても意味はない。単なるマスゲームだ」。文章を発表したのは、中国各地で反日デモの呼びかけが広がった9月17日。ネットなどで燃え上がった反日世論とは一線を画す立場を鮮明にした。
主張を貫くのは、中国国内に多くの矛盾を抱える中、政府が外国と対立するたびに庶民が「愛国」を叫ぶことへの疑問と、政治には踊らされないという冷めた視線だ。
政府の土地開発で立ち退きを迫られて抗議の自殺をした庶民や、当局に拘束された作家の名前を挙げ、「もし唐福珍や謝朝平のためのデモをすることができるなら、釣魚島や(妨害された北京)五輪聖火リレーのために自分もデモに参加しよう」とした。
土地の私有が認められていない中国の国情を踏まえ、こう問いかけてもいる。「土地を持たないものが他人のために土地を争い、尊厳の与えられていないものが他人の尊厳を守ろうとする。そんな安っぽい人間でいいのか」
文章はその日のうちに削除されたが、ネット上で広がり議論を呼んだ。「失望した」「かっこつけの政府批判」との批判と同じくらい、「よくぞ言った」「自分の気持ちをこれほど明快に表現した文章はない」といった支持が集まったという。
韓さんを知る上海の編集者、秦俟全氏は「文章は政府や極端に民族主義的なグループと一線を画す、少なくない中国の声を反映した。中国社会が変化のただ中にあり、民間にも多様な声があることの表れだ」と話している。
韓さんは若者からカリスマ的な支持を集め、ブログの閲覧数は4億回を超える。米タイム誌で今年、「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。(林望)
ウィキペディアによれば,この韓寒という人物,82年上海生まれの作家で,高校一年生のときに書いたデビュー作が200万部以上のベストセラーに。その後,プロのラリーレーサーに転身,ブログを通じた社会批判が注目され,上の記事にあるようにブログ閲覧数は4億回!
上に引用されているブログ記事は,一か月前に書かれたもので,中国人船長が逮捕された直後の反日デモを指していると思われます。
反日デモを「マスゲーム」になぞらえるのは,デモが官製であるかのニュアンスがありますが,主張のポイントは,国内問題に対するデモが禁止されている中で,外国への抗議デモのみ容認され,それがガス抜きになっていることへの批判のようです。
ただ,記事が「当局によってすぐに削除された」という部分が恐ろしいですね。中国は言論の自由のない全体主義国家であることをまざまざと見せつけます。
この反日デモ,市民の自然発生的な愛国心の吐露なのか。それとも政府主導の官製デモなのか…。
朝日新聞には,中国の若者にカリスマ的な影響力をもつ作家のブログについての記事がありました。(→リンク)
反日デモは政府に踊らされたマスゲーム――。尖閣諸島沖の衝突事件で日中の緊張が高まった先月、中国の若手人気作家、韓寒さん(28)が自身のブログで発表した文章で、民族主義的な反日の動きを冷ややかに切り捨てた。当局によってすぐに削除されたが賛否両論を呼び、多様化する市民の声を映しだした。
「内政の問題ではデモのできない民族が、外国に抗議するデモをしても意味はない。単なるマスゲームだ」。文章を発表したのは、中国各地で反日デモの呼びかけが広がった9月17日。ネットなどで燃え上がった反日世論とは一線を画す立場を鮮明にした。
主張を貫くのは、中国国内に多くの矛盾を抱える中、政府が外国と対立するたびに庶民が「愛国」を叫ぶことへの疑問と、政治には踊らされないという冷めた視線だ。
政府の土地開発で立ち退きを迫られて抗議の自殺をした庶民や、当局に拘束された作家の名前を挙げ、「もし唐福珍や謝朝平のためのデモをすることができるなら、釣魚島や(妨害された北京)五輪聖火リレーのために自分もデモに参加しよう」とした。
土地の私有が認められていない中国の国情を踏まえ、こう問いかけてもいる。「土地を持たないものが他人のために土地を争い、尊厳の与えられていないものが他人の尊厳を守ろうとする。そんな安っぽい人間でいいのか」
文章はその日のうちに削除されたが、ネット上で広がり議論を呼んだ。「失望した」「かっこつけの政府批判」との批判と同じくらい、「よくぞ言った」「自分の気持ちをこれほど明快に表現した文章はない」といった支持が集まったという。
韓さんを知る上海の編集者、秦俟全氏は「文章は政府や極端に民族主義的なグループと一線を画す、少なくない中国の声を反映した。中国社会が変化のただ中にあり、民間にも多様な声があることの表れだ」と話している。
韓さんは若者からカリスマ的な支持を集め、ブログの閲覧数は4億回を超える。米タイム誌で今年、「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。(林望)
ウィキペディアによれば,この韓寒という人物,82年上海生まれの作家で,高校一年生のときに書いたデビュー作が200万部以上のベストセラーに。その後,プロのラリーレーサーに転身,ブログを通じた社会批判が注目され,上の記事にあるようにブログ閲覧数は4億回!
上に引用されているブログ記事は,一か月前に書かれたもので,中国人船長が逮捕された直後の反日デモを指していると思われます。
反日デモを「マスゲーム」になぞらえるのは,デモが官製であるかのニュアンスがありますが,主張のポイントは,国内問題に対するデモが禁止されている中で,外国への抗議デモのみ容認され,それがガス抜きになっていることへの批判のようです。
ただ,記事が「当局によってすぐに削除された」という部分が恐ろしいですね。中国は言論の自由のない全体主義国家であることをまざまざと見せつけます。