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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

朴裕河教授の新著

2018-08-03 01:35:24 | 慰安婦問題

 朝日新聞に、『帝国の慰安婦』の朴裕河教授が新しく本を出したという記事がありました(リンク)。

 調べてみると、ハンギョレ新聞の6月の記事のほうが詳しいので、拙訳で紹介します(リンク、韓国語)。

6月12日付 ハンギョレ新聞

『帝国の慰安婦』の朴裕河教授、新著を2冊刊行

『帝国の慰安婦』で民事・刑事訴訟に巻き込まれた朴裕河・世宗大学教授(日本文学)が提訴から4年を迎え、二冊の本を同時に刊行した。

 『帝国の慰安婦』を出版したプリワイパリ社から出た『帝国の慰安婦、知識人を語る』は朴教授が、自身に浴びせられた批判に反論した本である。また、『帝国の慰安婦、法廷での1460日』は、最近までの法廷闘争をまとめ、訴訟自体の不当性を主張している。

 去る2013年、『帝国の慰安婦』の初版で朴教授は、日本軍の慰安婦被害者たちは「売春の枠組みの中にある女性(管理売春)」で、「日本軍とは同志の関係であり、植民地人として(戦争の)協力者」だったとし、「日本軍の強制連行を根拠に法的責任を問うのは難しい」という主張を展開し、大きな波紋と激しい議論を引き起こした。日本軍慰安婦という蛮行の原因を、帝国主義だけでなく、家父長制や貧困にも見出そうとする朴教授の見解は、困惑的で破格的と評価され、訴訟に巻き込まれ、熱い論争を呼び起こした。

 翌年、慰安婦被害者らは朴教授と出版社の代表チョン某氏を虚偽事実の流布による名誉毀損で告訴し、出版・広告禁止の仮処分を求める訴訟を起こした。仮処分申請は2015年2月、一部が認められ、34か所を削除した第2版が刊行された。また、民事訴訟1審は、被告に原告側へ総額9000万ウォンを賠償するよう判決した。刑事訴訟は1審で無罪、2審で罰金刑が出て最高裁で係争中である。

 朴教授は『帝国の慰安婦、法廷での1460日』で「この裁判の最大の皮肉は、検事も弁護士も、すでに出されていた報告書の見解を「代弁」していたという点」であるとし、「それらの論文や報告書を作成した者たちは法廷にはおらず、完璧な代理戦争」たったと主張した。彼女は「『帝国の慰安婦』は歴史書というよりも、「歴史との向き合い方」についての本」であるという従来の主張を繰り返している。「私の目的は、韓国/日本/政府/民間/(慰安婦問題)否定者たちが対話不能の対立状態を乗り越えるための接点を作ること」であり、「もっぱらそのためだけに『帝国の慰安婦』を書いた」という。朴教授は、民事裁判と刑事訴訟1、2審で法廷に提出した準備書面答弁書と最終陳述、公判記なども「帝国の慰安婦、法廷で1460日」に収録した。

 出版社側も報道資料を通じて「多くの人々が(朴教授の)本を読みもしないまませずに、あるいは偏向的に朴裕河教授を非難してきた」とし、これは「「他の声」に対する暴力的抑圧」であると主張した。出版社側はまた、「この本(帝国の慰安婦、知識人を語る)は、慰安婦問題に対する「従来の見方」と「新しい見方」を提示した」、「もはやこの本を読まずして「帝国の慰安婦」訴訟は語れないだろう」と述べた。

 朴裕河教授は「帝国の慰安婦、知識人を語る」で「『帝国の慰安婦』の告訴・告発事件は、学術の場で行われるべき議論を法廷に持ち込んだ事件であった」と規定した。彼女は「私に批判的だった韓・日の「知識人」たちは、裁判期間中に、私を公の議論の場に呼ばなかっただけでなく、裁判に関しても、大衆による魔女狩り的な非難に関しても傍観した」とし、「この本は、学界が作ってくれなかったので、私が自ら作った「公の議論の場」の初めての試み」と述べた。本書には、2014年から2017年に国内外の知識人たちが行った、朴教授の主張を法廷ではなく学問の領域で取り上げるべきだという趣旨の声明4件が掲載されている。


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