久しぶりに、夢を見た。
荒野を眺め渡す丘に、私と彼女と、彼女のお母さんがいた。
何の疑いもなく、マントヒヒを探す気持ちになっている。
茶色の草原に、同色のマントを背負ったサルを見つけるのは困難なはず。
だけれど、サル好きな私ならすぐ発見し、同行者に自慢できる!
待つことしばし。ほとんど編集したかのように、草陰を移動する群れを発見。
あそこだ!と叫んで振り返ったら、なんと。
彼女と母は、まるでペットの犬と戯れるように、私のすぐ後ろでマントヒヒを手なずけている。
ああ・・・で、朝4時に目が覚めた。
朝8時30分、本物の彼女から自宅に電話が入った。
ナンバーディスプレイに現れた発信番号を見て、ああ、ふさおまき(めす)だと嬉しくなる。
受話器をあげると、
「今、成田。税関、いやバッケージクレームの前」
名詞の羅列。フランスに行っている間に日本語を忘れたわけではない。
だいたいいつもそうだ。用件のみ。事実の確認連絡。
私の気分は、ほとんど高倉 健演じる無骨な男からの電話を受ける、
待つことになれた倍賞智恵子にしかできない昭和の女。
だから私は言う。
「気をつけて帰ってきて」
やはり映画っていいモンですね。
何の話をしたいんだか。
初夏とは思えぬ冷たい雨に、せっかく早起きしても走りに行けず、
読書と洗濯と朝ご飯にいそしんでいる間の、頭の中の夢時間でした。
6月1日はふさおまき(めす)母娘一行が、パリから成田への飛行機に乗る日です。
ほぼ毎日作っていた一人飯も最後、になるはず?
え、今年最後?今月最後?今週最後?
しかし、今日はどうしても麻婆茄子が食べたくて、帰りにスーパーへ。
うちには豆板醤が無いので、丸美屋かクックドゥーを買おうかと棚をみると、
レトルトはみんな2~3人前。といって豆板醤を一瓶買っても余るばかり。
それで、こんな色の薄いまーぼになりました。
信州タケヤみそに京都黒七味をたっぷりきかせて、北海道馬鈴薯デンプンでまとめる。
それでも、スープをたっぷりすって、とろっと味噌餡が絡んだ茄子はものすごく食欲を招きます。
チャーハンにスープを添えて、皿をなめるようにして完食しました。
スープに万能ネギをこれでもかと放り込めるのも一人飯の微笑ましいところですね。
午前中の会社で 携帯がなった。
名前の表示は出ず、見慣れない市外局番の番号表示。
岩手県岩泉町のI先生からの電話だった。
固定電話に出ていたので、先生からの電話を知ったのは、あとで携帯留守電を聞いたからのこと。
「26.5センチのスパイクが届きました。ありがとうございます。
ちょうど、足に合いそうな男子生徒がいます。
試合は6月に始まります。」
どきどきした。
感謝された。
大したことか大したことでないかという問題でもない。
ただ、陸上競技をやりたい青年たちがいて、スパイクがない。
だけど、種目別にはき分けたくなっている私は、いつの間にか5足もスパイクを持っている。
一番最初に買ったスパイクはオールラウンド用。2年目までは練習にも試合にも使っていたが、
前述のように種目別欲求に流れ始め、土グラウンド練習用にしようとしていた。
しかし、結局2年間使わないままでいる。
そんな寝ていたスパイクを、K氏の縁結び発言で、
昨日宅急便で送り出したのだった。
30分ほどして一息ついたところで、
思い切って岩泉の中学へ電話をかけた。
先生は、私が名前を告げただけで誰かをわかってくれた。
また、ありがとうと言ってくれた。
また、うれしくなった。
他にも出来ることがあればいってくださいとお返事した。
正直な気持ちだった。
被災地の手を差し伸べたいかたは何万といるなかで、やはり声を聞いた人への思いは
大きな力となる。
ただ、それ以上は話せなかった。
その中学は、きっと大きな被害があったのだろう。
スパイクの送り先は、○○中学内、△△中学だった。
校舎を借りているということだろう。
机は足りているのか、教科書はあるのか、みんな元気か。
何もわからない中で、やはり頑張れとはいえない。
たとえ無責任な性格の私でも、
その言葉が無理強いをする予感がするのだ。
それではまた、何かあれば。
お元気で。
それだけ口にして、携帯のコールを切った。