日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

大晦日の朝 鴨川は白かった

2021-12-31 09:45:00 | 旅行記
昨晩は美味しい北京料理で鱈腹、夜は香取慎吾くんの五十六ロンドン軍縮→方向転換交渉のテレビドラマに腹落ちせぬ失意を見て、熟睡の今朝は6時45分の起床です。




朝焼けの光の中に立つ影は、北の低い雲を背にした彼女。2年ぶりの、大晦日鴨川年忘れランニングに出発!




ご来光に禊ぎの思いか、一歩一歩を丁寧に踏み締める彼女の走りはいつも通りの笑顔満載です。




三条大橋から北大路まで4キロほど行くと、薄い雪片が吹きおろす風に丸い円を描くように踊ります。冷たいけれど愉快な心地になり、顔を雪にぶつけるようにして橋を渡り、左岸を折り返します。




暫く下って、加茂川と高野川の合流点にかかる飛石を渡るのもお約束。
まだなんとか一石一歩で走り抜ける事が出来て自己満足していました。






都合1時間4分、三条大橋に戻り10キロほどの年忘れランは終了です。
最後までペースも笑顔も変わらない彼女と、ラスト1キロを見知らぬ同年代ランナーと競いあって、やや息上がる私のツーショットでホテルへ戻り、予約したモーニングジャストになだれ込みました。











松尾さんとヴォーリスさん

2021-12-31 00:43:00 | 旅行記
早起きです、旅先としては。
6時40分、空もようやく白み始めた頃、しばらく寝床でウダウダ微睡み続ける事ができるのも休日の特典です。




タルトタタンのホットサンドセット、という、朝の皿に生クリームが載っている少し毛色の変わったモーニングを頂き、コロナ禍でロビーからも取り除いたという新聞を買いに近所のセブンイレブンへそのままの格好で出かけると、それなりの寒さです。

耐寒第3レベルの装いで今日の京都歩きは始まります。
四条河原町からマルーンカラーの阪急電車で桂乗り換え松尾大社へ。






松尾さん、と愛称もついた京都最古の神社は8世紀初頭にはこの地に社殿が造営されたと由緒書きにあります。
霊泉•亀の井が湧く酒造の神様でもあり、各地様々の奉納酒が並びます。






新年を迎える準備を静かに眺められるのも、年末旅行のお楽しみです。




神社ではこれまで見たことのない御神像は、男神と女神が対をなして、しみじみ平安の世の信仰に思いを巡らせたりいたします。




鯨が潮を吹いたような雲がのび上がる御神体の山は、この何年間か少しずつ歩いている、京都一周トレイルの西山ルートの、夏に歩き残した後半戦です。






落ち葉をカサカサ踏み締め、歩き出しからそれなりの傾斜に息が上がりながら、250メートルほどの松尾山が第一目標地です。






愛宕山から比叡山へと、市内の北から東を見渡す景観ポイントで昼ごはんは、朝買ってきた進々堂のパンです。




ハムや野菜の具をしっかり受け止めてくれるパンは美味しい、でも止まると寒い冬の山、すぐに歩き始めて嵐山口に降りて今日の山歩きは6キロくらいで終わりです。




本日後半のお楽しみは、予約してきたヴォーリス建築のゆかしい建物が麗しい、北京料理の東華菜館です。




ガチャンと鉄の扉が開く、操縦士付きのエレベーターはこれだけだアトラクションになる日本最古のエレベーターだそう。

10品のコース料理は、旨味の凝縮を目指した内陸北京の地の味です。東京の近頃ではお目にかかったことのない一皿一皿に、ハイスピードで端を伸ばし続ける私たちでした。


伊勢海老びっくりの前菜盛り合わせ

蟹入りフカヒレスープ

海老団子と湯葉巻き

海鮮の強火炒め

大エビの唐辛子炒め

豚バラ肉の醤油煮込み

鶏肉と豚肉の中華パン包み

水餃子

メニューのデザートは餡入り揚げ餅だったのですが、リクエストしてサツマイモの飴煮、大学芋に変えて頂きました。中はホクホク、外はカリッ。作り立てならではの、口が大喜びするお芋スイーツです。

10品目の杏仁豆腐は、うっとりした気分のなかでレンズを向けることすら忘れておりました。

ご馳走様でした。
食べ過ぎの胃を休めるために、鴨川の夜風を浴びながら、遠回りのお散歩をして宿へ戻ります。














おすそ分けのお料理

2021-12-30 03:42:00 | 旅行記
年末の京都旅行は、河原町三条に近い宿に荷物を置いてから、地下鉄で一本の醍醐寺へ参りました。








何年か前に上醍醐に参詣して下山したら、日も傾いて閉門になってしまった下の社を訪ねます。




桐と菊の御門が並ぶ勅使門は見るだけで寺格を知ろうというもの。






上段中段の間から、能舞台になる下の間と広々と枯山水の流れる庭園を見渡す、力あるもの逹が栄華を誇ったろう三宝院を先ずはお参りします。
長谷川等伯一派などが描いた襖絵を座敷に撮影禁止ではありますが、入って間近に肉薄出来たのが最大のお楽しみでした。






昼は境内の奥にあるお休み処でにしん蕎麦を頂き、京都では最も古い木造建築という五重の塔では写経奉納の読経を聴きながら伽藍と霊宝を巡ったのでした。

すっかり冷えた冷えたと呟きながら、宿に戻ってコーヒーなども頂き小休憩。
そして、体の中を温め清める、お楽しみの懐石料理を味わうために、四条烏丸へ下り仏光寺通から小路を入ります。




年末に伺うのは2年ぶりとなった、和ごころ泉さんです。
カウンター席に着くとすぐに振る舞われるぶぶ入り茶と先付けの長芋•車海老•雲丹をジュレでまとめた酢の物でお腹は蠕動を増し、受け入れ態勢を整えます。
ここからは、食べるのに夢中。
器の外観を愛で蓋を上げると湯気と共に出汁の香りも麗しい、泉さんならではの椀ものなども次々に、中程では景観も楽しめるこの一品です。




冬景色の見映えの良さを記憶に留めたくて、一言お断りだけして写真も一枚頂きました。
河内の鴨に柚子釜のイクラ、庵の茅葺きを開けると中には牛蒡の湯葉巻きとほうれん草の白和が現れます。

口福の二時間で身も心も満たされました。
水菓子に道明寺の椿餅とお薄で今日のお膳とはお別れ、店を出ると小路を曲がるまで見送ってくれるご主人と女将に会釈を返して、夜の河原町を歩いて宿に戻ります。








冬の朝は青い空さえ悲しくて

2021-12-18 12:02:00 | ふさおまき(オス)日記
昨晩、ある落語家の情と力に溢れた芝浜を領国で聴いて、しばし年末に思いを馳せたひと夜を過ごし、
土曜日の朝、彼女と代々木公園を気持ちよく2周+ペースアップ一周。汗も少しだけ滲んでから、近所の公園で短距離のドリル、40メートルダッシュ、そしてバウンディングを試しました。ハムの痛みもなく、筋力の衰えを実感しつつも、バランスが良くなっているのも分かりました。

2021年、あと何回かは体を動かして、2021の悲しくなった右足の力を、来年に向けて取り戻して参ります。






最後まで蕎麦

2021-12-12 17:59:00 | 旅行記
新蕎麦は12月までのもの、ということで思い立った今回の松本旅行。
昼に「北門」さんで素直で受け入れやすいお蕎麦をいただいた後は、やや重くなり始めた雲と、それに応じて強く冷たくなる風のなか、さらにトコトコ歩きます。
蕎麦をたくさん食べると決めた以外は、特に目的もないので、次はどこ行こうかとGoogleさまとのご相談です。
知ってるところで歩ける範囲、弘法山古墳かスーパーツルヤか、浅間温泉も25分で着くとの御託宣ですが、実は今回タオルを忘れて来たのでちょっと面倒です。






ゆるい登りを20分ほど、美ヶ原に向かう、市街地のとの結界線の上のような所にあるのが、アガタベーカリーさん。歩いて行くのは初めてです。
こちらのパンは小麦の味が気に入っているので、今日は何があるかと、並ぶパンを見るのが楽しみです。
中へ入ると、パンが心底好きそうな店員さんが迎え入れてくれて、リンゴパイが焼きたてだとか。とはいえお腹はいっぱいなので、もう少し自分で探させて頂きます。

四種類のパンを買うと、上って来た道とは20度ほど南に向いた別の道を下り方面に歩き始めます。女鳥羽川にあたり、中町あたりのクラフトショップを眺めて歩くと、なんか世の中には色んな工夫が溢れているなと今更ながらに実感します。
松本ゆかりの草間彌生さんの作品が、PARCOで期間限定展示されていると聞いたので、そちらにも伺います。





松本は草間彌生さんゆかりの地で、街中を走るタウンスニーカーバスも、水玉ラッピングされて賑やかなのです。

写真には撮れませんでしたが、天地の合わせ鏡の間に光る梯子をかけた作品は、天にも地にも遥か遠く、それこそ永遠に見えるのが、今回の展示で1番印象的でした。






この1ヶ月くらいの間に放送していたブラタモリの松本篇を見た方はご存じでしょうか、山に挟まれた松本は、山から降りてくる川の土砂が作った扇状地でもあり、地下水が豊富で、街中を歩くとあちこちに湧水を見かけます。
その一つ、源智の井戸で喉を潤し、その水で生地を捏ねているというパン屋さんを見つけたので、こちらでも二つパンを買ってしまいました。どれだけ明日はパンを食べるのやら。

そうこうしているうちに、16時半前の日の入りを迎え、予約した特急あずさの定刻まで50分です。
駅前に何件か信州名物を食べさせる飲食店があるのですが、冷えた体に、最後はあったかく信州ラーメンか?などと一瞬惑いつつ、
そこは初志貫徹です。
立ち食いの小木曽製麺さんで、キュッと一杯、もちろん盛りそばの締まり具合の良さの音感です。




並・中・大とも値段が同じというのが売りですが、さすがに無理はききません。
とはいえ、並でもこの量。東京の薮なら2枚分です。

蕎麦巡りも完走、ほとんど腹だけのために歩いた二日間でした。








松本の御作法

2021-12-12 12:44:00 | 旅行記
松本丸の内ホテルは静寂が最たるおもてなしの宿です。
ロビー・フロント、廊下に部屋、落ち着いた佇まいに、ゆっくり睡眠時間をとることができました。
朝ごはんは、かつての銀行時代の設を残した歴史的建築で、高い天井の開放感に、大きく切り取った窓から陽光が流れ込んで、ハレルヤな気分です。披露宴にも使われるようで、祝祭感が溢れます。
豊富なビュッフェは、地産地消も旨としていて、ワンコほどのお蕎麦もありましたので、サラダを中心にしながら、とろろ蕎麦、そしてナスのお焼きも4分の1だけ頂きました。



11時のチェックアウトまで部屋で過ごして、改めて天守に登城します。



常念岳がくっきり遠望できます。
電車の中は耐震補強工事中、かつコロナ対策で間隔を開けての入城となり、ずらずら列を作って巡ります。








五層最上階から西の山々を眺めて、最後はこのお城の象徴とも言える、月見櫓に降りてきます。意外にここは人の関心を集めないようですが、城主松平氏が3代将軍家光を迎えるために作った謂れは、戦国から江戸の平和な宴の時代へ移る歴史を知らせてくれます。

天守を出ると、二の丸遺構の詳しい部屋割りに草履番はここにいたか、などと思いを巡らせつつ北門へ抜けます。
目指すは宿の方に薦めてもらった、蕎麦屋さんでその名も「北門」
お城を下がっての蕎麦の昼飯、松本作法と勝手に呼びます。








蕎麦に続く道

2021-12-12 11:41:00 | 旅行記
ぷらりが続く土曜の午後は、あがたの森へ。セキレイに導かれ、愛らしいシジュウカラを目で追い、ヒヨドリの鋭い声が降り注ぐ木立の中の公園です。




旧制高校の建物などを見つつ、土曜の授業を終えたらしい自転車の高校生とすれ違ったりしながら、四方から多くの人が集まってくる、イオンモールも見て回ります。
床を転げ回る子供、デートで幸せそうな方々、そして3世代の家族連れ、商品以上に人のバラエティーに富むのが、モールが成功している証拠でしょう。

多少の人酔いをするほどに、屋上に出ると、



西に北アルプス


東に美ヶ原の、山岳盆地・ザ松本が目を覚ましてくれます。






そしてまたブラブラしていたら、女鳥羽川沿いに、郷土のお菓子、薄焼きに目が止まり眺めていると、ガラス窓が開いて、マダムが微笑んで、薄焼きの説明をしてくれました。
小腹が空いた時に良いのです、と見透かされたような誘い文句にあっさり落城。
コーヒーと共に、花豆とカボチャが小麦と蕎麦生地に練り込まれて焼き目のついた薄焼きを頂きました。薄くはなくて、パンケーキくらいの厚みがありますが、脂肪分が少ないので、まさにおやつなピッタリな食べ物です。
そしてこのお店、素敵なマダムと無口なご主人のコンビネーションが抜群で、席に着くなり供されるガラスに湯気が立っているので何かと思うと、中は白湯。さりげない優しさにも溢れるのは、小腹を満たした後、みかんはお好き?と尋ねながらサービスを加えてくれるとこにも現れているのでした。







さらに城下町の中に入り、よく行く洋菓子のマサムラさんなども立ち寄りつつ、今日の宿・松本丸の内ホテルにチェックイン。
すぐに着替えて、夕暮れ迫る街中をジョギングするのも、今回の旅のお楽しみ。
夕陽の松本城に新たな美しさを見ながら、信州大学キャンパスあたりまでゆっくり坂を上って行き、帰りは坂を気持ち良くスピードアップします。
戻ってきたお城は、冬のイルミネーションで、夜に混じる帷を演出していました。












お腹も整いました。
汗を流しに銭湯へ出かけ、その足でお蕎麦のこばやしさんへと向かうのでした。








たっぷり、美味しく頂いて、夜の締めは本日3度目の松本城です。












蕎麦に続き味噌、らしくある

2021-12-11 22:40:00 | 旅行記
蕎麦に陶然とした後は、気ままにブラブラしたいなと感じながら、ふと思い出した事がありました。
知人が教えてくれたお味噌の醸造元がこの辺りにあったはずです。ググってみると200メートルしか離れていません。
すぐ着く、と計算しつつ、曲がる角を間違えたりして5分もかかるのは方向音痴のご愛嬌とうもの。






石井味噌さん、売店とレストランがあり恐る恐るのぞいていると、蔵を見学しないかと誘って頂きました。






背より高い大きな杉の樽が並んでいます。
年に一度、2月から3月の間に仕込んで、後は数ヶ月ごとにかき混ぜ発酵を促していくそうです。






今時の味噌蔵は金属のタンクに原料を入れて加温する事で、数ヶ月有れば製品になるんですけどね、と笑う職人さんは、この時期でも半袖で、綺麗に筋肉が盛り上がっています。
こちらでは一年、もしくは三年かけてようやく出荷となるそうです。
信州の大豆と水と空気に育まれた三年物はどんな味がするのかと楽しみにしながらお土産をひとつ買いました。









信州そばの旅 浅田さんへ

2021-12-11 14:44:00 | ふさおまき(オス)日記
真面目な蕎麦屋さんです。
浅田さん、10年ほど前に初めてきた時は、レンタカーをうまく止められずにいた私たちを、店主自ら誘導灯を振って案内して下さいました。

できますものは、二八と十割に焼き味噌茎ワサビ。でも求道的な緊張感は微塵もありません。
今日も開店前に着いたというのに既に5組ほどの列があり、10分前に中へ入れてくれました。





長野県の指導だからと、大きな一枚板のテーブルに、広く間を開けて座らせてくれます。注文も入店順に、これまた店主自ら取り、大盛りできますか?と尋ねる客には、「たくさん盛ると、最後の方が美味しく無くなりますから。足りなかったら追加して下さい」と丁寧に訳を説明します。
そして厨房に向かってオーダーを通すのですが、はて、跡継ぎでもできたかと訝しむと、すぐに自ら中に入り、釜に蕎麦を泳がせます。ほとんど間をおかずに引き上げ湯切り盛り付け、奥様とお見受けする女性が間髪入れずテーブルへ運びます。
まさに流れるよう。

一枚だけ写真を撮らせて頂き、何もつけずたぐります。
そばの凄烈な香りが、纏ったこの地の地下水と共に、口の中で弾けます。
自然に目を閉じて、口の中の心地よさを封じ込め、やはりコチラのお蕎麦は最高至福と、味わえる自分の幸せを実感します。






一枚食べ終わるにさほど時間はかかりません。蕎麦を提供する作業が一瞬空いた隙にお支払いをして、ただただ美味しかったです、としか言えないのももどかしく、外へ出ました。
するともう、壁沿いだけではなく、通りを挟んだ向こうにも待っている人たち。
お先に。皆さんにももうすぐ幸せな時間が訪れます!