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「高齢者の貧困率9割」時代へ 老後は誰しも転落の淵を歩く (日経ビジネス 2015/09/15)~中流意識を変えないとならない。

2018年12月15日 | ネット・ニュースなど
「高齢者の貧困率9割」時代へ 老後は誰しも転落の淵を歩く (日経ビジネス 2015/09/15)~中流意識を変えないとならない。
1 生活の質を下げる。
2 住宅に資産価値は、ない。
3 住宅は、修繕費がかかる。
4 住宅は、固定資産税がかかる。
5 公営住宅が、低家賃。

 
  
 日経ビジネス2015年9月14日号特集「あなたに迫る 老後ミゼラブル」では、「3大ミゼラブル」として、孤独死・認知症・犯罪を取り上げた。この3大問題の根底にあるのが、高齢者の貧困問題。一般的な民間企業で定年まで勤め上げた「中流層」は、定年を機に貧困に転落する可能性が極めて高い。『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の著者、藤田孝典氏に話を聞いた。
(聞き手は林英樹)

日本の中流層である、平均給与414万円でも定年後は貧困化してしまうと訴えています。

藤田:ええ。今の40代前半に当たる団塊ジュニアは4割程度が非正規社員・従業員です。平均年収は200万~400万円が中心帯ですが、この水準だと、定年後の年金受給額は月額8万~10万円。生活保護を受給すべき最低ラインに掛かります。
とは言っても危機感は薄い。

藤田:老後には、病気や介護、認知症、子供が独立せずに家に居つくなど、現役時代には想像できないような“落とし穴”があります。なかなか実感として受け止めにくいので、危機意識が低いのではないでしょうか。

 

 現在、私は埼玉を中心に生活困窮者の相談に乗っていますが、半分は高齢者です。

 そのうち、現役時代の年収が800万~1000万円だった人も含まれています。
 
 以前は正規の仕事に就く子供がおり、手元には、貯金や持ち家があった。
 
 地域コミュニティーも支えてくれた。年金はあくまでプラスアルファの収入で、依存度はそれほど高くなかった。

 それが変わってきたと。

藤田:今は違います。社会構造が変わる中で、年金依存度は飛躍的に高まっています。そうであるのにも関わらず、私たちが手掛けた独自調査で定年後もずっと中流意識を持っている人は多いことが分かりました。

 意識と実態のギャップから貧困化に陥るケースが増えています。

 現役時代は企業の部長さんで、毎週末にゴルフをするのが当たり前。
 
 車はクラウンじゃないとダメという人なんかも相談に来る。
 
 なかなか生活の質を下げられないようですね。
 
 意識を変えられないことが問題なのでしょうか。

藤田:それもありますが、一番の問題は家庭と雇用形態の変化に、制度が対応し切れていない点です。
 
 家庭内で支えてくれる人がいない以上、国が社会保障として支援の枠組みを考えないといけません。それが抜け落ちています。

具体的に何をすべきでしょうか。

藤田:やるべきことは決まっています。住居です。家賃補助を入れるべきです。

 皆さんが何にお金をかけているかというと住まい。

 35年ローンを組み、定年までに払い終わらない人が多い。

 仮にローンを払い終わっても、老後の資金をすべて住宅につぎ込み、貯蓄額なんてありません。

 持ち家に資産価値があれば良いのですが、35年経つと目減りした不動産価値しか残らない。

持ち家が首を絞める?

 マンションも二束三文の価値になってしまいます。賃貸の場合、現役時代と異なり、定年後の年金支給額15万前後では、8万~10万円の家賃は到底払えません。

金銭的支援は国庫財源を考えても限界があります。

藤田:家賃補助が難しい場合、フランスのように、公営住宅の絶対量を増やすべきでしょう。
 日本では、全住宅のうち公営住宅はわずか4%程度です。
 
 一方、フランスは40年前からインフラ整備を進めており、今は約20%に増えました。  

 フランスの場合も老後の年金は月額10万~12万円程度で日本と変わりません。

 ですが、家賃は月額5000~1万円。手元に1カ月で9万~10万円が残る計算になります。

持ち家は資産価値の希薄化問題だけでなく、老朽化による修繕費、固定資産税などの税金も重荷になります。

藤田:そうですね。老朽化した持ち家であっても資産と見なされるため、貧困に陥ったとしても、生活保護の申請が認められない事例が増え、問題になっています。
一方で、郊外を中心に空き家も社会問題になっていますね。

藤田:行政がゼロから公営住宅を作るのはコストがかかります。手元に今あるストック、つまり空き家をリフォームしながら使うことは重要です。
 
 それが実現するだけでも、相当な高齢者が救われます。

 我々の独自調査では年収200万円の若者の8割が実家に住んでいました。
 実家から出られず、結婚ができないし、子供も作れません。
 
 200万円でも独り立ちできるような政策を打たないと、彼らが老後に貧困に苛まれるだけでなく、彼らの両親の老後の生活すら苦しめることにもなります。

藤田孝典(ふじた・たかのり)氏
社会福祉士、ソーシャルワーカーとして生活困窮者を支援。NPO法人「ほっとプラス」代表理事。聖学院大学客員准教授。「反貧困ネットワーク埼玉」代表。著書『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新聞出版)は発売から2か月で8万部を売り上げた。