

80年代後半にデビューした頃、何とも強烈でエロいインパクトを持ったアーティストが日本にも出てきたもんだと痛烈に感じたのを今でも良く覚えている。僕はプリンスの大ファンでもあったが、まさに岡村靖幸の登場は和製プリンスを彷彿とさせた。自ら作詞・作曲をてがけ、更に全ての楽器を自分で弾いて編曲・プロデュースしてしまうところもプリンスさながらであったし、岡村靖幸が登場した80年代はまさに米国ではマイケル・ジャクソン、プリンス、マドンナの同期3人がヒットチャートを支配していた時代であったが、当時は歌って踊れるアーティストの全盛であったこともあり、岡村靖幸も影響を受けて、これまたプリンスさながらのエロティズム満載のキレっキレダンスを得意としていたのだ。また、その音楽性もファンクミュージックにマッチするような日本語歌詞や岡村語とも言える独特な言い回しを絶妙に乗せることに成功した彼のセンスは、当時他にはなかった新しいファンクポップを日本にもたらしたと言っても過言では無いのだ。


兎に角一番言いたいことは、岡村靖幸が非凡な才能の持ち主であること。ある意味プリンス同様灰汁が強いキャラで、そのエロい歌詞やエロティズム全開のステージから、好き嫌いが相当はっきり分かれるアーティストだろう。生理的に受け付けない人も残念ながら多くいると思われる。しかし、彼の才能は誰もが認めるもので、まさに誰にも真似できない作曲センスは唯一無二と言えよう。

僕は勝手に彼の曲で好きなものを集めてベストセレクションをiTunesで作って、普段から良く聴いているが、収録しているのは下記。最近のヒット曲から80年代のヒット曲などを織り交ぜており、岡村ちゃん色炸裂のベストセレクションである。

1) ステップアップLOVE
2) ラブメッセージ
3) 愛はおしゃれじゃない
4) はっきりもっと勇敢になって
5) 彼氏になって優しくなって
6) ビバナミダ
7) Super Girl
8) ラブタンバリン
9) Peach Time
10) Vegetable
11) だいすき
12) カルアミルク
13) あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔をするだろう
14) 出来るだけ純情でいたい
15) 新時代思想
16) ヘアー
17) 揺れるお年頃
18) ぶーしゃかLOOP

デビューから34年も経っているが、彼のファンキーでポップなその音楽性は常に一貫しており、今も輝きを放っている。というよりも、まさに時代がようやく岡村靖幸に追いついてきたと言えるのかもしれない。

2017年にリリースされたDAOKOとのデュエットである『ステップアップLOVE』は、ノリノリで痛快な岡村ちゃんサウンドだが、なんと良くサウンドに耳をすませると、あのプリンスが多投していた独特の重いビートが響く。意図的にかどうかまでわからないが、明らかにプリンスからの影響が今でも色濃く見て取れる好例だろう。

岡村靖幸はその34年のキャリアの中で、リリースしてきたアルバムは7枚と意外に少なめ。しかし、1990年にリリースされた4枚目のアルバム、『家庭教師』は日本の音楽業界の中でも名盤としてあまりにも有名。

そして、今年4月1日に、4年ぶりの最新アルバムにして、通算8枚目のアルバムとなる『操』がリリースされたばかりだが、最近のヒット曲『マクガフィン』と王様のブランチのテーマ曲にもなった『少年サタデー』と『ステップアップLOVE』などのシングルを収録しており、またまた高いクオリティーのアルバムを届けてくれた。

まだニューアルバムがiTunesでリリースされていないので購入していないが、これからじっくり聴き込むのが楽しみである。
