

indigo la Endとは、あの”ベッキー文春砲事件”で一躍時の人となった、川谷絵音が率いるもう一つのバンド。ゲスの極み乙女とはまた違って、川谷絵音が尊敬するスピッツに多大な影響を受けた別プロジェクトと言えるかもしれないが、バンド名も、スピッツのアルバム『インディゴの地平線』からインスピレーションを得て名付けたらしい。

indigo la Endは、2010年に川谷絵音を中心に結成された。ボーカルとギターの川谷、ギター・長田カーティス、ベース・後鳥亮介、ドラム・佐藤栄太郎の4人のメンバーで構成され、歌とギターのツインメロディ、それを支えるリズム隊が絶妙なバランスで重なり合うサウンドが魅力。哀愁漂う、切ないメロディーはスピッツにも通ずるところを強く感じるが、メロディーの良さもさることながら、バンドメンバー個々の高い演奏テクニックも眼を見張るものがある。

メジャー5枚目のフルアルバムとなる「濡れゆく私小説」は、全11曲を収録。先行配信されている「結び様」「ほころびごっこ」「小粋なバイバイ」「はにかんでしまった夏」をはじめ、バラードから重厚なロックサウンドまで様々なテイストの楽曲が揃っている。
1) 花傘
2) 心の実
3) はにかんでしまった夏
4) 小粋なバイバイ
5) 通り恋
6) ほころびごっこ
7) ラッパーの涙
8) 砂に紛れて
9) 秋雨の降り方がいじらしい
10) Midnight indigo love story
11) 結び様
全体に統一感があり、多岐にわたる楽曲ながらも切ないメロディーが軸として流れを作る。また歌詞もなかなか切なくて興味深い。例えば、『通り恋』などは、別れた女性に対して残る、決して消えぬ恋心を歌っているが、あのベッキーはことを歌っているのではないかと考えてしまう内容だ。

このアルバムの歌詞を聴いていて、当たり前のことながら、今更改めて感じたことがある。ミュージシャンは、歌詞に自分の気持ちを込めて愛のメッセージを書き、それを曲に乗せて想いの人に届けることが出来る。もちろん曲は広く大勢のリスナーに届けられるわけだが、本当に届けたい人にもさりげなくメッセージとして届けることが出来るというのは、何とも強力な武器であり、ミュージシャンの特権である。もし自分がミュージシャンで、歌詞を書く能力があったなら、自分が曲を届けたい人に、メッセージを届けることが出来るのかもしれない。

Indigo la endのアルバムを聴いて、そういうことが出来るミュージシャンをとても羨ましいと感じた、そんなアルバムであった。