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横山光輝の傑作漫画、『おてんば天使』!

『鉄人28号』や『魔法使いサリー』などで有名な巨匠漫画家、横山光輝。僕は昔から、手塚治虫と並んで最も好きな漫画家で、数多くの漫画をコレクションしているが、そんな数多くある名作の中でも、特に好きな作品が『おてんば天使』である。



『鉄人28号』のように一般的に有名な作品ではないので、知らない人も多いかと思うが、『おてんば天使』は、『魔法使いサリー』の原点とも言える少女漫画で、横山光輝の巧みなストーリー展開、そしてスケールの大きな作品であり、今読んでも見事としか言いようがない。



物語は、主人公の牧村エミ子を中心に展開する。エミ子は四人家族の末娘。お父さんは外国航路の船長だった。ある日、お父さんが新しいお母さんを連れてきた。エミちゃんと姉の千恵子は好印象を持つが、亡くなった母の記憶が鮮明な兄の健太郎は、一人それを受け入れることができない。しかも健太郎がたまたま町でけんかをした、やくざ者の親分と新しい母は、なにやら知り合いのようで、なおさら気に入らない。父は束の間の休暇を終え、新たな航海へと出発していった。牧村家は、新しい母と3人の子どもによる新しい生活が始まったのだ。ところが、その父の船が、大型の貨物船と衝突し、沈没してしまった。生存者の中に父の名前はなく、家族は悲しみの中、葬儀を行った。だが父は亡くなってはいなかった。別の船に助けられたのだが、過去の記憶を失い、その船で船員として働くことになっていた。一方、母を認めることができない健太郎は、探偵を雇って母の過去を調べた。調査の結果、かつて母は、スリであったことが判明した。戦災孤児だった母は、生きるためにスリをしていたが、エミ子たちの父に出会い、スリを止め、しかも大学まで行かせてもらったというのだった。しかしそんな母の話を聞きながらも、健太郎の心は開かれることなく、母は家を出ることになった。お母さんが好きでたまらないエミちゃんは、一人でお母さんに会いに行くという展開に。



この作品は、1959年から1962年まで、少女漫画雑誌『りぼん』に連載されて人気を博した作品。この時期は、まさに僕が好きな芦川いづみ全盛期と重なる時代の漫画という意味でも、何だか感慨深いものがあるし、やはり時代背景なのだろうが、この作品も実に味わい深い物語になっているのだ。



『おてんば天使』は、元々1960年に集英社から全2巻で単行本化されているのだが、こちらはもう現在ではほぼ手に入らない(あってもかなり状態の悪いもので30,000円以上してしまう)。これを除き、現在2種類の単行本が手に入るが、この2種類もかなり昔に出版されたものなので、意外に入手困難。出回っていても、状態の良いものを見つけるのは至難の業だ。しかし、僕は何ともラッキーなことに、両方のバージョンを持っている。

まずはこちらが1977年に翠陽社から発売された全3巻の『おてんば天使』。実は、こちらは僕が小学生の頃に購入していたもので、40年近くも大切に保管し続けてきたもので、思い出深い。そもそも小学生の頃にこの単行本で『おてんば天使』を読んで、すっかりハマってしまったのだ。全3巻な為、各巻がかなり分厚く、読み応えのある単行本となっている。



そしてこちらが、翠陽社版よりも8年前の1969年(まさに僕が産まれた年!)に発売された、虫コミックス版全4巻の『おてんば天使』。こちらが初めて単行本化されたもので、元々全4巻に収められていたものが、翠陽社版で全3巻にされたので、ボリューム感が出たわけである。この虫コミックス版は、より古いものなのでなかなか市場に出回らないが、出ていても状態の良いものは10,000円以上してしまう。僕は数年前、神保町の夢野書店でかなり状態の良いものを発見して購入することが出来た。



2種類の単行本以外に、当時『りぼん』に連載されていた際の付録が多く流通している。かなりたくさんの種類があり、表紙のイラストもかなり魅力的なので、4種類持っている。数が多いので、全て手に入れるのはなかなか難しいのだが、ネットで見つけ次第購入して、これからもコレクションしたいと思っている。




大好きで思い出深い横山光輝の『おてんば天使』。色々な困難を乗り越えながら明るく生きて行くエミ子の物語は涙を誘うし、毎回どんな困難が立ちはだかるかハラハラしながら、読むのに夢中となって引き込まれていく。そしてメロドラマばりに家族愛、兄弟愛などもテーマにしながら展開していくが、少女漫画としては何とも内容の濃い漫画作品である。もっと大勢の人にこの素晴らしい作品を読んで貰える機会が増えるよう、ぜひまた完全復刻版として新たに発売して欲しいものである。

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