▲ミカン、ゼニゴケ、コスギゴケのスリーショット。
先日、静岡県で農業をされているJさんのお誘いで、
友人と共に伊豆半島の沼津まで行ってきた。
沼津は伊豆半島を矢印の形(↓)に見立てたら
「V」の左側の先っちょあたりにある町だ。
今回の目的は、ミカンの収穫。
収穫するのは地元名産の西浦ミカンで、
いわゆる冬のおこたで食べるのに定番の「温州ミカン」である。
ちなみに私は故郷が西にあるせいか、
そもそも伊豆がミカンの一大産地だということすら知らず・・・。
ミカンといえばつい和歌山・愛媛を思い出してしまう。
しかし実際に沼津に行ってみると、気候は温暖、目の前は駿河湾、
海を望む斜面に畑があるので海からの照り返しという日当たりのよさもあり、
まさにミカンを育てるのにバッチリのロケーション。
さらにJさんのイチ押しは、
駿河湾の向こうにそびえる雄大な富士山の眺め。
Jさんいわく、
「青い海とセットで富士山が望めるミカン畑は、伊豆のパワースポット!」
とのこと。
▲ミカン畑からの眺め。みかんの葉で隠れてしまったけど、左側に富士山があるのです。
▲「はやく摘んでくれー」と言わんばかりにたわわに実ったミカンたち。
当日は天気も快晴、さらにミカンのオレンジ色も映え、
その中で手足を動かしてミカンを収穫するのはとても気持ちのよい作業だった。
▲ミカンを摘むときのハサミの入れ方を教わる。ちなみにミカンの木は隔年で実をつけるのだそう。
▲てっぺんの実は脚立に乗って収穫する。両手が空くよう、肩掛けカゴは必須。
▲あっという間にカゴいっぱいに収穫。
▲それをのちほど出荷。この中から40個ほどお土産にいただく。
そして、ここでも思いがけずコケとの出会いが。
今回はミカン収穫が目的だったので、
コケのことなどつゆも気にしていなかったのだが、
ミカンの木の下でコケたちが気持ち良さそうに
群落を作っているではないか。
▲手前にゼニゴケ。日当たりがよいせいか、スクスクと育っているご様子。
これを見てしまうと、やはりコケ好きとしては
地面にはいつくばってでも観察せずにはいられない。
収穫作業の合い間に、しばしのコケタイム。
▲ゼニゴケだけかと思いきや、をつけたコスギゴケもいた!
コケに夢中の私の背中にJさんは、
「コケって本当にどこにでもいるのねぇ。
でも、それだけ出会いがたくさんあるってのも、コケの魅力よねぇ」
とひと言。
それを聞いて、
「そう!そうなんだよなぁ」
と納得していると、
今度は目の前のゼニゴケの雌株たちが
ちょうど胞子を飛ばそうとしているではないか。
▲雌株に生えるヤシの木似の雌器托(しきたく。造卵器のある部分)。
黄色い胞子はまるでヤシの実。
「おぉお。すごい!これはちょうどいいタイミングで出会った!」
これまた嬉しくて一人で感嘆の声を上げていると、
そばでミカンを摘んでいた友人Aちゃんも気になったのか、
「どれどれー?」とこちらに来て一緒に観察。
実はもともとはまったく
コケに興味がなかったAちゃん。
しかしこの1年くらいかけてじわじわと洗脳・・・
いや、コケの魅力を伝え続けているので、
ここ最近はコケに対して非常に反応がいい。
どうやら這いつくばることにも、
もう抵抗がなくなったようだ。
「シメシメ。もうちょっとでコケ友ゲットだな」
と心の中でほくそ笑む私。
▲また別の木の下には黄緑色をしたポコポコと丸い集団が。
▲朝露にぬれてしっとり。指でなでてみるとベルベッドのようでキモチイイ!!
▲家に帰って図鑑で調べてみたところ、色と生育地からツチノウエノコゴケではないかと推測。
※ツチノウエノコゴケ (『校庭のコケ』より抜粋)
全国の低地に広く分布する。都市部でも普通。
名前の通り、日当たりのよい土の上に生える小さいコケである。
裸地や花壇に多い。黄緑色。茎は直立し短くてほとんど枝分かれしない。
収穫したばかりのミカンをいただきつつ、
視界には立てば富士山、座ればミカン畑、そして下を向けばコケと、
あらゆる方向からパワーをいただいた一日だった。
▲収穫作業後。ミカン両手にポーズをキメッ。
▲お昼は湾岸まで降りて地元民に人気という食堂へ。アジのたたきがのった出汁茶漬け。おいしかった。