かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

衝撃の鎌倉コケ散歩

2010-11-17 13:45:02 | コケをめぐる旅

▲はたしてこの壁だけで何種類のコケがあることやら。



11月3日、文化の日はお寺好きのTちゃんと北鎌倉へ。


円覚寺と建長寺では寺内に保管されている
宝物(ほうぶつ)の保存維持のため、
毎年この時期になると風入れを兼ねた宝物展が催される。


3~5日の限定公開ということで、
混雑を見越して朝9時にTちゃんと北鎌倉集合。

やはり予想通り宝物展目当ての人で
駅の狭いプラットホームはごった返していたが
朝一番に訪れた甲斐あって寺内は意外と空いていた。



▲円覚寺前にて。



私はお寺や仏教には全然詳しくないのだけれど、和のものは全般的に好き。


中国の宋や明から日本に渡ってきたという絵巻や衣服、
後醍醐天皇、北条貞時、足利尊氏など歴史的有名人たちの直筆の書、
応挙や雪舟の墨絵など、普段はなかなか見られない芸術品が
数百点も目の前で見られたのはとても心豊かになる体験だった。



なかでもとりわけ、Tちゃんと私の目を引いたのが円覚寺で展示されていたコレ!



▲白沢さん
  
   ※「くすりの博物館」http://www.eisai.co.jp/museum/history/0100/sub0100.htmlより画像を拝借。
    何人も書き手がいるらしく、円覚寺の展示物はこれとはややタッチが異なる。



「しろさわ」ではない、「はくたく」と読む。


柱にちょこんとかけられた比較的小さな墨絵だったのだが、
解説を読むとこの白沢さん、「宝物風入れの守護神」というではないか!



「えっ、このおじいちゃんみたいな人面牛が!?」


と私もTちゃんもびっくり。


「こんな老いた人面牛に果たして
数百とある貴重な宝物を守りきれるのか!?」


と心配になりつつも、


「宝物展が無事に成功するよう、ワシが今年も一肌脱ぐかぁ」


と毎年この時期になると曲がった腰を上げて
縁の下の力持ち的に一人でがんばっているのかと思うと、
なんだか、けなげすぎて萌える。



ちなみに帰宅後、白沢さんについてネットで調べたところ、
なんと麒麟や鳳凰などと似た類で、けっこう徳の高い聖獣とのこと。


また、人の言葉もわかるらしいので、
私たちの「白沢=老いた人面牛」発言は
きっと彼の耳に届いていたことだろう。


失礼なこと言ってごめんなさい、白沢さん。


●白沢(はくたく) <ウィキペディアより>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%BE%A4



そんなこんなで、円覚寺・建長寺の宝物展を満喫。


そして、ここからがコケに興味のあるみなさんに
ぜひお伝えしたい情報なのだが、
この2つのお寺の境内はとってもコケが豊富!


いずれのお寺も拝観料がいるため、今までノーマークだっただけに、
こんなにコケむしている場所があるとは私にとっては衝撃の事実!


   
▲円覚寺にて。


   
▲建長寺にて。



いずれも全部載せきれないのでその一部だが、
コケ観察をしたい人にはとてもよいスポットだと思う。


とくに建長寺の参道にある水路の壁面(下段の右画像)は、興味深いコケがいくつも。
でも水路にはばまれて手が届かず、なんともどかしかったことか!




▲水路の左脇に、なんか緑のかたまりが・・・




▲アップにすると、こんなかんじ。ホンモンジゴケじゃないかと思うのだが
(いかんせん、水路があるので間近で見られず・・・)




▲もう1ヵ所あった! この山のようなボコボコ、もとからあった石とかじゃなくて、
 コケが何年もかけて厚い層を築いているのではないかと推測。



この魅力的コケスポットの発見に、

「ここのコケ、ヤバイ! スゴイ!」

と私はしばし興奮気味。



かなり大きな声でひとり言を連発していたらしい。
少し離れたところで建物を眺めていたTちゃんが、


「この子を一人にさせてたら、怪しすぎる!」

と急いでそばにかけ寄って来てくれた。



自分の寺鑑賞もそこそこに、ありがとう!Tちゃん!
おかげさまで心ゆくまでコケを観察することができました。(←ただの迷惑者)




そしてさらに、私を興奮のルツボにおとしいれたのが、
コケの茂みからにょきっと伸びていたキノコ集団。



▲なんじゃこりゃ。見たこともないヘンな形!


クリーム色で、いびつなウサギの顔みたいな形。
耳の部分はくるっと巻き込まれ、真上から見るとてっぺんは空洞になっている。


この衝撃の発見により、さらに私はこの場に留まること20分(Tちゃんゴメン・・・)。



数日後、兵庫県にいらっしゃる「人と自然の博物館」の秋山さんに
(コケがご専門でありながら、キノコにも精通しておられる)、
メールでおたずねしたところ「アシボソノボリリュウタケかも」とのこと。


最初は「新種発見かも」と
内心ドキドキしていたのだけど、
やはり知られた種類であったか。



<今回出会ったコケたち>
・ウマスギゴケ
・ジャゴケ
・ヒメジャゴケ
・ケゼニゴケ
・エビゴケ
・ホンモンジゴケ(たぶん)
・ホソバオキナゴケ
・ハマキゴケ
・コバノチョウチンゴケ・・・などなど

   


▲上はケゼニゴケ。下はちょっと何コケかわからず。後ほど図鑑で調べるつもり。



Tちゃんとは来月も鎌倉散歩へ行こうと約束。

これで今年は春夏秋冬、季節ごとに鎌倉を訪れることができそうだ。
幸せだなぁ。でも鎌倉がもっと近ければなぁ。



●おまけ。こういう楽しみもあるから鎌倉散歩はやめられない。

  

  

▲左上:お昼は円覚寺の近く「紫穂の里」にて「SHIHO御膳」をいただく。
 右上:おやつは鎌倉・小町通りのカフェ「エチカ」にて。キャラメルチーズケーキ。
 左下:途中、北鎌倉駅付近で市が開かれていたので寄り道。クルミに入った蜜蝋のろうそくを購入。
 右下:円覚寺にあった木彫りのお地蔵様。左のお地蔵様の手がサルノコシカケに。