▲はたしてこの壁だけで何種類のコケがあることやら。
11月3日、文化の日はお寺好きのTちゃんと北鎌倉へ。
円覚寺と建長寺では寺内に保管されている
宝物(ほうぶつ)の保存維持のため、
毎年この時期になると風入れを兼ねた宝物展が催される。
3~5日の限定公開ということで、
混雑を見越して朝9時にTちゃんと北鎌倉集合。
やはり予想通り宝物展目当ての人で
駅の狭いプラットホームはごった返していたが
朝一番に訪れた甲斐あって寺内は意外と空いていた。
▲円覚寺前にて。
私はお寺や仏教には全然詳しくないのだけれど、和のものは全般的に好き。
中国の宋や明から日本に渡ってきたという絵巻や衣服、
後醍醐天皇、北条貞時、足利尊氏など歴史的有名人たちの直筆の書、
応挙や雪舟の墨絵など、普段はなかなか見られない芸術品が
数百点も目の前で見られたのはとても心豊かになる体験だった。
なかでもとりわけ、Tちゃんと私の目を引いたのが円覚寺で展示されていたコレ!
▲白沢さん
※「くすりの博物館」http://www.eisai.co.jp/museum/history/0100/sub0100.htmlより画像を拝借。
何人も書き手がいるらしく、円覚寺の展示物はこれとはややタッチが異なる。
「しろさわ」ではない、「はくたく」と読む。
柱にちょこんとかけられた比較的小さな墨絵だったのだが、
解説を読むとこの白沢さん、「宝物風入れの守護神」というではないか!
「えっ、このおじいちゃんみたいな人面牛が!?」
と私もTちゃんもびっくり。
「こんな老いた人面牛に果たして
数百とある貴重な宝物を守りきれるのか!?」
と心配になりつつも、
「宝物展が無事に成功するよう、ワシが今年も一肌脱ぐかぁ」
と毎年この時期になると曲がった腰を上げて
縁の下の力持ち的に一人でがんばっているのかと思うと、
なんだか、けなげすぎて萌える。
ちなみに帰宅後、白沢さんについてネットで調べたところ、
なんと麒麟や鳳凰などと似た類で、けっこう徳の高い聖獣とのこと。
また、人の言葉もわかるらしいので、
私たちの「白沢=老いた人面牛」発言は
きっと彼の耳に届いていたことだろう。
失礼なこと言ってごめんなさい、白沢さん。
●白沢(はくたく) <ウィキペディアより>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%BE%A4
そんなこんなで、円覚寺・建長寺の宝物展を満喫。
そして、ここからがコケに興味のあるみなさんに
ぜひお伝えしたい情報なのだが、
この2つのお寺の境内はとってもコケが豊富!
いずれのお寺も拝観料がいるため、今までノーマークだっただけに、
こんなにコケむしている場所があるとは私にとっては衝撃の事実!
▲円覚寺にて。
▲建長寺にて。
いずれも全部載せきれないのでその一部だが、
コケ観察をしたい人にはとてもよいスポットだと思う。
とくに建長寺の参道にある水路の壁面(下段の右画像)は、興味深いコケがいくつも。
でも水路にはばまれて手が届かず、なんともどかしかったことか!
▲水路の左脇に、なんか緑のかたまりが・・・
▲アップにすると、こんなかんじ。ホンモンジゴケじゃないかと思うのだが
(いかんせん、水路があるので間近で見られず・・・)
▲もう1ヵ所あった! この山のようなボコボコ、もとからあった石とかじゃなくて、
コケが何年もかけて厚い層を築いているのではないかと推測。
この魅力的コケスポットの発見に、
「ここのコケ、ヤバイ! スゴイ!」
と私はしばし興奮気味。
かなり大きな声でひとり言を連発していたらしい。
少し離れたところで建物を眺めていたTちゃんが、
「この子を一人にさせてたら、怪しすぎる!」
と急いでそばにかけ寄って来てくれた。
自分の寺鑑賞もそこそこに、ありがとう!Tちゃん!
おかげさまで心ゆくまでコケを観察することができました。(←ただの迷惑者)
そしてさらに、私を興奮のルツボにおとしいれたのが、
コケの茂みからにょきっと伸びていたキノコ集団。
▲なんじゃこりゃ。見たこともないヘンな形!
クリーム色で、いびつなウサギの顔みたいな形。
耳の部分はくるっと巻き込まれ、真上から見るとてっぺんは空洞になっている。
この衝撃の発見により、さらに私はこの場に留まること20分(Tちゃんゴメン・・・)。
数日後、兵庫県にいらっしゃる「人と自然の博物館」の秋山さんに
(コケがご専門でありながら、キノコにも精通しておられる)、
メールでおたずねしたところ「アシボソノボリリュウタケかも」とのこと。
最初は「新種発見かも」と
内心ドキドキしていたのだけど、
やはり知られた種類であったか。
<今回出会ったコケたち>
・ウマスギゴケ
・ジャゴケ
・ヒメジャゴケ
・ケゼニゴケ
・エビゴケ
・ホンモンジゴケ(たぶん)
・ホソバオキナゴケ
・ハマキゴケ
・コバノチョウチンゴケ・・・などなど
▲上はケゼニゴケ。下はちょっと何コケかわからず。後ほど図鑑で調べるつもり。
Tちゃんとは来月も鎌倉散歩へ行こうと約束。
これで今年は春夏秋冬、季節ごとに鎌倉を訪れることができそうだ。
幸せだなぁ。でも鎌倉がもっと近ければなぁ。
●おまけ。こういう楽しみもあるから鎌倉散歩はやめられない。
▲左上:お昼は円覚寺の近く「紫穂の里」にて「SHIHO御膳」をいただく。
右上:おやつは鎌倉・小町通りのカフェ「エチカ」にて。キャラメルチーズケーキ。
左下:途中、北鎌倉駅付近で市が開かれていたので寄り道。クルミに入った蜜蝋のろうそくを購入。
右下:円覚寺にあった木彫りのお地蔵様。左のお地蔵様の手がサルノコシカケに。