10年前に夫のショーンを亡くしたアナ(ニコール・キッドマン)は、何年もプロポーズし続けてくれたジョセフ(ダニー・ヒューストン)と再婚することを決める。
そんなアナの前に亡くなった夫の生まれ変わりだと名乗る10歳の少年(キャメロン・ブライト)が現れる。名前も夫と同じ。
二人だけしか知りえない秘密も知っている。
たちの悪いいたずらだと思っていたアナだったが、心は激しく動揺する。
リインカネーション、輪廻転生。
キリスト教にそんな考え方があるのかどうか分からないけど、
愛する人を突然に失ったとき、誰もが願うことなのかもしれない。
その願いがふいに現実になったときの心の揺れを、ニコール・キッドマンが静かだが表情豊かに演じる。
30代後半の大人の女性と10歳の少年の間に生まれる微妙な愛。
ありえないような設定なのにキャメロン・ブライトの独特の雰囲気になぜか納得させられてしまう。
この少年、不思議なのだ。
オカルト映画に出そうなタイプなのだ。
ニコリともせずに、一途にアナを見つめる視線の強さだとか
とても子供とは思えないような落ち着いた態度が、ただの子供であるはずがないと思わせる。
アナとのキスシーンがあったり、入浴シーンがあったことでカトリック教会からクレームがついたらしいのだけど、それはまあ。。。かろうじて許容範囲。
でも、この会話はどうだろ。
「夫は妻の面倒をちゃんと見て養うのよ。あなたにできるの?」
「働くよ。」
「私の求めにも応じられるの?」
「。。。どういうことなのか意味は分かるよ。」
「。。。女の子と経験あるの?」
10歳の子供とこんな会話できるモンなのか。
していいものなのか。
この子は子供のはずがない。絶対生まれ変わりだ。と確信した時
あっけないほど現実的な結末を迎えてしまう。
少年は「生まれ変わりだったのか」
映画の結末に素直に納得する人と、どうも納得できない人に分かれると思う。
私はあの少年は「生まれ変わり」だったと思う。
自分が生まれ変わりだと主張し続ければ、愛するアナを過去に裏切ったことが明るみに出てしまう。
アナが持ち続けている美しい思い出を傷つけることを恐れて身を引いたような気がして仕方がないのだ。
絵本の「100万回生きた猫」を思い出してしまった。
どんなに愛されても自分以外の人を愛することのなかった猫は、何度も生まれ変わる。
何度生まれ変わっても誰も愛せない。
100万回目に生まれ変わった猫はやっと心から愛する人とめぐり合い、それからは生き返ることがなかったというお話。
心に悔いを残して死んでしまった場合に輪廻転生があるとしたら、
このショーン少年もまた生まれ変わらなければいけないのだろうか。
一応結末で答えを出してはいるけれど、なんとなく観る人を納得させない。
裏があるのでは?と考えてしまう。
アナが少年を信じまいとしてもいつの間にか信じてしまったように、私の中にある神秘的なことを信じたい気持ちが「結末の裏」を考えさせるのかもしれない。
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私は、ショーン少年が完全なる生まれ変わりじゃなかったとしても、彼の中には確実に夫ショーンの観念が宿っていた瞬間があったと思いました。
不明瞭なまま終わりを迎える物語に少し悶々としながらも、この物語の断片を自分なりに噛み砕きながらいろんな解釈をしていく・・・そういうものを味わう作品だったのかなあなんて思います。
絶妙な印象を残す、不思議な作品でした。
映画が終わった後、思いがけない結末にがっかりしながらもいろいろなことを考えてしまいました。
観た人に解釈させる・・・そうですね。
そんな作品だったのかもしれませんね。
ニコール・キッドマンの美しさとショーン少年の不思議な雰囲気が余計に神秘的なものを感じさせたのかも知れません。
観る人に、どっちなんだろう・・・と、
想像させるような、終わり方でしたね。
少年のしぐさ・まなざしからは、ひらりんには感じ取れなかった輪廻論でした。
こちらこそTB&コメントありがとうございました。
どうも素直に信じられない結末でした。
自分の心が亡き夫にあると思い知ったアナが、幸せな結婚生活を送れるものなのでしょうか。
そんなことまで心配したおせっかいおばさんです。
ジョゼフはどうも好きになれないタイプなもので(爆)すっきり別れちゃえば、観ているこちら側も少しはサッパリしたんですけどね。
私も少年が偽者だったとは思いませんでした。
記憶が残るかどうかのことであって、そもそも誰もが皆、誰かの生まれ変わりなのかもしれないし・・。
監督はユダヤ系イギリス人だそうです。
ユダヤ教には輪廻転生思想もあるらしいですね。
TBありがとうございました。
キリスト教に輪廻転生の考え方はない。って聴いたことがあったんですが、監督がユダヤ教なら監督の宗教観のようなものの影響があったかもしれないですね。
そんな話を聞くと、しつこく「生まれ変わりに違いない」と思ってしまいそうです。
ストレートな描き方をしていない分、
この作品はいろいろな意見、解釈がありますね。
「100万回生きた猫」、大好きな本なんですよ!
また読み返したくなりました。
こちらこそTB&コメントありがとうございます。
「100万回生きた猫」は子供のために買ったのでしたが、小さかった子供には難しかったらしく、私のほうが気に入ってしまったのでした。
数度の引越しのたびに捨てきれずに、未だに持っています。
同じ本が好きな方と出会えて嬉しいです。
映画から話がそれてしまいましたが(笑)
監督は輪廻のことを相当研究したみたいだし、少年はショーンの転生とみたほうが、自然だと思います。
観る人によってすごく意見が分かれた映画でしたね。
私も、転生だと信じたい派です。
「神秘」に逃げるつもりはないけど
なんでも割り切れるものではないと考えたほうが
いいような気がしてます。