ビター☆チョコ

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ナイロビの蜂

2006-11-17 | 洋画【な】行



イギリスの外交官、ジャスティン・クエイル(レイフ・ファインズ)は赴任先のナイロビで妻のテッサ(レイチェル・ワイズ)と暮らしている。
温厚で誠実でガーデニングを愛するジャスティンと正義感が強く「救援活動」に没頭する
テッサ。
一見、正反対に見える二人だが、お互いに愛し合っている。とジャスティンは信じていた。
しかし、突然妻のテッサが「救援活動」のための旅先で殺されてしまう。
同行したアーノルド医師との痴情のもつれが原因ではないかと警察は言うのだが、
テッサの死にからんで、不穏な動きがあることにジャスティンは気がつく。
妻は何をしようとしていたのか。
妻が愛していたのは誰だったのか。
ジャスティンはテッサの真実を求めて、深い闇の中に歩きだす。


物語はテッサの訃報から始まる。
ジャスティンの中にあるテッサとの思い出を織り込みながら物語は進んでいく。
テッサとの出会い、結婚。
そしてアフリカの地で、テッサは持ち前の正義感で「救援活動」にのめり込んでいく。
そんなテッサを遠くから見守るジャスティン。
妻を愛しながらも、心の底には妻への疑惑も芽生え始めている。
テッサは自分の活動について何も語ろうとしないから。

突然のテッサの死がジャスティンを行動的にした。
テッサの行動を辿るうち、ジャスティンはテッサが何を追っていたのかを知る。
テッサの死は「ある大きな陰謀」を暴こうとしたからなのだ。
そして何も語ろうとしなかったのは、ジャスティンを守ろうとしたから。
妻の大きな愛を知った時、物語は悲しい結末を迎える。

ラブストーリーとして見るのか、サスペンスとして見るのか、それとも社会派ドラマなのか。
それぞれの見方があるだろう。
私の中には社会派の面が濃く残った。

テッサという女性は自分の信じた道をどこまでも、強引に進もうとする女性だ。
目的を達成するためには手段を選ばないような強さがある。
正直に言えば、友達になりたいとは思わないタイプの女性だ。
ジャスティンとの出会いから結婚への経緯にしても、もしかしたら自分の活動のための打算があったんじゃないかと思わせるような押しの強さだ。
もしテッサを演じたのがレイチェル・ワイズじゃなかったら、私としては絶対受け入れられなかったろうな。と思う。
ジャスティンにしても彼の立場を考えれば、テッサを野放しにしすぎたぼんやり亭主だし(爆)
それをレイフ・ファインズが演じれば温厚で誠実な紳士。になってしまう。
配役が良かったからラブストーリーになった、というような感じがする。

テッサが暴こうとしたのは、先進国の製薬会社が新薬の効果を試すための人体実験をアフリカで行ってたという事実。
もちろん開発途中だから死人も出る。
でもそんなことは闇から闇へと葬られる。
何人死のうと先進国の製薬会社には全然痛みはないのだ。
フィクションだと思うけれども、「もしかしたらありそう」と思ってしまう自分が恐い。
そう思った時点で、私の中にも後進国への差別や偏見や。。もっと正直に言えば見下したような考えがあるということなのではないだろうか。

命の価値が先進国と後進国では違う。
そんなことはあってはいけないことだけれども、どこかでそれを現実と見ている自分がいることも確か。
ラブストーリーの影には鋭い刃が隠されている。