ビター☆チョコ

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グッド・シェパード

2007-10-24 | 洋画【か】行

1930年代の終わり、第2次世界大戦が始まろうとする頃のこと。
アメリカの名門大学イェール大学の優秀な学生だったエドワード・ウィルソン(マッド・デイモン)は、
サリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)の目に留まり、現在のCIAの前進であるOSS(米軍戦略事務局)の発足に関っていく。

物語は、冷戦下、キューバのカストロ政権の転覆をもくろみながら失敗した、ビスク湾侵攻作戦失敗の原因を究明していく「現在」と
OSSとして発足してCIAへと組織が成立していく「過去」の時制を行き来しながら進んでいく。

優秀な学生だったエドワードは、図書館で耳の不自由なローラ(タミー・ブランチャード)と知り合い、惹かれていく。
しかし、その一方で同じ秘密結社「スカル&ボーン」の一員であるジョンの妹クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)とも関係をもってしまう。
クローバーの妊娠でローラとは別れ、生まれてくる子供のために結婚したものの、結婚式の1週間後にはOSSの活動のためロンドンに渡り、その後6年間はアメリカの地を踏むことはなかった。

エドワードJrと名づけられた息子は、父の顔を知らずに少年に成長していた。
6年ぶりに会う夫と妻。初めて会う父と息子。
互いにどこかぎこちない生活が始まる。
仕事は多忙を極め、家族にすら言えない重い仕事は
家庭にいつも秘密の匂いを持ち込んだ。
家庭の中には、どこか冷え冷えとした空気が漂っていた。


国を守るということは、いったいどういうことなのだろう。
個人が集まって家族になり
その家族がいくつもいくつも集まったのが「国」なのだと思う。
「国」を守るために、家庭が犠牲になるのなら、いったい「国」を守る任務についている人たちは
なにを守っているのだろう。

イタリア人には家族と教会がある。アイルランド人には故郷がある。ユダヤ人には伝統がある。
黒人には音楽がある。あんたたちにはなにがあるんだ。

そう訊かれて
アメリカ合衆国、と答えた男は
国を守るために寡黙に徹した。
その妻も、若い頃の奔放さは嘘のように消え
どこか疲れた表情の女になった。
息子は父をどこかで恐れながらも憧れ、追いつきたいと願い同じ仕事につく。
そしてその選択が
父親のエドワードに大きな問題を突きつけることになる。

この物語はビスク湾事件を軸に描かれているが
エドワード・ウィルソン家族の物語なのだと思う。

大きな事件を題材にしながら
奇をてらわず、じっくりと役者の表情を追っていくような描き方には
静かな怖さを感じた。

マッド・デイモンの寡黙だが冷徹になりきれない様子がいい。
アンジェリーナ・ジョリーの奔放な娘から、疲れた女に変化していく様子がいい。
エドワード(マッド・デイモン)の片腕として働くレイ(ジョン・タトゥーロ)のあまりの怖さには泣きたくなった。
ウイリアム・ハートはやっぱりうさんくさいし
「善き人のソナタ」や「マーサの幸せレシピ」のマルティナ・ケディックがドイツ人秘書役で出ていたのも
嬉しかった。

3時間弱の長尺で、行き来する時制に時々苦しみながらも見応えのある映画だった。
ディカプリオの代役?とか訊いた気がするけど、これはマッド・デイモンが適役だったんじゃないかと思う。
マッド・デイモンの息子の役をやった彼。。名前は知らないけど(爆)
どこか気の弱そうな、いつも人の顔色を伺ってるような様子は、ああいう秘密の多い家庭に育つと
なるほど、こういうふうな男の子になるのかなぁ~と思いつつも。。
ちょっとCIAから声がかかるような優秀な子に見えなかった。。かな。

もし観にいくなら
いつものことながら(苦笑)少し予備知識があったほうがいいかもしれない。
少なくともFBIとCIAの違いぐらいは知ってたほうがいいかも。(え?常識なんですか?/汗)
それから、「おじさん」の見分けがつけられない方は絶対苦しむと思いますので(笑)
ご注意ください。










 






 


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