ビター☆チョコ

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新居をかまえましたので
お近くにお越しの際はお寄りくださいませ。

モンスーン・ウェディング(DVD観賞)

2008-07-12 | 洋画【ま】行

インド、デリー。バルマ家の家長ラリット(ナジル・ラディン)は苛立っている。
可愛い一人娘のアディティ(ヴァソンダ・タス)の結婚式が迫っているのに、準備がなかなか進まないのだ。
口先ばかりで仕事を進めないウエディングプランナーのデュベイ(ヴィジャイ・ラーズ)にハッパをかけながら、ひとりイライラする日々だ。
ラリットのイライラなど関係なく、世界各地に散らばったバルマ家の親戚達が結婚式のために集まってきた。
お祝いムードが盛り上がるなか、当の花嫁は浮かない顔だった。
実は。。アディティが親の薦める相手とあっさり結婚することにしたのは、長く続いた不毛の恋に決着をつけるつもりだったからなのだ。

レンタルビデオやさんをウロウロしてると
なんの予備知識もないのに、なぜか
心惹かれるものに出会うことがある。
この「モンスーン・ウェディング」も、そんなひとつだった。
なんたって、題名が素敵じゃない?

う~ん、しかしなぁ。。インド映画ってどうよ。。
踊って踊って無駄に踊りまくる。。みたいな(爆)イメージがあって、
なかなか借りるところまではいかなかったものなのだ。
でも、よくよく見てみると、ミーラー・ナイール監督作品だ。
少し前に、この監督の「その名にちなんで」を観て、それがすごく良かったので
やっと、と言うか、ついに借りる勇気?がでてきたのだった。

物語は
三日三晩、盛大な宴が続くというインドの富裕層の結婚式で繰り広げられる

まるで結婚式という名の熱帯低気圧に巻き込まれるように集まってきた
バルマ家ゆかりの人々。
世界のあちこちに散らばっていても
ひとたび集まれば、その結束は固く、一族の間にはなにも隠し事などないように見える。

しかし、パルマ家の家長のラリットは、裏では結婚式の資金繰りに苦労してるし
花嫁は不倫相手に会うために、夜中、こっそり家を抜け出す始末だ。
花嫁の従姉妹のリアにもなにか秘密があるらしい。
熱帯低気圧は、かなり大きな波乱を呼びそうな気配なのだ。

不倫の恋、別れ、そして新しい恋。
一目惚れの恋。
一途に思い続ける恋。

親子の気持ちの行き違いもある。
守っているつもりで、守りきれずにいたこともある。
幼い頃受けた傷を、ずっと引きずったままの娘もいる。

集まった人々の、様々な想いが
マリーゴールドの黄色や、ゴージャスな赤や白の衣装に彩られながら描かれていく。

不倫の恋は暴風雨と共に消え去り
暴風雨は、ずっと隠されてきた秘密も暴き出す。
そして、結婚式のクライマックスに降る激しい雨は
そんないろいろなものを洗い流して、すべて許してるような優しい雨だった。

雨の中で踊り、歌う結婚式。
三日三晩を共に過ごす儀式は、一族の結束を強め、夫婦の絆を確かめ、
それぞれの生き方を改めて問うために必要なものなのかもしれない。

とっても幸せなエンディングだった。
一緒に優しい雨に打たれてるような清々しさがあった。






                                                                  


マイ・ブルーベリー・ナイツ

2008-03-28 | 洋画【ま】行

彼氏に二股かけられて失恋したエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、失恋の痛手から立ち直れないでいる。
元カレの家の近くのカフェに立ち寄ったエリザベスは、オーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)との会話とジェレミーの作ったブルーベリーパイに慰められ、毎晩通うようになる。
それでも、エリザベスの心は別れた恋人をあきらめられない。
ある日、エリザベスは別れた恋人が住むNYを出て、あてのない旅に出る。

毎晩通ってくるエリザベスを、いつの間にか心待ちにするようになったジェレミーは、突然のエリザベスの旅立ちに驚く。
彼もまた、過去に夢に破れ、恋人に去られた苦い思い出を引きずっていたのだった。

エリザベスの旅はメンフィス、ラスベガスと続いていく。
立ち寄った土地で働きながら、様々な人と出会う。
そして、自分の近況を綴った手紙をNYのジェレミーに送り続ける。

すれ違う気持ち。
伝えられない思い。
人を信じること。
長い旅で出会った人々がエリザベスにいろんなことを教えてくれた。

他人は鏡のような存在で、自分を映すための手がかりだと感じたエリザベスは
自分が何を、誰を一番必要としてるのか気がつくのだった。
帰るべき場所を見つける。
そしてエリザベスの旅は終わる。

フライヤーを初めて見たときから、心惹かれていた。
なんて素敵なキスシーン♪
このシーンを見るためだけに映画館に足を運んだ。。と言ってもいい。

旅をすることで、自分を見つめなおす、という、ロードムービーの王道パターンなのだが
ちょっと違うのが旅するのが女で待つのが男、ということかな。
全体を包み込む、ほろ苦くて甘酸っぱいムードは
ワタシの中にかすかに残っている乙女心を著しく刺激する。

時々にじんだようにも感じられる独特な色彩。
話し声までスモーキーヴォイスな歌姫、ノラ・ジョーンズが、
映画初出演とは思えないほど、どこか素朴で垢抜けない女の子エリザベスに、ぴったりとはまっていた。
歌っていうのは、演技でもあるんだね。きっと。
ノラ・ジョーンズの歌を聴くときは、今度は演技者としても聴いてしまうかもしれない。

素朴なノラと対照的なのがレイチェル・ワイズとナタリー・ポートマン。
美しさに貫禄が加わったら、これはもう。。ただ見とれるしかない。
ジュード・ロウも素晴しい。
美しい男は何をしても美しいけど、働く男ほど美しいものはないかも。
こんなカフェがあったら、失恋してなくたって通いつめてしまうに決まってる。

メールや電話があたり前の世の中で、
一方通行の手紙だけが二人を結ぶ、というのは
あまりにもまどろっこしいような気もするのだけど
離れてるからこそ見えるもの、募る想いというものも存在するのだろう。

旅は帰るところがあるからするのだと思う。
待ってる人がいるからこそ旅立てる。

自分では、気がつかなかったかもしれないけど
旅立つことを決めたエリザベスは
その時、ちゃんと自分が帰る場所を知っていたのだ。
ただ、時間が必要だっただけ。

おかえり、のキスは、ブルーベリー・パイのように甘酸っぱい。



















マイティ・ハート 愛と絆

2007-11-26 | 洋画【ま】行

2002年、パキスタン。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記者、ダニエル・パール(ダン・ファターマン)は、パキスタンでの最後の取材に向かった。
翌日には同じくジャーナリストの妻マリアンヌ(アンジェリーナ・ジョリー)とパキスタンを出国するはずだった。
身重の妻を気遣い、いつもと同じように出かけたダニエル。
しかし、ダニエルの消息は途絶えてしまう。

実際にパキスタンで起こった誘拐事件の真相を、誘拐された記者の妻であるマリアンヌが後に綴った
「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」を映画化したものである。

制作がブラッド・ピット
そしてヒロインのマリアンヌをアンジェリーナ・ジョリーが演じるとなると
やはり期待は高まる。。。。。が。。
なんとなく。。中途半端な感じがするのだ。

物語はドキュメンタリー風に
時間の流れに沿って語られる。
ダニエルが消息を断ち、それがテロリストによる誘拐だということが明らかになって
パキスタン政府、FBIが捜査を始める。

誘拐の背景にはパキスタン・インド・アフガニスタンの複雑な状況があるらしい。
中東問題(パレスチナ・イスラエル)も微妙に影響してるらしい。
全てを「らしい」で済ませるしかない自分の無知と理解力のなさが情けないのだが
とにかく、私のような普通のオバサンが一生懸命にストーリーの展開を追いかけてつかめるのが、
やっとこの程度なのだ。

映画には娯楽だけでなく
実際にあったことを伝えるという役目もあるのではないかと、常日頃思っている。
社会派の映画として
広く、この事件の真実を伝えたいと思ったなら
あまりにも説明不足、とも思えるし
逆に、欲張って広くつめこみすぎた感もするのだ。

題名から想像するように
夫婦の愛と絆を中心に描くとしたら
もう少し、二人のジャーナリストとしての姿を見せるべきだったのじゃないだろうか。
ダニエルとマリアンヌが、ジャーナリストとしてなにを伝えようとして

この危険な地域に滞在していたのか、私にはよくわからない。
身重の妻とユダヤ教徒でアメリカ人の夫。
どちらもこの土地ではリスクが大きすぎる。
半端な覚悟ではできないことだ。

ダニエルの消息が途絶えてから、30日間という長い日を
マリアンヌは気丈に待ち続けるのだが
その気丈さを支えるものは、夫婦の愛情だけではなく
ジャーナリストの夫への尊敬と誇りがあったはずなのだ。

この夫婦が、どれだけ情熱をかけて仕事をしていたのか、
危険なパキスタンという国に、こだわり続けたのはなぜなのか。
仕事への情熱が、きっと同じ仕事をする夫婦の絆をより強いものにしたはずなのに
一番大切な部分がない。
だから、アンジェリーナ・ジョリーの熱演も
どことなく、浮いた感じがしてしてるように感じた。
悲しいんだろうな。。。ということは分かるのだけれど
フィルターがかかったように遠くの出来事にしか見えない。
見えてはいるけど感じない。

事実を忠実に伝える。
人の気持ちをちゃんと受け取る。
面と向かって話しても伝えきれないものなのに
それを映画で、
誰にでも分かるようにというのは
とてもむずかしいことなんだと思う。


ミス・ポター

2007-09-18 | 洋画【ま】行

舞台は1902年のロンドン。
今もなお世界中で愛されている、青いジャケットを着たうさぎ、ピーター・ラビットが人々の前に姿を現そうとしていた。
ピーター・ラビットを世の中に出そうとしてるのは、ビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガー)。
ビアトリクスにとって、ピーター・ラビットやその仲間達は、単に想像の中の動物ではなく
幼い頃から遊び親しんだ、仲良しの友達なのだった。
 やっと出版にこぎつけたビアトリクスに、新米の編集者、ノーマン・ウォーン(ユアン・マクレガー)は親身になって協力する。
ノーマンもまた、ビアトリクスの描くピーター・ラビットの世界に深く魅せられていたのだった。
二人の間には、信頼だけでなく、愛情も育っていった。

まだ女が仕事を持つことなど考えられなかった時代です。
その中で、裕福な家の「お嬢様」として何不自由なく暮らしてきたビアトリクスが
アーティストとして生きていくために動き出します。
なぜ、彼女の描く世界が何年たっても色あせることなく誰にでも受け入れられるのか。
映画を観て、少し分かったような気がします。

幼い頃からの夢を持ち続け、その創造力を童話へと昇華させていくビアトリクス。
その過程では楽しいことばかりではなく、両親との気持ちの行き違い、
やっと巡り逢えた最愛の人との突然の別れ、がありました。
辛い時、哀しい時に、彼女の慰めになったのは、彼女が描くピーター・ラビットたちでした。
ピーター・ラビットの物語は夢や情熱や哀しみまで詰め込んだ
「ビアトリクス・ポター」のすべてだったのです。
その素直な情熱や夢が、いつまでも色あせることなく読者を魅了し続けるのかもしれません。

やがてビアトリクスは幼い頃から親しんだ湖水地方に移り住み、美しい自然を乱開発から守り抜きます。
そして、それは現在のナショナル・トラストに受け継がれて
今も、湖水地方は、ビアトリクスが過ごした頃の姿をとどめているようです。

観てる間中、鼻の奥が何度もツンとしました。

ビアトリクスはとても優しい女性です。
優しいだけじゃなくて、とても強い。
ちゃんと自分の価値観を持っている女性です。

まだ封建的だったこの時代。
女にとって、「年齢」というのは、とても大きなプレッシャーだったと思うのです。
仕事を始める時
やっと人生を共にしたいと思う人が現れたとき
きっとプレッシャーを感じてる女は急ぐと思うのです。

でも、彼女はちゃんと時期が来るのを待つ強さがある。
そして、その結果、どんなに哀しい出来事が起こっても
ちゃんと自分で立ち直っていく術を持っている女性です。
何かと時間に追いまくられ、先を急ぎがちな「今」と比べて
「待つ」ということに強さと美しさを感じました。

「待つ」というのは、どんなに信じていてもつらいことです。
「待てる」のは
自分の軸がちゃんとしてないとできないことだと思うのです。

ビアトリクスとノーマンの思い出の曲が



エンドロールで再び流れた時
今まで鼻の奥でツンとしていたものが、どっと涙になって流れました。



When You Taught Me How To Dance    Katie Melua

美しい湖水地方の風景と
この歌声が、しばらく忘れられなくなりそうです。









 








 


マリー・アントワネット

2007-01-21 | 洋画【ま】行

オーストリアとフランスの同盟のために
14歳でフランス王太子妃となったマリー・アンワネット(キルスティン・ダンスト)。
彼女の美しい容姿はフランス中の評判となるが、夫とは長い間打ち解けないままだった。
何をするにも衆人環視の環境と、いつまでも世継ぎを産めないプレッシャーから、
彼女は贅沢と享楽に安らぎを求めていく。

豪奢な衣装の数々。
キュートな靴。
食べるのがもったいないほどの美しいお菓子たち。
そして、まばゆく輝く宮殿のインテリア。
スクリーンの中は、まるで美しい色の洪水のようです。
贅沢というのはこういうものなんだ。と思い切り見せ付けてくれます。

でも、何かが足りない。
それは何なのか。
豪華なスクリーンを見詰めながら、ずっと考えてしまいました。

14歳の甘やかされて育ったハプスブルク家の末娘が、故国のために見知らぬ国に嫁いできます。
周囲の目は好奇心に満ちています。
その中で彼女が求められたのは「世継ぎ」を産むこと。
自分ひとりの力ではどうにもならないことをあからさまに期待され、彼女は傷ついていきます。
傷つき、贅沢に癒しを求め
18歳でフランス王妃になり、念願の子供を産みます。

子供を産んでからは夜遊びよりも、田舎暮らしに癒しを求めます
その田舎はかなりお金をかけて作られた田舎、プチトリアノンは彼女の夢を形にしたものだったのです。
彼女の夢はフランス国民を痛めつけ
国民の怒りが頂点に達した時、彼女は夫と運命を共にすることを決めるのです。

私が足りない、と感じたのはここだったのかも知れません。
マリーアントワネットが傷ついた一人の普通の女性だったことは良く分かるのですが、
夫以外の男性と恋に落ちた彼女が、
あの革命の火が燃え上がったときに
夫と運命を共にする決意をするのが唐突すぎる気がしたのです。
そのあたりが急展開すぎました。

マリー・アントワネットというひとりの女性を描くなら、
その心の変化がヤマになるのではないかと思うのです。
傷つき、葛藤しながらも、最後は自分の立場を自覚したのか。
あるいは夫との間に強い信頼関係があったのか。
そんな心の変化や成長をちゃんと見せて欲しかったような気がしました。

ベルバラ世代ですから、ちょっと辛口は仕方ないですね(苦笑)
いないのは分かってるのですが、どこか頭の隅でオスカルとアンドレを探していましたもの(苦笑)

映像の美しさと使われた音楽の斬新な感じは、かなり楽しめました。





麦の穂をゆらす風

2006-12-08 | 洋画【ま】行



1920年、イギリス圧政下のアイルランド南部のコークという町。
医師を志すデミアン(キリアン・マーフィー)は、ロンドンに発とうとしていた。
しかし、突然現れた、イギリスから送り込まれた武装警察、ブラック・アンド・タンズによって
友人を惨殺されたことをきっかけに、アイルランド独立のために義勇軍として活動する決意をする。
義勇軍のゲリラ戦はついにイギリスとの停戦にこぎつけるが、
そこで結ばれた講和条約はイギリスの影響が色濃く残ったものだった。
講和条約の賛否をめぐって、争いはアイルランド国内の内戦へと変わっていく。
それは、祖国の独立のために力を合わせたかつての同胞との戦いなのだった。

麦の穂をゆらす風。。。アイルランドで古くから歌い継がれる歌だそうです。
詩情あふれるタイトルとは対照的に、物語はあまりにも重苦しいものです。

イギリスと聞けば、紳士の国。ビートルズ。シェイクスピア。ベッカム。バッキンガム宮殿。ピーターラビット。マザーグース。
たくさんのことが連想できる。
かなりプラス方向のイメージで。
しかし、この映画で描かれるイギリスの圧政には思わず顔をゆがめたくなる。
支配する国の文化や言語まで徹底的に取り払おうとする。
イギリスに限らず「支配する」というのは、そういうことなのだ。

そんなイギリスからの700年の支配から抜け出すために戦うアイルランドの若者達。
人の命を救うために医者を志したはずの若者が、
神学校で学んだ青年が、武器を手にしたとき、その手は人の命をいとも簡単に奪っていく。
どのようなりっぱな大義名分があっても暴力は暴力しか生まないのだろう。

でもアイルランドの若者達が心から自由を願った時、ほかにとる方法があったのだろうか。
表向きはイギリスの支配を解かれたあと、争いは国内へと向かっていく。
兄と弟が、幼馴染が、敵味方として殺しあう無間地獄だ。

そうして、そんな植民地支配がもたらした内戦は、今でも世界の各地で起こっているのだろう。
この間観た「ホテル・ルワンダ」でもその内戦の元になったのは植民地時代の悪政だったし、
植民地支配ではないにしてもイラクの問題にも似たような匂いを感じてしまう。
歴史は語り継がれても、その悲惨な過去の出来事から学ぶことってできないのだろうか。

主演のキリアン・マーフィーもアイルランドのコーク出身なのだそうで、
おじいさんがとか近しい人がこの内戦を経験しているらしい。
自分の近しい人が戦った時代を演じるというのは、特別な想いがあるのではないだろうか。

客観的に観ると、「いったい何のために殺しあってるんだ。」と思ってしまうのだが、
渦の真ん中にいる人にとっては、自分たちの主張こそが正しくて周りが見えない状況なんだろう。
それが戦争の恐さなのだろうけれど。


 


マッチポイント

2006-09-14 | 洋画【ま】行



元プロテニスプレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、コーチを務める高級テニスクラブで資産家の息子トムと知り合う。
野心家のクリスはトムの妹のクロエとの交際をきっかけに、上流社会への仲間入りをしようとする。
しかしクリスの心は、トムの婚約者で女優の卵のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に強く惹かれていく。
自分の気持ちを偽って、クロエと結婚するクリス。

トムとノラは破局。
ノラはクリスの前から姿を消してしまう。
切れたかに見えたクリスとノラを結ぶ糸だったが、思いがけなく再会した二人は。。。。


映画はテニスコートから始まる。
勝負を決める大事なボールがネットにあたってしまう。
ボールがどちらのコートに落ちるかで勝負は決まってしまう。
最後は運。
誰を恨むことも出来ない。

ここで、すでにウディ・アレン監督の罠にはまってしまった。
ここにさりげなく仕掛けられた罠は最後に威力を発揮する。
おまけに私ときたら罠にはまっただけでなく、勘違いまでしてしまった。
「テニスプレイヤーの悲恋物語」だと。
ところが進むにつれ、出てくる人間が誰も彼も嫌なやつばかりで悲恋物語もいつの間にか泥沼化。
「不倫物か」と思った矢先にサスペンスに変わる。

どんな映画にでも、たとえ悪役でも魅力的な登場人物がいるものなのだが、
今回は見事に見当たらなかったような。
人間の持つ「黒くて嫌な部分」をクローズアップして見せてくれたのでしょうか。

ノラとクリス。貧しく育った二人が、とにかく成り上がろうとしてやっとその手がかりをつかむ。
しかし、憧れ続けた上流社会の中では居心地の悪さを感じている。
そんなときに出会った二人は瞬時にお互いの中に「同じ匂い」を感じたのだろう。
人目を避けて会い続けるうちに、同類だったはずの二人の境遇はどんどん変わっていく。
流されるままのノラと
流されながらも、自分の地位だけは手放すまいとするクリス。
二人の明暗を分けたのは握力の強さなのか。
その握力の強さを「運」と呼ぶのだろうか。

それにしても、この結末を「運」で片付けてしまっていいものなのだろうか。
最後に観客席からもれたどよめきのようなため息のような声。
これをウディ・アレンが聴いたら嬉しいだろうなぁと思ったりして。

結局、一番運が強かったのは誰だったのだろう。
クリスだろう。とは思っても、この先のクリスの人生を考えるととても幸せとは思えない。
心の底に絶対消えることのない罪悪感を抱えて、妻の一族の顔色を窺いながら暮らす一生。
彼が望んだ生活とはいえ、
最後に映し出された彼の顔は、まるで「運に見放された男」のように情けない顔だった。



マイ・プライベート・アイダホ

2006-07-06 | 洋画【ま】行


マイク(リヴァー・フェニックス)は父の顔を知らない。母にも捨てられ、男娼として街角に立ち生活している。
スコット(キアヌ・リーブス)もそんな仲間の一人だが、彼は名家の御曹司で21歳の誕生日には父の財産を引き継ぐことになっている。
間近に迫った誕生日をきっかけに、今の生活から足を洗おうと考えている。
同じような生活をしながら、全く境遇の違う二人。
コレプシーという突然深く眠ってしまうという病気を抱えたマイクは、将来に思い描く夢もなにもない。
ただ深い眠りに落ちる寸前に見る母の残像と現実の間をさまようだけの日々だ。
そんなマイクだったが母親の消息を求めてスコットと二人、故郷のアイダホに向かうことになる。
二人の旅はアイダホからイタリアへ。
そしてこの旅が二人の進む道を完全に分けてしまうことになる。



10年以上前、リバー・フェニックスの死をテレビのニュースで知った時は大きな衝撃を受けた。
少し前に、この映画を観たばかりだったから。
受けた衝撃の大きさとは別に、リバーの突然の死を納得してしまっている自分がいた。
この映画の中のマイクのガラスのような繊細さや雲のような現実感のなさが、あまりにもリバーにはまりすぎていて、「大人になって世慣れたリバー」を想像できなかったのだ。
そして本当にリバー・フェニックスは少年のまま胸の中に残ることになってしまった。

それからずっとリバーに会うことはなかったのだが、
昨日レンタルビデオやさんで何気なくDVDを手にしたら、焚き火のシーンがよみがえって思わず借りてきてしまった。

リバーが脚本を書いたというシーンは
あまりにも美しく、飾らない言葉が真実を感じさせる。
あたりは闇。
焚き火のはぜる音とマイクの静かな声。
マイクの思いを拒絶はしないが受け入れないスコット。
旅は始まったばかりだけど、二人の道はここではっきりと分かれてしまったのだろう。

映画と現実を重ね合わせても仕方のないことだけど、
実生活でも親友だったというリバーとキアヌ。
若くて残酷で危うくて美しい二人。
その二人のその後を考えると、なんだかこの映画が二人の分岐点だったような気がしてしまうのだ。



Mr.&Mrs.スミス

2005-12-07 | 洋画【ま】行
             
ジョン(ブラット・ピット)とジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)は旅先のコロンビアで出会い,電撃結婚する。
実はこの二人,対立する組織の殺し屋なのだが,お互いの正体は知らない。
結婚後5~6年が過ぎ,ある事件からお互いの正体を知った二人は,相手を消し去る任務につくことになる。


いやぁ~すっきりした。
観る前から着地点もわかってるんだけど,そんなこと関係ない。
ただただゴージャスなカップルに惚れ惚れして,派手なアクションシーンにあんぐり口を開いてるだけ。
とにかく二人は不死身。
あれだけ派手に爆発するし,撃ち合いするし殴りあって,かすり傷だけってどうよ。。。って思っても
それはそれでおいて置こう。
アクションシーンだけでなく
ジョンのおまぬけ振りやジェーンのかっこよさと美脚もかなり楽しめる。
二人が踊るシーンなんか,頭クラクラするほどセクシー
踊ると言えば,「リバーランズ・スルー・イット」もブラピのダンスシーンがあって,
あのダンスシーンもかなりセクシーでクラクラした
もしかしてブラピってけっこうダンサー?

私生活の二人にまつわる色んなうわさも頭にあるものだから
役柄と現実が頭の中で重なってしまって大変。
実は役柄の名前が思い出せなくて,帰ってきてから調べちゃいました(笑)
二人がほとんど出ずっぱりだし,他に出演者いたかなぁ?と思うほど,
「ブラピ&アンジー」二人による二人のための映画でした。
何かとあわただしい年末。
すごくいい気分転換になりますよ。





モーターサイクル・ダイアリーズ

2005-10-01 | 洋画【ま】行
他のお店の事は知らないが,
私が通うレンタルビデオ屋さんでは会計のとき忠告してくれる。
「複数回お借りになってますがよろしいでしょうか?」
初めて言われたときは「え?」と思ってから
「おばちゃんだけどまだ呆けてないよっ!」と心の中で悪態をついた。
最近は慣れたけど,あんまりいつも言われると「買ってしまったほうがいいかな?」と思ってしまう。
今日も仕事帰りにいつもの忠告を聞きながら借りてきてしまった。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」
革命家ゲバラの原点の物語。
美しく厳しい南米を旅しながら,貧しい人や病気の人々と出会い,自らの進むべき道を見つける物語。
どこに惹かれるのか。
特に大事件が起こるわけでもないが,一つ一つの人との出会いが静かに心にしみてくる。
最後に,旅の途中で出会った人々のモノクロ写真が次々に映し出される。
普通の働く貧しい人々だ。
何度観ても,ここで涙。
もしかしたらこのモノクロ写真が強烈に私をひきつけるのかもしれない。

それから,ガエル・ガルシア・ベルナル。
(深くて力強い瞳をしてる。ちょっとアヒルっぽい唇がキュート。)
旅の最初のちょっと弱っちい医学生から,最後は見事に未来の革命家の顔に変化している。

やっぱり買おうかな。。。