ビター☆チョコ

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ワールド・トレード・センター

2006-10-08 | 洋画【わ】行



2001年9月11日、ニューヨークの朝はいつもと同じように始まった。
街が目覚め人々が動き出した頃、悪夢は起こった。
ワールド・トレード・センターに飛行機が衝突したのだ。
原因はなんなのか。この想像を絶する惨事の中で自分が何をすべきなのか。
誰にも分からないまま、警察官、消防署員は現場に急行する。
港湾警察署のベテラン巡査部長ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)も部下を連れ、ワールド・トレード・センターに取り残された人々の救出に向かう。
しかしビルは崩壊しジョンは部下のウィル・ヒメノ(マイケル・べーニャ)とともに瓦礫の下に生き埋めになってしまう。

先に公開になった「ユナイテッド93」が乗客一人ひとりの感情を追うことなく、その場で起こったことだけにスポットを当てたのに対して、
「ワールド・トレード・センター」では、生き埋めになった二人が救出を待つ間に心の支えにした家族にスポットを当てている。

時に襲う絶望感と恐怖。
生き埋めになった二人と、二人の安否を気遣う家族は場所は違っても同じ痛みを味わっていたのだろう。
励ましあいながら生き抜いた二人の影には、助かった二人と同じように救出を待ちながらも息絶えた人。
恐怖を感じる間もなく亡くなってしまった3000人近い人がいる。そのことを思うとき、涙が止まらなかった。

映画の中ではテロのことには一切触れられていない。
ただその日の惨事に力を合わせて命を救おうとした人々が描かれているだけだ。
しかし、この惨事が意図的に行われたものだと知ってる私達には、
自分を犠牲にして人を殺そうとしたテロリストと、自分の命の危険を顧みずに人の命を救おうとした人々。
どちらが人間として尊い行為なのか。ということを感じることが出来る。
人を救うために任務の枠を超えて集まった人々。
そして強い家族の絆が、薄れそうになる二人の意識に神として表れ、二人を救ったのではないかと思う。

昨日は娘も友達と観てきたらしいのだが、感想を聞いたら
「う~ん、思ったより淡々としてたね。予告編のほうが感動的。」
というわりと冷めた感想が出た。
「生き埋めになるぐらいなら、一気に死にたい。」とも言う。

そうだね。そのほうが自分は苦痛を感じないと思う。
でも、守るべきものを持った人間は、残していくものにせめて人づてにでも自分の言葉を託したいと思うものだと思うよ。
残されたものが、あれこれ推測して後で苦しまないようにしてから逝きたいものだと思うよ。
あなたはまだ若くて、自分が守りたいものを持っていないのかもしれない。
「守る」ということは時に「重い」ものではあるけれど、ちゃんとその重さを背負って歩いてもらいたいというのが親としての願いです。

アメリカはこの惨事で失ったものも多いけれども、薄れ掛けていた人との絆の大切さを得た。という話も聴く。
なにか災害や事故が起きたときに人の絆の尊さを感じるのではなく、日々それを忘れることなく生きなければいけないのだろう。
それは世界のどんな場所であっても同じだと思う。