ビター☆チョコ

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フラガール

2006-09-27 | 邦画



昭和40年、炭鉱の町福島県いわき市。
時代の変化とともに日本中の炭鉱が閉山に追い込まれ、いわきの常磐炭鉱も例外ではありませんでした。
炭鉱の縮小に伴う大量の解雇は住民に大打撃を与えます。
そんななか、会社は雇用の場を確保するため坑道に噴出する温泉を利用して炭鉱の町に「ハワイ」を作ろうとします。
「ハワイ」の目玉は炭鉱の娘達が踊るフラダンス。
東京からフラダンスの先生(松雪泰子)を招いて猛特訓が始まります。

ウォーターボーイズのような、
スィングガールズのような、
そして最近のキンキーブーツのような、普通の若者達が一発逆転!きらきら輝いていく物語です。

男も女もこの町に生まれたものは何の疑いもなく炭鉱で働いてきました。
仕事には危険がつきもの。歯を食いしばって耐えるもの。
そんな考え方が染み付いてる親世代にとって、ハワイやらフラダンスやらは仕事とは思えないわけです。
それでも炭鉱の仕事が無くなれば生活出来なくなります。
若い娘っこたちのほうがずっと現実的でした。
生活のため、親のため、町のため、
そして最後には自分の人生を輝かせるためにフラダンスに打ち込んでいきます。

常磐ハワイアンセンター、今のスパリゾート・ハワイアンズが出来るまでの実話だそうなので
ストーリー的には先が読めてしまうのですが、そんなことは全然関係ありませんでした。
いつの間にか泣いている自分がいました。
泣くというよりは自然に涙が伝い落ちてくるような感じでした。
先が読めるような話をここまで魅せてくれるのは、監督の演出も良かったのかもしれませんが、
とにかく登場人物がすごく魅力的でした。

松雪泰子の気の強い先生も。
トヨエツの素朴な兄ちゃんも。
富司純子の頑固な母親も。
岸部一徳の人の良い部長?も。納得の配役でした。
そしてなにより蒼井優、南海キャンディーズのしずちゃんをはじめとするフラガールズ。
素朴な田舎娘達がフラの衣装を身に着けたときのなんと可愛らしいこと。
圧巻のフラダンスシーンでした。

東北出身者としてはいつものことながら方言も気になってしまうのですが、
驚いたことに、岸部一徳が早口でまくし立てた時、私、分かりませんでした
字幕を出してくれ~と思いました
故郷を離れて長くなったとはいえ、自分はネイティブだと思ってましたのでちょいと動揺しました。
東北といっても場所によって言葉は違うのでしょうし、ある程度映画向けに誇張されてる部分もあるのでしょうね。

それはそれとして、
すごく「常磐ハワイアンセンター」に行ってみたくなった私です。
たくさんの人たちの夢と情熱でできたものだなんて知りませんでした。
自分以外の誰かのために、町のためにがんばる。という若者が普通だった頃の日本。
そして自分以外の何かのためにがんばる。ということが結果として自分を輝かせるということ。
あの頃より生活は豊かになったかもしれないけど、それと引き換えに失くしてしまったものもあるのだなぁということを考えてしまいました。