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memorandum&curiosity

少し勘違い・・・

2006年07月30日 18時48分59秒 | legal
なんとなく忙しくて更新頻度が少ないですが(日々、出回っていれば何かしら情報があるんですが・・・)、今日は、ブログに記載しておこうと思う話がありました。

「被害届をだしたのに、警察は何もしてくれない」と嘆いている方が近所にいました。そして、いろいろ憶測が飛び交っていて、「きっと、警察も忙しすぎて、それどころじゃないのよ」と・・・。

実のところ、そうではないと思いますよ。。。

被害届を出したからといって、警察に捜査する義務が生じるのかといえば、そうではないんです。
そもそも被害届というのは、被害者が警察へ被害の届けを出すことを言いますが、それは、単に警察に場所や日時と被害状況を説明するだけの書類に過ぎません。ただし、裁判沙汰になれば、これは立派な証拠になりますし、犯人の供述書よりも十分な証拠能力を持つ可能性が高いので、決して無駄ではないと思いますよ。

ただ、警察がその被害届を受理したからといって、その事件が警察本部への報告義務をもたらすかといえば、そうではありませんので、注意が必要です。
これは、インターネットで調べた話ですが、被害届には、署長決済も不要なため、警察本部への報告義務もなく、もっといえば、担当課長が捜査を始めるかどうかを判断することが多いそうなので、被害届を提出したからといって、犯人が処罰されることにはなりません。

話を分かりやすくするために、事の経緯を説明しますと、食事をするため焼肉屋さんへ出かけたところ、焼肉屋さんが混んでいた為、その焼肉屋さんの駐車場で待機していたそうで、そのときに、因縁を付けられたそうで、車のフロントガラスを犯人に割られたのが事件のあらましです。

つまり、これは、器物損壊罪(刑法261条)で、3年以下の懲役にもなり、りっぱな犯罪行為になります。警察の人手の問題ではありません。被害者が告訴をすれば、警察は動くことになります。
問題は、器物損壊罪は、親告罪という枠に入りますので、被害者等から警察で、「犯人を検挙して欲しい」という旨を伝える必要があります。

※ 親告罪とは、告訴がなければ、公訴を提起することができない罪をいいます。

この親告罪という制度は、被害者が望まない犯罪行為に対する犯人検挙という事件もあることに配慮された制度だと理解しています。
たとえば、性犯罪の事件については、被害者は、裁判官の前で思い出したくも無い事件状況を再度、説明するという苦痛をもたらし、そらならば、忘れることへ努力の時間を費やそうと選択権があり、無条件で公権力が事件に介入できないようにした制度なんだと理解しています。
ちなみに、殺人事件などは、「非」親告罪で、無条件で警察が動くことになると思います。

いづれにせよ、告訴は、被害届とは違い、警察内部とどまることなく、検察庁まで達するので、警察が動かないということはありません。もしあれば、大問題です。(ここ最近の岩手県警の不祥事をニュースなどで耳にしますが、それと同様の問題になると思います)

どうしても、犯人を罰して欲しいということであれば、告訴が重要になると思います。

※ 告訴とは、被害者もしくは、その法定代理人等が捜査機関に対して、犯人検挙の意思があることを申告することで、第三者が申告する場合は、告発といいます。

共謀罪 (途中経過その2)

2006年05月11日 23時14分08秒 | legal
共謀罪法案の議論がなかなか難航しているようですね。現在の問題点は、どんな団体、組織に適用するのか?さらに、共謀の「謀議」は、どの範囲で成立を認めるのか? 

以前、私自身が心配していた、「中止犯」の部分は、どのように扱われるのでしょうか?
いろいろ心配の種はありますが、日本の国民にとって利益のある成果と過程を望みます。
というのも、ここのところ、政争目的で議論が滞るようなことは困るなぁ・・・なんて心配性の私は考えてみたりもしているからです。

いずれにしろ、国連総会で2000年に採択された「国際組織犯罪防止条約」では、共謀罪の設置を義務付けられています。そして、119ヶ国が批准、締結しているわけで、そのなかで、日本も条約に署名しています。
条約では、「4年以上の懲役・禁固に当たる罪」を対象としていて、かつ、「国際的犯罪に限定しない」となっています。野党の「5年以上の懲役・禁固に当たる罪」、「国際的犯罪に限る」という厳しい条件では、条約締結違反になるのでは?とヤキモキします。その反面、適用対象が、「組織的犯罪集団」というところは納得できるのですが・・・。やはり、拡大解釈は、国の横暴になる危険性をはらんでいますから・・・。ディテールについては、議会でがんばってもらうとして、テロや犯罪組織撲滅という国際共闘のなかで、日本が足を引っ張るようなことだけは避けて欲しいと思っています。

憲法95条(特別法の住民投票)

2006年03月13日 20時09分08秒 | legal
岩国住民投票 米軍移駐「反対」9割 政府、日米合意を優先 (産経新聞) - goo ニュース

これは、「国会単独立法の原則」の例外となるものの一つでした。
そして、憲法上規定のある国民投票制が三つ存在するうちの一つでした。

※三つ存在する国民投票制とは・・・①最高裁判所裁判官の国民審査(憲法79条2項) ②憲法改正国民投票(憲法96条) ③地方特別法住民投票(憲法95条)

住民投票は滅多にみることがないですが、岩国住民投票は強いインパクトを持って自分の記憶に残るでしょう・・・

今回の住民投票で少し気がかりなのは、国の安全保障について日本国民全体の意思が反映されなかったこと(今回の住民投票の結果を無視する趣旨ではないです)に違和感がありました。
しかも、ニュースで知りましたが、1週間後には合併する岩国市で数千万円の費用をかけて住民投票する姿勢には、良くない事を連想させます。合併することにより新しく市長選挙を行うわけですが、旧岩国市長が再度候補者になるということは大衆迎合なのでは?(これは、旧岩国市長さんが立候補した前提で言いました)と思います。
そして、住民投票というのであれば、新しく合併して編成される市民に住民投票権が権利として与えられなかったことへの不満も感じます。

日本の安全保障という国民の安全を考えて議論するならば、やはり国会議員の方たちに議論していただくほかないと思います。そして、国民はその国会議員さんを選挙できる権利があるのですから・・・

憲法51条(免責特権)

2006年03月07日 01時31分14秒 | legal
記憶の混乱が起きたときに、記憶を整理し直すわけですが・・・。そのときに意外と重宝するのが実際にあったニュース(しかも、インパクトが強ければ強いほど助かります)などを思い浮かべて記憶さえすれば、安定した記憶の定着になります。

具体的に、国会には両院協議会というものがあります・・・このとき、ある議決は必要的両院協議会だったか?任意的両院協議会だったか? どうしても思い出せないことがしばしばあります。(私だけかもしれませんけど・・・)
そんなときに、「法案の議決」はどちらだったか? と記憶の混乱が生じたときに、実際のニュースである小泉総理が掲げた「郵政法案」を思い出せば、答えが出てきます。
あの頃、自民党は衆議院議員総選挙を圧勝した後2/3以上の議席を獲得し、仮に参議院で否決されたとしても、再議決で郵政法案は通過するというニュース記事を思い起こせば、法案の議決は、任意的両院協議会ということがハッキリと分かります。
(ちなみに、それ以外の「予算の議決」「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」については、再議決という制度がないため必要的両院協議会となります)

これに派生して、「郵政解散」という名の衆議院の解散についても、内閣は憲法69条(内閣不信任決議)による解散は認められているのは良しとしても、憲法69条を前提としない解散が内閣の権能として認められるものなのか?という「議院内閣制」においての①均衡本質説 を採るのか? ②責任本質説 を採るのか? いったいどちらなのか?・・・

※均衡本質説は、議会と内閣の対等性を重視して内閣に解散を認めるという説
※責任本質説は、内閣の存立は議会の信任に依存しているため、解散権が無くても成り立つという説

これについても、小泉総理が「郵政解散」を行ったことが記事になったおかげで、①均衡本質説 が主流の見方なんだろうと記憶できます。(私にとっては豪華な教材です)
ちなみに、均衡本質説(解散権を認める)のメリットとして、「郵政解散」でいえば、郵政民営化は賛成か?反対か? 国民に選択権ができたということで、国民の意思に近づけようとしていたことが伺えます。


そして、今回はというと・・・永田議員が衆議院予算委員会の場において、一般市民の方の名誉を毀損するような発言をしたことについて、なぜ無答責なのか?

それは、憲法51条で保障されている国会議員の免責特権というものが存在するからです。(しかし、永田議員は、記者会見などでも発言していることなどから、国会以外での発言なので、提訴される可能性が残っています)

※憲法51条では、「国会議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない」と定められています。

そもそもなぜ国会議員には、免責特権というものがあるのかといいますと、国会議員は国民を代表して国政を託されていることから、その職務を全うするため自由な発言が保障されなければなりません。そこで、憲法51条の免責特権や憲法50条の議員の不逮捕特権などが憲法で保障されています。

※憲法50条の不逮捕特権は、国会の会期中逮捕されないことを保障されています。(ただし、現行犯逮捕や議院の許諾がある場合は別です)

そこで、個人的に思いますが、憲法51条(免責特権)の趣旨というのは、国会が正しく運営されることを目的としたものと考えますと、民主党の議員さんが①「免責特権があるんだから・・・」②「若い議員ががんばったのだから・・・」③「悪事を追求したためのものなんだから・・・」というのは、全部外れている認識だと思います。
やはり①については、国会の運営を妨害しました。②については、永田議員は過去4回の懲罰動議にかけられています。(今回で5回目) ③については、これは、個人的な見解でメール問題が解明されるまで発言を控えようと思っていましたが、永田議員の偽装工作疑惑がある以上、さらには党ぐるみの可能性もある以上開き直って51条を振りかざすのは奇妙に見えます。
(もちろん、そのために憲法58条の懲罰動議が存在していますけど・・・)

政策をぶつけて論争することを望んでいる国民にとって、スキャンダルで政権交代を考えた戦略にどうしても同意できません。
(前原さんの安全保障についての考え方には大賛成で、支持できる部分もあるなかで残念です)

国内のいちフリージャーナリストに騙されたと言って、被害者のように主張されてましたが・・・事実上ジャーナリストレベルに振り回されていたとしたならば、「我が党は、ホリエモンに利用されなかった」と自負していたあの党なのか?と自分の目を疑います。国外に目を向ければ、もっと手強い国々と交渉しなければならないことを考慮すると、結果重視(result oriented
)の政治において、「若い議員ががんばったのだから・・・」といういい訳をする時点でこの党は大丈夫なのか?やっていけるのか?と一抹の不安を覚えます。

共謀罪 (途中経過)

2006年02月14日 22時59分05秒 | legal
組織的な犯罪集団に限定 共謀罪で与党が修正案 (共同通信) - goo ニュース

元々、テロ防止対策として、共謀罪の法案を目指しているわけですが、一部懸念されている「犯罪の実行部隊のない市民団体や会社の人の共謀」等は、共謀罪に適用されないという修正案が出されているようです。

大方、不安視されている部分はクリアーされたのではないでしょうか? 国際社会としての世界の中の日本ということでは、一歩踏み出せたのではないでしょうか・・・。(あくまでも、法案が出そうというだけで、成立ではありませんが・・・)

中間利息控除 想定内?想定外?

2006年02月01日 21時47分30秒 | legal
不法行為等(たとえば、交通事故など)による損害賠償請求問題で意外と知られていないのが、中間利息控除の問題です。(実は自分も勉強するまでまったく知りませんでした。知らないのが普通だと思います。)

損害賠償の内容として、逸失利益、遅延損害金、慰謝料、実際にかかった経費(財産的損害)、ということになります。中間利息が問題になるのは、この中の逸失利益というところです。

※ 逸失利益とは、仕事で将来受け取るであろう収入のこと
※ 遅延損害金とは、支払期限に遅延した場合に課されるペナルティーのこと
  (交通事故を例にすれば、交通事故に遭った日からということになります)
※ 慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償のこと
※ 実際にかかった経費とは、交通事故に遭った被害者の手術費や入院費、それに伴う経費のこと

仮にみなさんが被害者の立場ならば、遅延損害金、慰謝料、実際にかかった経費等は、金額の提示された通りに支払われると思います。
問題なのは、逸失利益なんです・・・。
これは、損害賠償金のなかでも大きい金額を占めるので、被害者の自立を考えた場合に単なるお金の問題というわけにはいきません。

私が何を問題視しているのかというと、平成17年6月14日の最高裁判決で、中間利息控除が5%に決定したという事実です。
あまりピンと来ないかもしれませんが、たとえば、私の子供の頃は、コロッケが20円ほどで購入できましたが、現在では、80円くらいします。同じコロッケなのに、昔は20円で買えました。これは、昔の円と現在の円では、価値が違うことを意味しています。(私の子供の頃が何年前か言えませんが、なんとなく分かってください)

価値が違うので是正されることには、誰もが納得できると思いますが、今の超低金利時代に5%というのが、訴訟での争点なんですけど(今現在、銀行に行っても1%未満の利息が普通です)、最高裁の言い分としては、海外(特にヨーロッパ)では、5%の利率で、法定利率も5%という観点や、我が国の法定利率も5%(民法404条)という理由から決定されたようです。

私の知り合いM君を例にすると、事故当時25歳で年収360万円だったそうなので、裁判実務等では、67歳を就労可能年数としていることから、42年間就労すると算定されて、これに労働能力が50%落ちたならば、50%分を補填すると考えてから、さらに、中間利息控除を行います(実際は、ライプニッツ係数とかホフマン係数で計算されるそうですが・・・)。

金額は言いませんが、数千万引かれることになるので、びっくりします。なので、示談で提示される額から引かれるでしょうから、被害者救済とは名ばかりという気がします。

続 小田急高架訴訟

2005年12月07日 21時12分35秒 | legal
12月7日に小田急高架訴訟について判決がでたそうです。
この小田急高架訴訟というのは、騒音による被害を訴えるにあたって、誰がその権利を有しているのか?という「原告適格」の問題を最高裁が判断するという、興味のある人には気になる訴訟です。

※ 原告適格とは、裁判で違法性を問える資格のことです。

これまでは、国側の主張していたように、原告適格者は、地権者だけと限定した見解でしたが、今年の4月に行政訴訟法改正により、原告適格は拡大されました。そして実際には、どのレベルまで拡大されるのかを今回の最高裁で判断されるというわけなんですが・・・

※ 地権者とは、当該土地の所有者、借地権者、底地権者、をさします。

最高裁の判断は、上告した沿線住民40人のうち、都の環境影響評価(アセスメント)の対象地域に住む37人に原告適格を認める判決を言い渡したそうです。
(対象地域外に住む3人については、原告適格を否定して上告を棄却されたそうです)
今回ケースの内容としては、都市計画法のほかに、公害対策基本法や都のアセス条例の趣旨や目的も含めて考慮に入れるべきだとの初判断を示した内容だったそうです。

新聞記事によりますと・・・
大法廷は、原告適格の範囲を「法律上の利益がある人に限る」という基本的な考えを維持しつつ、改正法にそって様々な要素を柔軟に解釈し、原告適格を広く認める立場を示したと、一定の評価をしていました。

重畳的債務引受

2005年11月29日 01時18分04秒 | legal
最近、巷では、耐震強度偽装問題が話題になってますよね。これをニュースで知ったときは、本当に酷い話だなぁ・・・と呆れてました。

なけなしのお金をはたいて購入したマンションが震度5に耐えられないなんて知ったときの消費者は気の毒ですよね。間違いなく被害者ですよね。

何年後かにこのブログを見てもどんな内容の事件だったか忘れないために、要旨をまとめておきますと、マンション販売会社に仕事を依頼 → 建築設計事務所に設計を依頼(元受) → 下請けの設計事務所が耐震強度偽装 この間に、国土交通省による指定確認検査機関が、構造計算書等をチェックします。
このように、事件は非常に複雑になってしまいました。

本来ならば、施工業者の手抜き工事などで問題になるケースを想定していた行政もまさか、設計の段階で不法行為がなされるとは想定外だったのでは?と想像してしまいます。

マスコミは連日のように犯人探しをしていますよね。最終的には民営化が問題だったのでは?と問題波及が広がってきています。これについては、あまり感じよく思っていません。なんでも、政府のせいにして、自己満足しているマスコミにはちょっとがっかりです。民営化が失敗だというなら、車も食べ物も、消費者の生命にかかわる問題で、国営化しなければなりません。(ましてや、平塚市役所の件を考えれば、民営化は失敗という論理が説明できません)さらには、資本主義社会を全否定してしまうことになります。(そっちの方がアブナイ気がします)

話が長くなりましたが、ここまでの状況では、ブログに書きとめようとまでは思いませんでした。偽装した設計事務所も、マンション販売会社も、行政もそれぞれに責任があると思います。ところが、マンション販売会社については、非常に悪質で、許せない気持ちでいっぱいになります。(個人的には、一番責任を負って欲しいと思いました)
マンション販売会社には、瑕疵担保責任といって、契約を履行する義務が生じます。自動車会社なら、リコールになります。もちろん、対象物がマンションなので、リコールは無理だとしても、契約解除するなり、マンションを買い取るくらいの責任があると思います。そして、マンション販売会社は、マンション買取を提案したまではよかったのですが、その一文に、重畳的債務引受という文言が入れられていたそうで、この期に及んで保身するような態度は卑怯だとしか言いようがありません。

※ 債務引受には、2種類ありまして、免責的債務引受と重畳的債務引受があります。
  免責的債務引受は、債務者に代わって債務を引き受けることになりますが、
  重畳的債務引受は、債務者と引受人が連帯債務関係になります。
  つまり、マンション購入者は、マンションの所有権を販売会社に戻しますが、
  債務は残ったままということです。(最悪です)

なぜ、卑怯かと言えば、販売会社が計画倒産を考えたのならば、マンション購入者が、マンション販売会社に対して損害賠償請求したとしても、ほとんど、戻ってこないでしょうし、さらには、ローンは消えないままになり、新たにマンションを購入しようとしても、恐らくほとんどの方がローンを組めない状況になると思われます。(踏んだり蹴ったりです)

今、震度5以上の地震がきたらと思うとゾッとします。本当に気の毒です。これが氷山の一角だとすれば、不動産業界はパニックになり、景気にも影響がでます。大迷惑です。

薬事法・・・

2005年11月18日 15時36分24秒 | legal
普段生活していて、薬事法に対して注視するような場面というのは、あまりありませんよね。そもそも薬事法の目的はどのようなものなのかといいますと・・・

この法律は、医薬品・医薬部外品・化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療用具の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生上の向上を図ることを目的とされています。(少し説明が長くなりましたが)
つまり、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療用具の4種について、安全性・有効性の確保を狙いとしています。

※医薬部外品とは・・・医薬品に準ずるもの

薬事法を題材にした理由は、最近、この法律の規制をかいくぐって悪さをする人がでてきているからです。
このところ、大変よく耳にするのが、「アガリスク」「メシマコブ」(未承認医薬品)というキノコの一種らしいですが、これによって、ガンが消えたなどと、効能効果をうたって広告する行為は、薬事法違反になります。
ここまでならば、薬事法違反で罰することができますが、最近では、体験談風で出版物に掲載するなど、手口が巧妙になってきています。この憲法21条の表現の自由を隠れ蓑にして出版していた関係者に対して、警視庁生活環境課は、この出版物の一部に実在しない体験談を掲載した疑いが判明したため、逮捕に踏み切ったようです。

弱者の弱みに付け込もうとする輩に対して、どのような処罰が下されるのか、しっかり見続けてみたいと思います。(現時点では、書類送検されているそうです)

※ 送検には、2種類あって、被疑者(犯人)の身柄と書類や証拠などを検察官に
  送る送検と(警察に逮捕されてから48時間以内に済ませます)、
  事件に関する書類や証拠等のみを送る、書類送検があります。
  ただし、被害者が告訴した場合には、送検しなければなりません。

小田急高架訴訟

2005年11月02日 21時55分10秒 | legal
ニュースでは、東京都世田谷区の小田急線高架化事業を巡り、沿線住民40人が国の都市計画事業の認可取消を求めた行政訴訟で、最高裁大法廷は26日、訴訟を起こす資格(原告適格)について住民側と国側の双方から意見を聞く弁論を開いたそうです。

住民側の主張は、「騒音などで重大な被害を受けており、全員に原告適格が認められるはず」ということで、国側の、「地権者ではない住民に原告適格はない」という見解と対立したまま、結審しました。

そもそも、訴訟の大元になったのは、今年4月、行政訴訟法改正の条文変更で、「原告適格が拡大された」というところから呼び水になったと思います。これにより、住民側が訴訟を提起したという経緯になりました。

そうなると、大法廷は、改正法の原告適格の解釈を巡って初の判断を示す見通しで、この解釈によっては、今後の行政訴訟に大きな影響を与えることになると思われます。更には、99年に都市計画事業を巡る訴訟で、地権者以外の原告適格を否定した最高裁判例についても見直される必要性もでてきます。

いずれにしても、この最高裁の見解をしっかりと見守っていく必要がありまね。

新内閣発足

2005年11月01日 19時27分41秒 | legal
いよいよ特別国会を経て、マスコミ注目の新内閣が発表されました。次期総理大臣の予想もいろいろな情報ソースをもとにたくさんの仮説を立ててみたりと、実質的な中身には触れていないように感じました。

今回自分が注目したのは、閣議後に法務大臣である杉浦法相が、死刑の執行命令に署名しないと発言したことです。
この発言の1時間後に発言を撤回したようですが、死刑制度のあり方を考えさせられました。

杉浦法相は、「他人の命を奪うということは、理由を問わず許すべからざることだ」という気持ちが根底にはあると述べ、現職の大臣が発言したことは、是非を問うまでもありませんが、この問題は非常に難しいことで、近代文明国家では死刑制度廃止の方向で進められているのも事実です。

杉浦法相の発言によると、トルコなどはEU(欧州連合)に加盟するために死刑制度を廃止しているほどだそうです。

前々から思っていたことですが、死刑と無期懲役のあいだには、大きいひらきがあって、被害者遺族の感情などを考えても軽率に死刑廃止という結論にはなり難いのも事実です。本当に難しい問題です。

共謀罪

2005年10月22日 20時56分02秒 | legal
新聞を読んでいますと、「共謀罪法案」の国会審議が始まったと書いてあるので、世間の安全を考えるなら大変良いことだなぁ・・・と感心していました。ところが、どうやら自分が考えているほど物事は単純ではないようで、他紙の社説等も読んでみたところ、いろいろと批判もあるようです・・・。

日本弁護士連合会によると、「共謀罪は、思想を処罰することにつながる」との批判があるようです。一体これはどういうことなんでしょうか?

この話では、仮にこの法案が新設された場合、会話やメールのやりとりが捜査の対象となるようで、捜査機関による不当な監視の強化につながると懸念を示しているようです。(そうなると、ちょっと怖いなぁ)
たとえ話をすれば、マンション建設反対の住民が、自治会で反対運動をしようと、話し合っただけで、共謀罪の対象になるということは、人権問題にも影響します。さすがにこれは、問題なのでは?

それを問題視している中で、修正案も出ているようで、成立しない場合として、①団体の活動や縄張りと無関係に友人や同僚と共謀、②犯罪の実行部隊のない市民団体や会社の人の共謀、③マンション建設に反対する住民グループが工事の妨害を話し合うなど・・・共謀罪に適用されないケースを具体的に示しているようです。

ここまでの流れでは、修正されたことによって、法案が通過するのでは?と安易に考えました。ところが、刑法のところで問題がありまして、「中止犯」の定義があいまになるという指摘があります。
これはどういうことなのかというと・・・「中止犯」は刑法43条で「自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減刑し、または免除する」と規定されています。ということは、犯罪を思い立っても自己の意思で中止をすれば、減刑されたり、免除される可能性が残されていました。しかし、「共謀罪」については、共謀してしまったら即、既遂になります。これでは、刑の減免措置によって未然に防げる犯罪に歯止めをかけることができなくなり、世間の安全を脅かすことになりかねません。

そもそもどうして、「共謀罪」という法案を通過させる利点はどこにあるのでしょうか?
新聞には、2000年の国連総会で、テロ・暴力団、マフィアなどの組織犯罪の撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択され、日本は、条約に署名し、国会で承認していることから、テロなどの未然防止に効果的な共謀罪について創設を義務付けられているそうです。

そして、頭が痛いのは、国内法の整備ができず、条約批准が遅れ続けるようでは、テロや麻薬密輸など組織犯罪に対する国際共闘の足並みを乱すことになりかねないところに、国益を損ねる場合も考えられ、非常に心配です。

個人情報保護法

2005年10月21日 15時52分13秒 | legal
「法律の制定というのは、難しいんだなぁ・・・」と考えさせられますね。
この個人情報保護法は、平成17年4月1日に施行された法律で、個人のプライバシーを守ることを立法目的とした法律だそうです。これには、罰則規定も設けられていて、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(56条)とありました。そして、あまり細かく覚えていませんが、規制の対象となる個人情報を扱う業者さんについても規定されていました(記憶が確かなら、5千件以上の個人情報を扱う業者が対象だったと思います)。

これで、個人の情報が守られると喜んでいましたが、この個人情報保護法のおかげで、捜査に深刻な支障がでていると、新聞に書いてあるのを見ました。
というのも、警察が捜査の過程で、事件の被害者等の搬送先である病院に問い合わせると、個人情報保護法を理由に回答を拒否されるケースが3ヶ月で500件に上っているそうで、立法目的とは違った弊害がでているようです。
これだけだと、「立法者はそんなことも想定できなかったのか?」と驚きましたが、どうやらそうではないらしくて、警察の照会に応じても保護法違反には、該当しないことも明記されているそうです。

しかし、それなら、なぜ、病院側は、渋るのかといえば、条文の一文に、但し書きとして、「本人から損害賠償を求められるおそれがある」と記されていることが要因になっているのでは?と分析されていて、立法の立場からは、「一般論として例示しただけで、過剰に受け取られるのは本意ではない」としています。

一方で、これとリンクして、公開が原則となっている住民基本台帳の閲覧制度のあり方を考え直すような出来事も起きているようです。個人情報保護を目的として「営業目的」は閲覧禁止する限定公開制にする案がでており、成立すれば、来夏にも施行される見通しです。

このようないきさつを見聞きしていると、法律の制定というのは単純ではなく、よっぽど賢くないと立法は難しいと感心しました。